タンザニアでサバンナを歩くゾウやキリン、思い描いていたアフリカに到達
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。ルワンダを出てからタンザニアへと向かいました。このタンザニア、ともかく広すぎます。誰もいない荒野にオーストラリアを思い出しました。大自然にそわそわしてしまったので久し振りにテント泊。この広すぎるタンザニアを野生動物は駆け回っていて、キリンやゾウがむしゃむしゃと草を食べている姿に遭遇しました。勿論、自転車で走行中に。こんな楽しいところはありません。思い描いていたアフリカがタンザニアにありました。
タンザニアの首都はDodoma(ドドマ)
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長くなったルワンダ滞在を切り上げて、タンザニア方面へと走り出します。ルワンダの首都Kigali(キガリ)からKayonza(カヨンザ)とRusumo(ルスモ)と走って、タンザニアの首都Dodomaまで約1000kmを一気に走りました。
連日の強い雨でKigaliの道路が冠水中。
別の国ヘ向かう交通標識が好きです。
ルワンダの子どもたち。
可愛い女の子。
ルワンダの青年。
こちらはパイナップルを食べていた集落で囲まれて。
ルワンダとタンザニアの国境を流れるカゲラ川。
国境の橋から見えるルスモ滝
73カ国目になるタンザニアに入りました。ルワンダのKigaliからはそうでもなかったのですが、タンザニアニ入ると急勾配のアップダウンが続いて大変でした。通り過ぎる民家は土壁と茅葺屋根。道脇の食堂や商店は材木にビニールシートを被せたような掘っ立て小屋。宿についても水道はない、電気はない。明らかに生活レベルが下がって、改めてルワンダの凄さを感じました。このタンザニアも西に進むに連れて、屋根のあるガソリンスタンド、電信柱、銀行と普通の景色が出てきます。その普通の発見に喜んだりしていました。
心臓破りの激坂。
タンザニアでも囲まれて。
天使のような赤ん坊
青空に開いた屋台のようなジャンクションの食堂や商店。
アップダウンは最初の一日だけで、後は走りやすい平坦な道となりました。
タンザニアに入ってから3泊目でKahamaという大きな街に到着します。ここには水道も電気もあり安心しました。街の中心部に出て、銀行ATMで現地通貨を引き出します。それまでの現地通貨は国境で米ドルを両替したものでした。それから携帯のSIMを手に入れたり、買物したりしていたら、まさかのまさかで迷いました。おうちへ帰れません。適当に歩いいたら、あさっての方向に出ていました。仕方ないので道を尋ねて歩くと、一人の優しいおじさんが車で送ってくれました。感謝。こんなに大きな街だとは思ってもいませんした。
Kahamaの中心街。
宿の前にあるBarのお姉さん。
KigaliからDodomaまでほぼ舗装路でした。ただ、KahamaからNzega(ンゼガ)までの約70kmあまりはダートがあります。ここも、タンザニア第二の都市であるMwanza(ムワンザ)の方へ少し走れば全部舗装路でいけそうでした。このダートは路面も硬く走りやすかったです。ぬかるんでいる所も地元の人たちが迂回路を作っているのでそこまで困りません。
Kahamaを出た朝に立ち寄った青空カフェで、すごく目立ってしまって。
タンザニアの青年たち。
こんな会話を繰り広げました。
青年たち:
どこから来たんだ?
チャリダーマン:
ルワンダのキガリ。
青年たち:
おおおっ、どこまで行くんだ?
チャリダーマン:
ドドマ、モロゴロ、イリンガと走ってマラウイに。
青年たち:
えっええー、その自転車でか!?
チャリダーマン:
そのつもり
青年たち:
ちょーーっ、動物に襲われはしないか?
チャリダーマン:
……いやいや~(それ、俺があなたたちに聞きたい言葉!)
右側が本線、中央は迂回路、左側はもっと迂回路。
民家の合間を抜けていく迂回路。
「これは切らないでおこう」と取り残されたマンゴーの木が、大きく育ってぽつぽつと畑や荒野に点在しています。
一直線に続く道。
Nzegaの道路で立ち尽くしていたロバ。
道脇の集落に伸びる道。
Igunga(イグンガ)という小さな街のマーケットがある通り。
これ、日本の自転車です。放置自転車はアフリカに運ばれているようです。
乾いた大地。
虹がかかりました。
Dodomaまで234km。
ゴツゴツとした岩が散らばる景色がありました。
ポツ、ポツ、ポツと大粒の雨が体に当たりだしたらスタートの合図、すぐに強い雨となって近くの建物に逃げ込みました。雨はだんだんと激しさをましていきます。風も出てきて窓においていた鉄の扉さえ動くほどでした。雨は一時間くらい降っていました。外に居たなら悲惨なことになったでしょう。延々と荒野が続くタンザニアで、屋根の下に逃げ込めたのはラッキーでした。
5秒でパンツまでぐしょぐしょになるようなひどい雨の降り方。
この建物はとうもろこしを粉にするところでした。
一緒に雨宿りしていたタンザニアの人たち。
どこにでも人がいたルワンダやブルンジと違って、タンザニアは街と街の間に距離があります。何もない区間が20km、30kmとか普通でした。ふと立ち止まると自分だけしかいない、誰もいない空間を独り占め。人によっては退屈に見えるかもしれませんが、自分にとっては悪くはありません。こうした所を走ることによって、地球の大きさに触れることができますから。昔に走ったオーストラリアを思い出していました。
風車。
何もない道をひたすらに走っていました。
大地へと飛び込むようなダウンヒル。
ぐいぐいと上っている大型トレーラー。
タンザニアはともかく広い。
食堂でジュース休憩中。
照れる少女たち。
少年。
動いてないで写真を撮らせてよ。
絵になっていた少年たちと大きな岩。
そして、タンザニアの首都であるDodoma(ドドマ)に到着しました。タンザニアの首都は海岸部のDar es Salaam(ダルエスサラーム)ではありません。ですが、Dodomaは大きな建物すら少なく穏やかなアフリカの小都市でした。同じように首都を移したナイジェリアのAbuja(アブジャ)とはちょっと状況が違います。
市場の近く。
中心部の一番大きな交差点。
泊まっていた宿の看板。
衣服を売る店。
タンザニアの紙幣には動物が描かれています。それがなんと表面に。ゾウ、サイ、ライオン、アフリカスイギュウに混じったニエレレ初代大統領が浮いています。しかも初代大統領は二番目に低い額の紙幣。最高額の紙幣はゾウさんで、百獣の王ライオンはサイより下なのですね……なんだか不思議な並びになっています。
お金を手にしたらスワヒリ語の数字を覚えてください。そうしないと買物ができません……というのは大げさですが、タンザニアでは英語がなかなか通じません。そのことにはしばらくして気付きました。仕方ないので数字を紙に書き出し、それを音読しながら走りました。あとは「Bei gani?(これいくら)」「mia tano(500)」と実践でどんどん使っていけばすぐに慣れます。そうすると買物も便利になりました。新しい言葉になんだか新鮮です。
このスワヒリ語、
mia nne (100×4で400)
elfu tatu (1000×3で3000)
elfu mbili mia tano (1000×2と100×5で2500)
のようにと「1000が3つ」あるという数え方なんですよね。珍しいです。三千(日本語)、three thousand(英語)、trois mill(フランス語)と多くの言語は「3つの1000」という数え方でした。
タンザニアの紙幣。
銀行のシンボルマークがキリマンジャロ山とキリン。
また、食事でもスワヒリ語を使うと便利です。Wali(ワリ)、Nyama(ニャマ)、Kuku(クク)、Samaki(サマキ)と米、肉、鶏、魚だけ覚えました。とはいっても、たいていWaliとNyamaで過ごしていますが。トマトがベースのソースに数切れの牛肉が入ったぶっかけ飯です。Nyama(牛)が一番安くて、Samaki(魚)、Kuku(鶏)と値段が上がります。鶏肉が牛肉より高いのはブロイラーなど養鶏が進んでないからでしょう。鶏は村を走り回って、リアルでゼルダの伝説です。
Nyama(肉)。タンザニアではチャパティもみかけます。
Samaki(魚)とバナナ
Kuku(鶏)とWali(米)
チャイ(お茶)と揚げパンで朝ごはん。
料理を待つ間。
そこのお店の女の子。
タンザニアは宿が豊富で助かっています。それなりの宿も安くて質がいいので、初めて泊まった時はニヤニヤしてしまいました。ただ田舎の集落の安宿だと、電気がなかったり水道がなかったりします。特にタンザニアの水事情はよろしくなく、シャワー用に出されたバケツの水はカフェオレでした。
安宿は4000シリング前後(約200円)程度。シャワートイレ共同です。
十分な宿は1万2000シリング前後なので、約600円程度。シャワートイレ付きです。
泊まったMotel
どんな小さな集落にでも宿があったので「なんとかなるさ」と適当に走っていたら集落が見つからず、久しぶりにテントを張りました。広い広いタンザニアの大地に「張らないか」と誘われて、そわそわしていたので仕方ありません。合意の上です。そうしたら……油断していました。テントの入口から外をのぞくと時が止まります。星空が降り注ぎそうなのですから。何度も経験しているのですが、そのたびに心を奪われてしまう。宇宙は神秘に満ちています。
ガーナ以来のテントでした。
タンザニアのカフェオレみたいな水。地元の人はこれで皿を洗ってました。自分はこれで体を洗いました。
DodomaからはMorogoro(モロゴロ)を経由してIringa(イリンガ)を目指します。DodomaからIringaに直接向かう道もあったのですが、目的があったので遠回りしました。Doodomaを出ると標高が下がって一気に暑くなります。走っていると熱をもったモワーッとした不快な空気が襲ってきます。夜はファンを回さないと眠れません。この暑さ、無理です。
通り過ぎた集落のマーケット
乾いた大地が広がっています。
路上で売られているトマト、タマネギ、ポテト。
背後にそびえ立つ山が見事だったMorogoroの街。
赤く鮮やかな花を咲かした木。
Morogoroを出た日にミクミ国立公園を自転車で走りました。主要道がミクミ国立公園を貫いていて、他のチャリダーの旅行記でもたくさんの動物がいたと書かれていたので楽しみにしていました。ここが遠回りの目的です。ですが国立公園内の50kmのうち、30km過ぎてもなかなか動物は現れません。「動物が見れたなんて過去の話かも」としょんぼりしていたのですがいました、「イボイノシシ」。少しテンションをあげて走っていると一気に視界が広がる草原となりました。そこに「キリン」や「シマウマ」の姿が!! キリンは長い長い首で高いところにある木の葉っぱを食べていました。警戒しているのか、こっちを見つめている姿は、やっぱり草食動物です。
「あとはゾウが見られたら満足」とさらに進んでいると数頭のゾウが現われました。距離があったのですが、しばらく観察していました。ただこれだけじゃ終りません。別の場所で群れがいました。それが道を挟んだすぐの所に。こっちに気付いていないのか無視しているのか、でっかいお尻でノサノサと歩いています。長いお鼻でガサコソと草を巻上げお食事中でした。大きなお耳もパタパタ、尻尾もフリフリさせています。ここまで近くでゾウを見れると思っていなかったのでびっくりしました。
国立公園の入口の看板。
遠くにキリンさん。
首を長くして待ってくれていたかもしれません。
キリンさんと見つめあいました。
ゾウさんもいました。
ガゼルの群れ。
こうした道を走っていると……
ゾウの群れに会っちゃいました。コゾウ可愛すぎです。
白い牙が光ります。
でっかいお尻。
たくましい姿。
本当に道をはさんだ先にいました。
夢のような光景でした。
この時の動画はこちら
チャリダーマン、タンザニアでゾウと出会う その1 - YouTube
チャリダーマン、タンザニアでゾウと出会う その2
可愛かったゾウに注意の看板。
ゾウやキリンと楽しみにしていた野生動物を見られたことで、アフリカに来た目的をようやく果たしました。そんな動物たちに自分から会いに行けるチャリ旅、楽しすぎます。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com)
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