取材

自転車旅行におけるペアランツーリングの魅力、嬉しいことは二人分、悲しいことは半分、食欲は軽く四人前、そして学ぶことは数知れず


こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。ジンバブエからザンビアに入った首都Lusaka(ルサカ)では日本人世界一周チャリダーが自分も含めて3人も顔を合わせました。3人合わせれば旅の期間は10年、総走行距離は15万km以上になります。そのLusakaからビクトリアの滝があるLivingstone(リビングストン)までは自転車世界一周配達日誌の四宮さんとペアランをしました。一人ではできない会話をしながらの二人の旅はいいものです。一人だと見えないものも二人だと見えることもあります。そんなペアランの魅力をこれまでの旅を振り返ってまとめてみました。

ビクトリアの滝があるLivingstone(リビングストン)はこちら

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ジンバブエからザンビアに入って首都Lusakaを目指しました。Lusakaのバックパッカー宿では日本人の世界一周チャリダーが3人もそろいました。

先に到着していたのは自転車世界一周配達日誌の四宮さん。韓国から中国の丹東へ渡り、東南アジア、インド、中東、ヨーロッパと走ってアフリカはエチオピアから南下して来ました。ザンビアを南下してくると知っていたのでメールで連絡を取っていました。四宮さんの旅立ちの際に、先行していた自分宛に質問のメールが来たのがきっかけでした。それから時々、旅先から情報を交換していました。旅で共感している所もあり、どこかで会いたいと思っていて、ようやく願いが叶いました。


そして後で合流したのは、トルコのイスタンブールから自転車世界一周をスタートしたジンさん。自分の走れなかったリベリア、コートジボアール、ニジェールと西部アフリカの国も全部走っています。中部アフリカはカメルーンから中央アフリカ、コンゴ民主共和国を走って東部アフリカへ抜けました。アフリカのスペシャリストです。中央アフリカとコンゴ民主共和国は道もほとんど未舗装路で、電気や水道も期待できないでしょう。警官や軍隊による賄賂の要求も酷いと聞きます。このルートを走っている人をほとんど知りません。そこを超えてきたからにはとても豪快な人だろうと想像してたのですが、実際はとても腰の低い方でした。ただ、内に秘めた想いは計り知れません。

Lusakaでは3人でチャリダートークに花を咲かせていました。それぞれに世界一周へのきっかけ、そして旅への想いがあって熱くなりました。

左からジンさん、四宮さん、自分。あと2台あればチャリダー戦隊が組めるのですが……。


三台のチャリダー自転車。


中央アフリカ、コンゴ民主共和国を走ったジンさん。


Lusakaからビクトリアの滝があるLivingstoneまでは四宮さんと一緒に走りました。ペアランするといい写真が増えますね。

2台の自転車。


四宮さん。


チャリダーは後ろ姿で語ります。


おばちゃんに囲まれてバナナを買っています。


四宮さんの後ろ姿。


自転車の修理を終えた四宮さん。


踏み切りで列車が通り過ぎるのを待ちます。


子どもたちと一緒に。


水を汲んでいる様子。


この日はキャンプをしました。二つのテント。


翌朝のテントを畳んで出発の準備中。通りかかった地元の人が見守っています。


商店の前で休憩中の四宮さん。


得意のアイスクリームで休憩中です。


水をかぶる四宮さん。ザンビアは暑くて、暑くて。


一本道に青い空と白い雲。


同じく四宮さん。気持ちのよいサイクリングでした。


食堂の前で。


シマと鶏肉。ザンビアはトウモロコシの粉を練ったシマが主食です。


鍋にいっぱいのシマ。


食堂。


ペアランだと宿もシェアできます。


追いかけてこないでー。地元の人が競い合ってきます。


ザンビアの主要輸出鉱物「銅」を運ぶ大型トレーラー。


「銅」は塊として運ばれています。


Livingstoneまであと26km。


ジュース休憩した場所で、日本語で名前を書いています。


Livingstoneのバックパッカー宿に到着しました。


LivingstoneではLusakaからジンさんと日本からの友人が観光でやって来ました。ジンさんの誕生日もありましたので、こっそりケーキを用意して驚かしました。夜は盛り上がっていつまでも話が尽きません。

キャンプしている場所でろうそくを囲んで飲みました。


ジンさんの誕生日です。


ケーキと写真と「神」マークの蛍光ステッカー。


ビールより安いザンビアローカルのお酒「シェキシェキ」を飲んでいました。


宿で一緒だったデンマーク人チャリダーのダニエルと一緒に四宮さんはジンバブエへ。


「隣にいるのが女の子だったら」と二人で散々愚痴りながらも、楽しいペアランの毎日でした。ふと四宮さんが「ミシンで縫う人っていつも外にいるよねー、やっぱ部屋だと暗いからかなー」とつぶやきました。その言葉にハッとさせられました。自分も同じくらい外で作業するミシンの人を見ているんですから。でも、それは思いつきませんでした。やっぱり、人によって感じ方って違います。だからこそ、誰かと一緒に居ないといけないんでしょうね。一人で進むより確実に成長できます。

旅を始めて世界各地で、いろいろな人と一緒に走りました。

中国では大学生の胡と数日を一緒に走りました。彼は「体育大会で失敗をして、自分に自信をつける為に自転車で遠くまで行きたかった」と自転車旅行の理由を話していました。中国人の彼となら、どんな宿にも自由に泊まれて助かりました。中国では外国人の宿泊制限があります。「老板、老板」と彼が店の主人を呼ぶこの言葉を覚えて使っていました。何か渡そうとしたとき「還有(まだあるよ)」と中国語で返してきて、それがそのまま理解できたからしびれました。分からなければ漢字でコミニケーションが取れるので、毎日が本物の中国語の勉強でした。

庶民で賑わう生活感のある食堂で食べる朝食。


一緒に露店で食べる牛肉麺。


軽装の彼には、いつも待ってもらっていました。


中央アジアではウクライナの鉄人ビクトールと一緒に走りました。彼はウクライナのオデッサ近くに家があります。そこを起点に、バルト三国を経由してロシア最北の都市ムルマンスクへ。そこからロシアを横断してウラジオストクより東のマガダンへ、そして会ったときはウクライナへ戻る途中でした。分かりやすくいうと9ヶ月で広大なロシアを東西に往復しています。意思疎通はロシア語と英語ですが、彼は英単語を、自分はロシア語の単語を、それぞれ一握りしか知らないので、その合間をロシア語の辞書で埋めていました。「ニ・シトー(なんでもないよ)」「ポニョー(分かった?)」と彼のロシア語のつぶやきは新鮮でした。のちにヨーロッパで再会しています。

カザフスタンを走行中。


ウズベキスタンでは民家に泊まりました。


44歳のウクライナ人、26歳の日本人のヘンテコペアランでした。


ハンガリーの首都ブダペストからトルコのイスタンブールまでは同じ歳の大地と一緒に走りました。彼はヨーロッパの前に南アフリカのケープタウンからエジプトのカイロまで走っていて、彼の話にアフリカへの想いを深めました。彼に倣ってペダルをSPDにしました。走行後のストレッチは今でも続けています。そして大切な自転車のこぎ方を知りました。彼にトルクと回転数、ギアの使い方を教えてもらい、旅が根本的に変わりました。それまでママチャリをこぐ感覚で、自分はオーストラリアを一周してユーラシアを横断していたのです。

セルビアで休憩中の2台の自転車。


近道でダートを走っている大地。


トルコに入国。


オーストラリアではフランス人カップルのイーブスとオリビアと仲良くなりました。自分も世界一周をしていると話すと「ヨーロッパにきたら家に寄っていって」と言ってくれたので、実際にフランスではお世話になりました。彼らの家でそのときのビデオをみて3人で「フランスに来ているよー」とはしゃぎました。

オーストラリアで会ったイーブスとオリビア。


フランスで再会した時は冬の北欧を旅するといって準備を進めていました。雪を掘るシャベルがあります。


西アフリカ、中央アフリカを一緒に走ったPedaling around the WORLDの責自さん。ナイジェリア、カメルーン、コンゴ共和国と厳しい区間は一人だったら走れなかったかもしれません。コンゴ共和国ではマラリアと腸チフスの看病もしてもらっています。携帯電話を使ってのインターネットは責自さんに教えてもらいました。自転車にコンピュータに詳しい人でしたから、一緒に居るだけで何かと勉強になっていました。

旅行情報の少なかったナイジェリアにて。


泥だらけになったカメルーンの泥道。


ダート走行でいつも埃だらけになっていたコンゴ共和国。


マラウイではルーマニア人サイクリストのコニーと一緒に走りました。このコニーは自転車世界一周の石田ゆうすけさんと面識があります。「西アフリカでユウスケと一緒に走っていたよ」と言うので、石田ゆうすけさんの本にある「ゆうすけさんもマラリアにかかって、また別の場所で同行していた日本人チャリダーもマラリアにかかって」という話をすると「一緒にいたから二人とも知っている」と笑っていました。「ユウスケたちは中国人と筆談していたんだ、そんなことを友達に話をしても信じてくれないんだけど」とも言ってました。

コニー:
最高時速はいくら出したことがある?

チャリダーマン:
50km~60kmくらいかなー

コニー:
最高時速だぞ

チャリダーマン:
間違っていないよ、じゃぁコニーは?

コニー:
88km

チャリダーマン:
You can fly

コニー:
昔、インドからタイまで走ったんだ

チャリダーマン:
ミャンマーは無理じゃない?どうしたの?」

コニー:
それが、ビザ取れたんだ。もしかしたら始めてミャンマーを自転車で走っているかもね

他にも「インドのラダックは素晴らしいぞ」「あんまりツーリスティックな場所は好きじゃないなー」とコニーとはチャリダートークで盛り上がっていました。相手がチャリダーであれば、英語であってもすんなりと耳に入ってくるから不思議です。

マラウイの子どもとコニー。


バナナを手に入れるコニー。


休憩中のコニーと自転車。


マラウイではイギリス人チャリダーのピーターにも会いました。このピーターとジンさんは中央アフリカとコンゴ民主共和国を一緒に走っています。ジンさんの相棒に偶然会えたけでも驚いていたのですが、ピーターはルーマニア人チャリダーのコニーとも面識がありました。コニーの話をしていると、「あぁ、彼がここにいたの?会いたかったな~」とピーターは言います。「最近、アフリカのどこかで会ったんだろうな」と思って「どこで会ったの?」とピーターに訊くと「数年前にインドで」という予想を超える答え。コニーと石田ゆうすけさんといい世界は広いのにチャリダーはどこかで繋がっているんですね。

イギリス人チャリダーのピーター。


ペアランはないですがrinrinweb.com/のりんさん、同じ福岡出身で心の旅の心さんとは繋がっています。そして、まだ面識はないですが、地球一蹴ちゃりんこ世界一周の旅の小口さんとは連絡をとっています。同じ時期に「自転車で世界を周る」という選択をした人たち。自分も含めて一癖も二癖もある人たちですが、それでもどこかで再会したらチャリダートークで盛り上がるでしょう。そういえばオーストラリアで会ったチャリダーのボブ(日本人)やママチャリダーのフミも大切な友人です。自転車世界一周が終った時に残っているのって、こうして出会ったチャリダー仲間じゃないでしょうか。彼らとはずっと繋がっていられたらと思います。

追伸、ザンビアサイドからビクトリアの滝も訪れました。(ジンバブエからも訪れることができます)、雨が降って水しぶきもあって、服がびしょびしょになりました。大量の水が轟音とともに落ちていってました。

ビクトリアの滝。


大量の水のカーテン。


一応の記念写真。


Livingstoneを出たらボツワナに入ります。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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