モロッコ南部、西サハラのどこまでも広がる果てないサハラ砂漠の美しさと道路を横切る野生のらくだ達
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。「美味しいモロッコ料理とたくさんの旅行客が訪れるマラケシュの賑わい、そしてサハラ砂漠を目指す旅人達について」の記事に引き続いて、モロッコに居ます。
前回のマラケシュからアトラス山脈を越えると砂漠地帯に入って行きます。街と街との間隔も離れ、その間には何もありません。サハラ砂漠に突入した様です。砂漠ではらくだも見かける事が出来ました。観光客もまばらなモロッコ南部から西サハラのラーユーヌ(アイウン)までの一部始終を紹介します。砂漠とらくだは凄いんです。
詳細はこちらから。
西サハラの主都ラーユーヌはこちら。
大きな地図で見る
マラケシュを出てからはアトラス山脈を越えないといけません。アトラス山脈はアフリカ北西部を横断する大山脈で、最高峰は富士山より高い4165mもあります。今回のアトラス山脈越えは海に近い端の部分なのでそこまで厳しくありませんでしたが、それでも峠は1300m近くまでありました。
山麓に広がる街
山道
雪かぶるアトラス山脈
アフリカで初めてのキャンプ
アトラス山脈越えでは予想していた通りに街と街の間が遠くて、やはりキャンプをしないといけませんでした。人家は少ないのですが人は居ます。途上国に入ると何もない所でも道路を歩いていたり何かを待っていたりと「なぜここに人が居る?」というのは良くある事で、キャンプも心配で仕方ありませんでした。しかもアフリカ初キャンプでしたからなおさら心配です。誰も来る事もなく、何事もなく朝を迎えた時はほっとしました。
アトラス山中を駆ける
アガディール近くの街まで出ました。アトラス山脈を越えました。
道路上の距離表示が出ます
これはそれぞれ
LAAYOUNE 539:ラーユーン→西サハラの主都
NUAKCHOTT 1962:ヌアクショット→モーリタニアの首都
SAINT LOUIS 2257:セントルイス→セネガル最初の都市
まだまだ走らないといけませんね。
そこから、もう一つ1000m近い峠を越えないといけませんでした。
視界が広がる、気持ちの良い峠です。
峠道と山並
小さいですが羊が放牧されています。そして分かり辛いですが絶壁です。人間だと両手足で登らないと怖い所を彼らは身軽に駆けていきます。昨今、草食系草食系と騒がれていますが、本当はたくましいんです。
峠を越えてダウンヒルで街に入ります。辺りに何もないので街の全貌がくっきり分かります。
「らくだに注意」の看板が現われました。
景色は広がるばかりで何もありません。サハラ砂漠に入ったのでしょう。乾燥した大地がどこまでも広がっています。
この道路脇から離れた廃屋は何かといいますと…
この中でテントを張らせてもらいました。
廃屋と道路はこの位離れていて…
道路と反対側には荒野が広がっています。
タンタンという街に入ります。入り口にはらくだのオブジェがありました。
昼間だというのに人気のないタンタンの街
これが一転、夜になると賑わい出します。
ここまで南下して来ると日中の日差しの強さが半端ありません。日差しが痛いんです。ですから、日差しの強い時間帯は人々は外出しません。夜になって涼しくなってから街は賑わい始めます。タンタンの街もどこから出てきたんだという位に夜はいっぱいの人でした。イランもそうでした。
タンタンを出たあとは、300km先のラーユーヌを目指します。
海辺に泊まるキャンピングカー
寒いヨーロッパの冬を嫌っているのか、モロッコではたくさんのキャンピングカーを見かけます。運転しているのは老人ばかりで、8割はフランスナンバーです。
タンタンを出るとちらほらと海を見る事ができます
そして平坦になりました
入り江
たいてい平坦なのですが、河か入り江か、侵食されている所だけ海面近くまで降ります。
断崖絶壁の海岸線。波によって大陸が削られています。
ひっそりと広がる大西洋。
砂漠にテントを張りました。
テントを張った周囲一体。
いつもは木に自転車を立てかけているのですがここには何もありません。それを見越して手に入れたスタンドの棒が活躍してくれました。知る人ぞ知るチャリダースタンドです。
単調な景色が続くのですが、動物も居るんですよ。
山羊をみかけました。
こんな僻地でも放牧している人をたまにみかけます。ただ。この群れには羊飼いは見ませんでした。遠くに居たのか、野良なのか……?
そしてらくだが通りますよ。右のらくだは支柱で首をかいてます。
道路を横切る一列縦隊らくだの行進。
この群れを含めて何度からくだ達と遭遇します。オーストラリアやウイグルでもらくだを見ましたが、ここには及びません。ここは十数頭が群れを作っています。遠くからみつけるらくだは自然の中を動く小山の様で、その様子は不思議で仕方がありません。
サハラ砂漠を染める夕焼け
道路から死角となる大地の割れ目にテントを張りました。テントの後方は小さな谷になっています。
都市部のモロッコでは宿伝いでよかったのですが、この辺りだと街と街との間隔が少なくなってテントを張らないといけません。キャンプは大変なのですが、ここでは楽しみもあります。その理由はこぼれるのが心配になる位の星空に出会えるからです。今までも数多くの星空を見てきましたが、乾燥しているからでしょうかここで見る星空が一番かもしれません。空が輝く星で敷詰められて埋まっているんです。目を凝らしてみると暗闇の奥でさえ瞬いています。地平線を見ると星空は弧を描いて、地球が丸いと体感出来るのです。宇宙の真理に届きそうです。ヘッドライトの明かりを消して、ポーっとみていると流れ星が落ちました。神秘的な夜が続きます。
そして西サハラの主都ラーユーヌに入ります。
市場と広場
住宅ビル
給水塔
メインストリート
肉を見つめる野良猫
街の外には砂漠が広がっています
この西サハラはモロッコと西サハラの独立を要求するポリサリオ戦線との係争地です。
1975年スペインが植民地経営から撤退、代わって北をモロッコ、南をモーリタニアが自国に併合します。一方、西サハラの分離独立を要求するポリサリオ戦線はアルジェリアで亡命政権サハラ・アラブ民主共和国を樹立して武装闘争を開始。モロッコとアルジェリアは国境問題を抱えていて、敵の敵は味方という図式でアルジェリアがポリサリオ戦線を支援しました。激しい武装闘争の上にモーリタニアは西サハラを放棄します。そこでモロッコが全域の占領に踏み切り、それから現在までモロッコによる西サハラ全域の支配が続いています。
1988年に独立かモロッコに帰属か、住民投票で決するという和平案でモロッコとポリサリオ戦線は停戦しましたが、未だに住民投票は行われていません。
ここラーユーヌは西サハラ最大の都市で全人口の半数以上がこの街に住んでいます。街を歩いているとモロッコの軍や警察関係者の姿をよく目にします。前年11月に治安部隊と住民の間で死者が出る程の武力衝突があったらしいので緊張を隠せません。
ラーユーヌの街は規模の割にはきちんと整備されていると感じます。本土の町はもっと雑然としていますが、ここでは体裁を整えているみたいです。サハラ砂漠におかれた僻地でありながら物価はモロッコ本土と変わりません。市場を覗いてもたくさんの品物で溢れていて不自由はなさそうです。ほとんどモロッコ本土と変わらないですが、住んでいる人の雰囲気は違います。モロッコ人も日焼けして本土より褐色の人が多いです。そしてモロッコ人と黒人が混ざり合ってどちらにも取れる人達もみかけます。文化が混ざり合う場所かもしれません。
モロッコ人チャリダーに出会いました。
カフェでチャリダーが休んでいたので話しかけてみました。名前はサイードさんで36歳、モロッコ北東のアルジェリア国境に近いナランダという所に住んでいるそうで、「モーリタニア国境まで走って、重複する所はバスに乗って別のルートで家まで走って帰る」と言ってました。この様なモロッコの旅も4回目だそうで、「海外にも行きたいがヨーロッパは物価が高いから走れない」とつぶやいていました。「どうして自転車の旅をするの?」と尋ねてみると、「自分の目でいろいろ見てみたいから」と、自分と同じ理由でした。
インドネシアでも中国でもそしてここモロッコでも、同じ様に自分も日本一周をしましたから自国を周るチャリダーに会えると嬉しくなります。フランス語でコミニケーションを取っていました。話してみたいと思えば、言葉以上に何とかなるものです。
小さい子供たち
ファーストフードでサンドイッチを頼んでいると小さい子供たちが集まって、ひそひそと「シノワ、シノワ(中国人)」と話しています。東洋からの訪問者が珍しくて仕方ないんでしょう。ですが、近寄ると蜘蛛の子を散らす様に逃げ出します。いやいや何もしませんから。そんな彼らが可愛くて仕方なく、頼んで一枚写真を撮らせてもらいました。
モロッコも長くなりましたが食の開拓も忘れてはいません。遂に試した「飲むアボカドヨーグルト」。見かけによらず甘くて爽やかでした。
そしてカフェで自家製ヨーグルトを食べられる事に気付きました。どの街でも必ずあります。そしておじさんが食べています。と、ここで思い返してみたらカフェって男性ばかりなんですよね。イスラムの国なのか、家族で食事を取る女性以外、街で何かをしている女性って見かけないですね。
新しい料理かと思ったら専用の器ではないタジン(モロッコ版肉じゃが)です。
Japan flanでしめます。なんじゃこりゃ。
ラーユーヌを抜けると今まで以上に人がいなくなります。次の目的地はモーリタニア最初のヌアディブという街で、そこまではサハラ砂漠の中を約900kmも走らないといけません。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com)
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