AppleがiPhoneの使用状況からうつ病を検出する機能を開発中
Appleは心拍センサーを搭載した「Apple Watch」やフィットネスプログラムの「Fitness+」など健康に関わる製品やサービスを展開しています。そんなAppleが「ユーザーのデバイス使用傾向から精神状態を分析するシステム」を開発していることが報じられています。
Apple Is Working on iPhone Features to Help Detect Depression, Cognitive Decline - WSJ
https://www.wsj.com/articles/apple-wants-iphones-to-help-detect-depression-cognitive-decline-sources-say-11632216601
Apple Watchは2018年12月から心電図機能を提供しており、心電図機能の提供直後から多くのユーザーが命を救われたことを報告しています。2021年のiOS 14.4とwatchOS 7.3のリリース以降は、日本でも心電図機能が利用可能になっており、東京都医師会の尾﨑治夫会長が「今後日本で、Apple Watchのこれらの機能が心房細動を早期に発見し、医師との対話、そして治療に結び付けられるような役割を果たしていくことを期待しています」と述べるなど、ユーザーの健康管理に役立つことが期待されています。
日本でもApple Watchの心電図アプリがついに使用可能に - GIGAZINE
上記のようにユーザーの健康維持に役立つサービスを提供しているAppleが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)や医薬品メーカーのBiogenと協力してデバイスの使用状況からうつ病の兆候などを検出する機能の研究開発に取り組んでいることをウォール・ストリート・ジャーナルが報じています。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、研究チームは2020年秋に150人分のApple WatchとiPhoneのユーザーデータを収集し始め、2021年からは3000人の被験者を対象にデータ収集を進める予定とのこと。収集されているデータにはiPhoneのカメラ・キーボード・マイクによって記録されたデータやApple Watchが計測した心拍数および睡眠データなどが含まれており、収集したデータと被験者へのアンケート結果やストレスホルモン分泌量の計測結果を比較して、データとストレス・不安・うつ病との関係が調査されています。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、「この精神分析機能の開発が成功すれば、Appleとそのパートナーは、世界中の何千万人ものユーザーの精神状態の検出を改善することができます。しかし、ユーザーの情報を収集することで、プライバシーの懸念を引き起こす可能性があります」と指摘。Appleはプライバシーの問題を解決するために、サーバーにデータを送信しない方法を確立しようとしているとのことです。
精神分析機能の研究に関わる人々によると、これまでの研究によって「認知障害がある人の場合、Apple端末で検出される行動データが健康な高齢者のものと異なっていた」という証拠が示されているとのこと。しかし、精神状態を検出するための信頼できるアルゴリズムを作成できるかどうかは不明だと語り、今回報じられている機能は研究の初期段階であり実現するかどうかは不透明であると主張しています。
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