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Huaweiスマートフォンの売上が20%減か、新型コロナウイルスと脱Googleの影響で


近年に入りスマートフォン市場で目覚ましい成長を遂げてきたHuaweiのセールスが、2020年には大きく落ち込むと予想されていることが、報道により明らかとなりました。背景には、2019年末に発見された新型コロナウイルスの流行に伴う経済の混乱や、2019年半ばから本格化した米中テクノロジー冷戦によりGoogleのサービスを利用できなくなった影響があると見られています。

Huawei Projects Big Drop in Smartphone Sales Amid U.S. Sanctions — The Information
https://www.theinformation.com/articles/huawei-projects-big-drop-in-smartphone-sales-amid-u-s-sanctions

Huawei's 2020 smartphone sales may drop over 20% - 9to5Google
https://9to5google.com/2020/03/09/huawei-smartphone-sales-2020-report/

Huawei expects a 20% drop in phone sales, thanks to lack of Google apps | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2020/03/huawei-reportedly-expecting-a-20-drop-in-phone-sales-thanks-to-export-ban/

近年に入りHuaweiのスマートフォン出荷台数は飛躍的に増加を見せており、2018年には出荷台数が2億台を突破。2019年には出荷台数2億4000台を記録し、Appleを抜いて世界第2位のスマートフォンベンダーに躍り出ました。

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by Andri Koolme

そんな中、アメリカのニュースサイトThe Informationは2020年3月6日に、「Huaweiは、2020年の売上は約1億9000万台から2億台に落ちると予想しています」と発表しました。この予測は、Huaweiの内部事情に詳しい関係者からもたらされたもので、Huawei内部では家電部門のマネージャーの一部にのみ共有されていた情報だとのこと。

The Informationは、Huaweiの2019年の出荷台数が好調だった理由を「脱Googleが影響しない古い機種を販売し続けることができたため」だと指摘。しかし、2020年には古い機種の販売が困難になることから、出荷台数が20%近く下落すると予想されています。その影響は既に、Huaweiのブランドショップを含む小売店が中国全土で4985店も閉鎖ないし規模の縮小を迫られているといった形で表れているとのこと。


Huaweiのスマートフォン出荷台数が大きく落ち込むとの予想結果についてThe Informationは、「これは、アメリカ政府がGoogleのソフトウェアを含む技術全般に輸出制限をかけていることが、中国企業の国際的な成長に打撃を与え始めていることを示しています」と述べて、アメリカによるHuawei排除が主な要因であるとの見方を示しました。

アメリカのトランプ大統領は2019年に、国内の事業者に対しHuaweiを含む中国のIT関連企業との取引を大きく制限する大統領令を発令しており、これによりHuaweiはこれまで自社製スマートフォンに搭載していたAndroidやアプリなど、多くのGoogle製ソフトウェアを使用することができなくなっています。

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by Gage Skidmore

さらに、新型コロナウイルスにより中国の製造業やサプライチェーンに大きな影響が出ていることも、出荷台数の減少に拍車をかけると見られています。新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、中国ではFoxconn・Samsungのハイテク工場や、iPhoneのカメラモジュールを供給する工場が相次いで閉鎖されており、その影響は中国企業であるHuaweiにも及んでいるとThe Informationは指摘。

The Informationに情報を提供した匿名の内部関係者は、「アメリカの輸出制限とウイルスの感染拡大の二重苦です」と話しているとのことです。

こうした苦境に対応するため、HuaweiはGoogleのサービスがそれほど普及していないロシアやトルコでの存在感を高めるべく、現地での販売やマーケティング強化に向けて、積極的な人員の増強を行っているとのこと。また、スマートフォン向けの独自OSの開発やGoogleマップの代替サービスの採用など、Google依存からの脱却を模索する動きも強めています。

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by Open Grid Scheduler / Grid Engine

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Google関連の情報を扱うニュースサイト9to5Googleは、「Huaweiが2020年3月26日に発表する旗艦スマートフォン『Huawei P40』シリーズ最新機種には間違いなくGoogleのソフトウェアを使用できないため、Huaweiにとっての2020年は著しく厳しいものになるでしょう」と指摘しました。

一方で、IT系ニュースサイトArs Technica「『Huawei P30 Pro』などの古いデバイスなら、まだGoogleのアプリを利用可能です。アメリカのHuawei排除の影響を確かめるには、Google製品がインストールされたすべてのHuaweiスマートフォンが終わりを迎えるのを待つ必要があります」と述べて、当面は過去の機種がHuaweiの業績を支えるとの見方を示しました。

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in モバイル,   ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by log1l_ks

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