世界的な半導体不足はいつごろ改善するのか？

世界的な半導体不足の影響でCPUやGPU、自動車、家電製品といった多くの製品の生産に影響が出ています。そんな半導体不足の現状や今後の改善状況の予測を、テクノロジー関連メディアのThe Vergeがまとめています。

The chip shortage will likely get worse before it gets better - The Verge
https://www.theverge.com/2021/6/23/22547826/chip-shortage-cars-playstation-5-gpus-semiconductors-time-foundaries-tsmc

半導体には微細化が進んだ最新のプロセスルールで作られたものと古いプロセスルールで作られたものが存在しており、最新のプロセスルールで作られた半導体はPlayStation 5やXbox Series X、ハイエンドCPU・GPUなどの生産に用いられ、古いプロセスルールで作られた半導体はローエンドCPU・GPUや家電製品、自動車の生産などに用いられる傾向があります。

PlayStation 5やXbox Series Xの人気はすさまじく、特にPlayStation 5はソニーが「ゲーム機として過去最大のスタートを切った」と発言するほどの好調な売上げを見せており、2021年5月にはソニーの十時裕樹最高財務責任者(CFO)が「PlayStation 5の供給不足は2022年になっても続く可能性がある」という見透しを示しました。

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また、暗号資産の価値が上昇した影響で多くのGPUがマイニング目的で購入されるようになったことから、GPUの品不足も長期化しています。The Vergeはこの状況を踏まえて「最新プロセスルールで作られた半導体が不足しているのは、単にそれらの製品の需要が高すぎるからです」と主張し、「最近になってGPUの価格が下がり始めましたが、これは暗号資産への規制強化が影響したためで、半導体の供給不足が改善されたわけではありません」と指摘しています。

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一方、比較的古いプロセスルールの半導体を用いる自動車や家電製品業界では、半導体不足の影響で一部の機能を制限したり、生産工場の操業を停止させる必要が生じたりと、大きな影響を受けています。The Vergeは、世界で出荷されている高精度プロセッサの約92％や車載プロセッサの60％がTSMC製あるという調査結果や「TSMCがApple向けのチップを生産するために生産ラインを確保している」という報道を基に、「TSMCが最新プロセスルールの半導体を生産することに注力した場合、自動車や家電製品向けの半導体の生産はますます減少するでしょう」と指摘しています。

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The Vergeは世界的な半導体不足が解消される時期について、「2021年初頭には、『半導体不足は、夏頃に解消される』という予測が存在していました。しかし、もう6月が終わりに近づいていますが、半導体不足解消の兆しは見えていません」と述べています。また、IntelやSamsungが半導体生産工場の増設を発表したことや、アメリカ政府が半導体工場建設の支援に乗り出したことを挙げ、「これらの取り組みの成果が出るまでには、少なくとも数カ月はかかるでしょう」と指摘しています。

最後にThe Vergeは「ホリデーシーズンが近づき、市場全体が半導体を求めて競い合っているため、生産量の削減や価格の高騰、部品の不足が悪化することは間違いありません」と締めくくっています。