旅人としては勧めたい、純粋で優しい人々に囲まれたナイジェリア旅行記
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。海外に出ているバックパッカーはアフリカを旅していません。アフリカを旅しても東アフリカしか行きません。西アフリカを旅してもナイジェリアには行きません。
ナイジェリアに行かないのは「危険だから」というのが理由で、観光ビザ取得の煩わしさもあります。何かと敬遠されがちなナイジェリアですが、それだけに魅力もあります。こんなに素敵な人々がいる国は今までありませんでした。いつも優しい人々に囲まれていました。
ナイジェリアの首都アブジャはこの辺り
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ナイジェリアには三週間滞在していました。ベナンのKetouからナイジェリアに入り、Abeokuta→Ibadan→Ogbomoso→Mokuwa→Bida→Abuja→Lafia→Makurdi→Ogoja→Ikom→カメルーンと抜けました。約1500kmと十分にナイジェリア国内を走り回りました。首都アブジャで次の国カメルーンのビザを手に入れます。
ナイジェリア国内を流れるニジェール川。ニジェール(Niger)もナイジェリア(Nigeria)も国名の由来はニジェール川です。どうやら英語読みするとナイジェリアで、フランス語読みがニジェール。ナイジェリアをフランス語圏ではニジェリアと言っています。
アフリカ一番の人口1億5000万人が住む国ですが国土も広いので、ときには何もない緑が広がります。
ナイジェリアではスペイン南部から度々一緒になっている責自さんと一緒に走りました。
それもベナンの日本大使館では「できることなら入国を控えて欲しい」と忠告を受け、知人にも「危険じゃない?大丈夫?」とたくさん心配されました。旅行者が少ないからインターネットで入ってくる情報は頼りなく不安しかありません。だからこそ「しばらくは一緒に走って様子を見よう」とペアランになりました。その上で退避勧告が出ているポートハーコートを含めたナイジェリア南東部はもちろん、大都市であるラゴスも避けるルートを選びました。道路は基本、舗装されていました。
たくさんの街を通り抜けました。
ともかく頑張って走りましたよ。
道路上の穴ぼこには気をつけないといけません。
壮大な大自然の中を走っています。
ナイジェリアの首都アブジャの道路はしっかりと整備されていました。ナイジェリアの真ん中にちょうどアブジャはあり、山がちな場所ですから見たことも無い景色が広がっていました。
少しだけ未舗装路も走りました。
壊れそうな橋を渡ります。
ナイジェリアでの食事を紹介します。ナイジェリア版オムライス。
ガーナと一緒と同じくジョロフと言っていた炊き込みご飯。
同じくジョロフとスープ。
これがスタンダードのぶっかけ飯。「ご飯50ナイラ、あと肉を50ナイラで」と、だいたい100ナイラ(約50円)が一食の目安でした。
あれば豆も盛ることが可能です。
大盛りごはん。
現地食も食べていました。
揚げ豆腐を発見してテンションが上がりました。「ナイジェリアにはどこにでも豆腐があるかも」と喜んでいたら、残念なことにこの一度だけでした。
レストランでジュース休憩する2人。瓶ジュースが500mlで70ナイラ(約35円)とかなり安かったのでよく飲んでいました。
ナイジェリアでも安宿に泊まっていました。くたびれた安宿。
シングル2000ナイラ(約1000円)だった安宿。
首都アブジャには安宿がなく、郊外でようやくみつけた安宿。カメルーンのビザを取る為には大使館へ行く必要があり、アブジャ市街までは自転車で約15km走らないといけませんでした。
でも、2600ナイラ(約1300円)の部屋は過ごしやすかったです。
部屋が広い。水道は出るので、電気さえあれば言うことなしだったんですが。日中は電気がなく、夜中に発電機を回していました。ナイジェリアの電力事情は芳しくありません。
入国は縄が張ってあるだけの国境に戸惑いました。パスポートにスタンプをもらう事務所も離れた場所にあり、係官も「え、お前らナイジェリアのために何を持ってきたの」と横柄な態度で、この先を心配しました。走り出すと10kmに4つも5つも意味不明な検問があり「イエローカード(予防接種の証明書)を持っているか?」と言われ、「なんで、こんな道の真ん中でそれを見せる必要がある」と無視して駆け抜けました。彼らは私服ですし。それこそ、最初はどうなるかと思っていました。でも次第に検問は少なくなり、あっても制服で対応も安心できるものでした。ただ度々、警察署に連れて行かれるのには参りましたが。
数にして5回も警察署に連れて行かれ荷物検査なり、パスポートチェックを受けました。首都アブジャでは一般人らしき人が「友達が来るから待って欲しい」と言うため、待っていたところ現われたのが警察です。その時ばかりは苦笑い。一般人らしき人が「俺はナイジェリアのFBIみたいなもんだ」と言ってたのには本当に笑いました。それにしても煩わしいです。中国、ウズベキスタン、イランなどの国際社会で評判の悪い国々は旅行もしづらかったりします。ナイジェリアも大変でした。
でも、たくさんの優しいナイジェリアの人に会ったことは忘れられません。走っていると「Safe Journey」「Welcome to Nigeria」と何度声をかけられたことでしょう。通り過ぎる自転車に年老いた男性が「こりゃいいもの見た」と大きく笑う顔。恰幅のいいおばちゃんが「グッドラック」とにっとして親指を立てた顔。子どもたちは「オイボオイボ(おそらく外国人の意)」と飛び跳ねるくらいにはしゃぐ顔。ナイジェリアの人たちはどこよりもいい顔をしていました。
そんなナイジェリアの素敵な人たちを紹介します。これがナイジェリアの魅力そのものです。牛使いの男たちと出会いました。この笑顔を見てください。
「なんだこの野郎、ここは狭いんだよ」と文句ありそうなお牛様。今までたくさんの牛を見てきましたが、これほどまでに立派な角を持った牛は見たことありません。
小さいトラックに牛を満載して、彼らは行ってしまいました。
人家からちょっと離れて止まっていたんですが見つかっちゃいました。
近くまでやってきます。
そんな人達と一緒に。「モロッコから旅を始めて、南アフリカを目指している。ちょうど今半分の6ヶ月で、南アフリカまでもう6ヶ月かかるんじゃないかな」少しだけ話をしました。ナイジェリアでこれで通していました。嘘ですけど。日本からだと説明が大変なので。これでさえとても驚きます。
そんな彼らは去り際に拍手をして見送ってくれました。今までこんなことはありませんでした。「ちょっと何これ」と海にでも飛び込みたいほどに彼らの純粋すぎる優しさで胸がいっぱいになりました。「こんなにもピュアな人がいるナイジェリアに来て、本当によかった」と心から思いました。ベンチに肘をついてどこかを見つめている子ども。
道端で焼肉を食べていたら、珍しいのか人だかりができています。かといって不快でもなく、それどころか声すらかけられません。温かく見守られています。
学校の子どもたちが駆け寄って来たかと思えば、カメラを構えたら散っていきました。ピンボケしているけれど、いい光景だったので紹介したいんです。
いい笑顔のバイクの人たちと談笑している責自さん。
バイクといえば走っていると2人乗り3人乗りしたバイクに追い越されます。追い越し際に後ろの人が振り返って見ています。追い越してから運転手も振り返ります。その動作が次から次へと駆け抜けていくから、その不思議な光景に思わず笑っていました。
子どもたちが興味深げに、こちらをうかがっています。
「ちょっとそのタイヤを転がしているところを撮らせてよ」と頼みましたが無理でした。西アフリカでは古いタイヤを転がして遊ぶ子どもたちをよく見かけます。
通り雨が来て、雨宿りさせてもらった民家の軒先。一緒に撮った写真を子どもたちに見せる責自さん。
雨が上がったから、再び走り出します。ありがとうございました。
いい顔している子どもたち。
ふと気が付くと人だかりができてしまうのがナイジェリアです。遠くから見ると襲われてはいないかと冷や冷やしちゃうんですが。
こちらも囲まれています。
路上のぶっかけ飯で昼飯を取っています。
ぶっかけ飯は女性の仕事です。
元気のいい子どもたち。
責自さんが写真を撮っている光景。
てくてくと歩いていく子ども。
こんな場所で休んでいました。
ジュースを飲んでいました。ジャージにクリームがかったグリーンのトレーナーの彼が商店でジュースを売っています。
彼は「お金はいいよ」と言いました。アフリカに入って「何かくれ」と飽きるほど聞いてきましたが「何もいらない」なんて初めてでした。それも彼は普通のナイジェリア人で、どうみたって余裕のある生活じゃありません。だからこそ、その優しさに胸が熱くなりました。そんな厚意だけで十分でした。
打ち解けた彼と一緒に。自転車に乗って遊んでいます。
別の場所で休憩をすると、人が集まってきて見守られます。
だいたいこんな感じで囲まれています。
中央に責自さん。こうしてみるとスーパースターのようですね。
自転車と子どもたち。
柱の間から見つめる子どもたち。
子どもたちに囲まれた責自さん。
「ちょっとこっち来てよ」と呼ばれた若者たち。ちんちくりんな坊やたちも彼らみたいなたくましい若者になるんですね。
「次はこれを撮るんだ」ということですが、これっていったい何なんですか。何を望んでいるんですか。
「おいおいお前、わしも撮らんか」とさとうきびを抱えてポーズを作ったおじさん。ちょっ、楽しすぎます。
楽しすぎた場所で。それこそ去り際には、「楽しかったありがとう」と強く手を振りました。そして「ナイジェリア楽しい」と口に出てしまいます。
こちらは昼食時。またまたこちらもかわいい子どもたちです。
恥ずかしそうなのがとてもいい女の子たち。
写真を撮らせてもらっている構図。
建物の脇から観察されています。
「はいはい、出発するからね」と人だかりをかきわけ自転車を道路に出します。
「ありがとね」と手を振って走り出します。これを何度も何度も繰り返していました。ナイジェリアではいつも近くに人がいました。近くに人がいるけれど、人は前には出てきません。優しく見守られるだけでした。だからこそ、好きになりました。これからナイジェリア人に会うたびに、「ナイジェリアを旅したけれどとっても純粋な人たちがいて楽しかった」と言うでしょう。
こんなに楽しい国はなかったのでお勧めします。ナイジェリアは旅ができない国ではありません。旅してみるかしないかはあなた次第です。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com)
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