A14 BionicチップやTouch IDなど最新技術を詰め込みながら意外とお手頃な第4世代「iPad Air」を他モデルと比較
2020年9月に発表された第4世代「iPad Air」は、iPad Proと同じ新デザインを採用し、トップボタンに指紋認証機能のTouch ID、SoCにはiPhone 12シリーズと同じA14 Bionicを搭載した新しいiPadです。そんな第4世代iPad Airの注目すべき特徴を、各モデルと比較しながらまとめてみました。
iPad Air - Apple(日本)
https://www.apple.com/jp/ipad-air/
記事作成時点でAppleが公式オンラインストア上で販売しているiPadのラインナップは、iPad Pro(第2世代11インチモデルと第4世代12.9インチモデル)・iPad Air(第4世代)・iPad(第8世代)・iPad mini(第5世代)の5モデル。ハイエンドモデルがiPad Pro、ミドルレンジモデルがiPad Air、ローエンドモデルがiPad、小型モデルがiPad miniといった感じ。iPhoneでいうとiPhone 12 Pro/12 Pro Maxがハイエンドモデル、iPhone 12/12 miniがミドルレンジモデル、iPhone SEがローエンドモデルなので、第4世代iPad AirはiPhone 12に相当するモデルとみて良さげ。
そんな第4世代iPad Airの見た目がどんな風に仕上がっているかは、以下の記事を読めばわかります。
第4世代「iPad Air」フォトレビュー、iPad Proと同じ新デザイン&最新A14 Bionicチップ&Touch ID採用のいいとこ取りタブレット - GIGAZINE
本体カラーもiPhone 12と同じようにポップなカラーリングが採用されています。なお、カラーは左からシルバー・スペースグレイ・ローズゴールド・グリーン・スカイブルーの5色。
そんな第4世代iPad Airをその他のiPadと比べると、どのような点が優秀で、どのような機能が欠けているのかをまとめてみました。
◆最新のLiquid Retinaディスプレイ採用もProMotionは非対応
iPad AirのディスプレイはiPhone 12やiPad Proにも採用されている最新のLiquid Retinaディスプレイです。iPad Proのディスプレイサイズは11インチと12.9インチですが、第4世代iPad Airは10.9インチのみ。解像度は2360×1640ピクセルで画素密度は264ppiとなっており、画素密度は最新のiPad Proや第8世代iPadと同等。基本的に第4世代iPad AirのディスプレイはiPad Proと同等の性能を有しているものの、第4世代iPad AirはProMotionテクノロジー非対応なので、リフレッシュレートは120Hzではなく60Hzです。
リフレッシュレートは単位時間あたりに何回画面をリフレッシュするかを示す数値で、数値が高いほどディスプレイ上に出力される映像が滑らかになります。実際にリフレッシュレートが120HzのiPad Proと、60Hzの従来のiPadでApple Pencilを使うと、ProMotionに対応したiPad Proの方がより自然にペンで描いた線が出力されます。
120Hzに対応したiPad Proと60HzのiPadでどれくらい出力される映像の滑らかさが違うかは、以下のムービーを見ると一発でわかります。ただし、その差はスローモーションムービーで確認しなければわからないレベルなので、実際にiPadでApple Pencilを使っていて「線がペンに追いつかない」と悩んでいるようなヘビーユーザーに重宝されそうな機能といった感じ。
iPad Pro 10.5-inch ProMotion 60 vs 120Hz Latency Test with Apple Pencil - YouTube
◆iPhone 12シリーズと同じ最新のA14 Bionicチップを搭載
第4世代iPad AirはTSMCの5nmプロセスで製造されたA14 Bionicチップを搭載しています。これはiPhone 12およびiPhone 12 Proに搭載されているものと同じものです。
そんな最新チップを搭載した第4世代iPad AirをベンチマークソフトのGeekbench 5でテストした結果が以下の通り。なお、スコアは上から順にCPUのシングルコア・マルチコアおよび、グラフィックスAPI・Metalのスコア。スコアが高いほど優れていることを示しており、スコアが2倍なら実際のパフォーマンスも2倍ということを示します。
A14 Bionicチップ搭載の第4世代iPad Airのスコアはシングルコアが「1585」、マルチコアが「4167」、Metalスコアが「12519」。シングルコアのスコアは圧倒的ですが、マルチコアのスコアはiPad Proの方が高め。ただし、どのスコアもiPad Proとは大きな開きはありません。
A12Z Bionicを搭載した第4世代12.9インチiPad Proのスコアはシングルコアが「1120」、マルチコアが「4647」、Metalスコアが「11733」。
A12Z Bionicを搭載した第2世代11インチiPad Proのスコアはシングルコアが「1118」、マルチコアが「4636」、Metalスコアが「11760」。
A12 Bionicチップ搭載の第8世代iPadのスコアはシングルコアが「1112」、マルチコアが「2388」、Metalスコアが「5343」。
A12 Bionicチップ搭載の第5世代iPad miniのスコアはシングルコアが「1111」、マルチコアが「2703」、Metalスコアが「5299」。
最新のA14 Bionicチップを搭載した第4世代iPad Airはシングルコアのスコアが圧倒的ですが、iPad Proの方がマルチコアのスコアは高め。iPad Proと第4世代iPad Airのスコアはほぼ同等ですが、第8世代iPadになるとスコアがガクッと落ちるので、動画編集などコンピューティングパワーを必要とする作業を行う予定の人は、iPad ProやiPad Airを選ぶ必要がありそうです。
◆メインはシングルの12メガピクセルカメラ
第4世代iPad Airのメインカメラは12メガピクセルのシングルカメラで、第1世代11インチiPad Proのカメラとほぼ同等の性能です。
対して最新のiPad Pro(第2世代11インチモデルと第4世代12.9インチモデル)では、12メガピクセルの広角カメラと10メガピクセルの超広角カメラを搭載したデュアルカメラに進化しており、さらにApple初のLiDARスキャナ搭載端末でもあります。iPad Proのデュアルカメラがどのくらい進化したカメラなのかは以下の記事をチェックすればわかります。
「初のデュアルレンズを採用した第4世代iPad Proのカメラはどれだけ進化したのか」を専門家が解説 - GIGAZINE
ただし、最新のiPhone 12 ProなどはiPad Proよりも優れたカメラを有しているため、これらをすでに持っているという人やiPadにカメラ性能は求めていないという人は、iPad Airやさらにカメラ性能が落ちる第8世代iPadなどを選ぶという選択肢もアリです。
プロカメラマンが「iPhone 12 Pro」のカメラを使い倒しレビュー、進化したソフトとハードの両方を体感 - GIGAZINE
◆Touch ID搭載の新しいトップボタン
指紋認証機能のTouch IDといえば、顔認証機能のFace IDが登場する以前に多くのApple端末で採用されてきた認証機能です。最新のiPad Proでは顔認証機能のFace IDが使用可能ですが、第4世代iPad Airでは初めて端末側面にあるトップボタンにTouch IDが統合されています。そのため、新型コロナウイルスのパンデミック下で問題となっている「マスクのせいで端末のロックが解除できない」という問題を気にすることなくスピーディーかつセキュアに端末のロック解除が可能です。
実際に第4世代iPad AirのTouch IDを使ってロックを解除する様子は、以下のムービーでチェックできます。
第4世代iPad Airのトップボタンと合体したTouch IDを使うとこんな感じ - YouTube
実際に使ってみると、Touch IDは軽くトップボタン部分に指を置くだけで機能するので、端末のロック解除などに使用する分にはかなり便利。何度も使用してみましたが高速かつ精度も抜群なので、Touch IDを使うことにストレスを感じることもありませんでした。マスクを付けているせいでFace IDが機能しないiPhoneにこそ欲しい機能に感じます。
◆第4世代iPad Airと他モデルをスペック表で比較
最新のiPad Proと第4世代iPad Airの違いは、「ストレージ」「ディスプレイサイズ」「ProMotionの有無(リフレッシュレートが60Hzか120Hzか)」「チップ」「カメラ性能」「スピーカー」「Face IDかTouch IDか」程度で、それほど多くの違いがあるわけではありません。その他の要素はほぼ同等で、第2世代Apple PencilやSmart Keyboard Folioなどのアクセサリ類も使用可能なため、iPad Airはかなり機能が充実していると言えそうです。第8世代iPadと比べると第4世代iPad Airの機能はかなり優秀ですが、価格も約3万円高くなるので、自身の用途に適したiPadを選ぶ必要がありそうです。
というわけで、第4世代iPad Airと各モデルのスペックを比較すると以下の表の通りになります。
12.9インチiPad Pro (第4世代) | 11インチiPad Pro | iPad Air (第4世代) | iPad (第8世代) | iPad mini | |
---|---|---|---|---|---|
ディスプレイ | Liquid Retinaディスプレイ 12.9インチ(対角)LEDバックライトMulti-Touch(IPSテクノロジー搭載) 解像度: 2732×2048 最大輝度600ニト(標準) 耐指紋性撥油コーティング フルラミネーションディスプレイ 反射防止コーティング ProMotionテクノロジー 広色域ディスプレイ(P3) True Toneディスプレイ | Liquid Retinaディスプレイ 11インチ(対角)LEDバックライトMulti-Touch(IPSテクノロジー搭載) 解像度:2388×1668ピクセル、画素密度:264ppi 最大輝度600ニト(標準) 耐指紋性撥油コーティング フルラミネーションディスプレイ 反射防止コーティング ProMotionテクノロジー 広色域ディスプレイ(P3) True Toneディスプレイ | Liquid Retinaディスプレイ
| Retinaディスプレイ
| Retinaディスプレイ 7.9インチ(対角)LEDバックライトMulti-Touch(IPSテクノロジー搭載) 解像度:2048×1536ピクセル、画素密度:326ppi 最大輝度500ニト(標準) 耐指紋性撥油コーティング |
SoC | A12Z Bionic | A12Z Bionic | A14 Bionic | A12 Bionic | A12 Bionic |
ストレージ | 128GB/256GB/512GB/1TB | 128GB/256GB/512GB/1TB | 64GB/256GB | 32GB/128GB | 64GB/256GB |
バッテリー | Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生:最大10時間 | Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生:最大10時間 | Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生:最大10時間 | Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生:最大10時間 | Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生:最大10時間 |
対応するApple Pencil | Apple Pencil(第2世代) | Apple Pencil(第2世代) | Apple Pencil(第2世代) | Apple Pencil(第1世代) | Apple Pencil(第1世代) |
対応するiPadキーボード | Magic Keyboard Smart Keyboard Folio | Magic Keyboard Smart Keyboard Folio | Magic Keyboard Smart Keyboard Folio | Smart Keyboard | なし |
カメラ | 12MP広角カメラと10MP超広角カメラ 広角:f/1.8絞り値 超広角:f/2.4絞り値 手ぶれ補正機能を使ったLive Photos より明るいTrue Toneフラッシュ 写真とLive Photosの広色域キャプチャ 裏面照射 5枚構成のレンズ ハイブリッド赤外線フィルタ Focus Pixelsを使ったオートフォーカス(広角) タップしてフォーカス(広角) 露出コントロール 写真のスマートHDR パノラマ(最大63MP) バーストモード タイマーモード 写真へのジオタグ添付 | 12MP広角カメラと10MP超広角カメラ | 12MP広角カメラ
| 8MP広角カメラ
| 8MP広角カメラ |
ビデオ撮影 | 4Kビデオ撮影(広角:24fps、30fpsまたは60fps、超広角:60fps) 1080pスローモーションビデオ(広角:120fpsまたは240fps、超広角:240fps)に対応 手ぶれ補正機能を使ったタイムラプスビデオ 映画レベルのビデオ手ぶれ補正 連続オートフォーカスビデオ 3倍ビデオズーム 裏面照射 ビデオへのジオタグ添付 | 4Kビデオ撮影(広角:24fps、30fpsまたは60fps、超広角:60fps) | 4Kビデオ撮影(24fps、30fpsまたは60fps)
| 1080p HDビデオ撮影(30fps)
| 1080p HDビデオ撮影(30fps) 720pスローモーションビデオ(120fps)に対応 手ぶれ補正機能を使ったタイムラプスビデオ ビデオ手ぶれ補正 撮影中にタップしてフォーカス 3倍ビデオズーム 裏面照射 ビデオへのジオタグ添付 |
フロントカメラ | TrueDepthカメラ 7MPの写真 ポートレートモード ポートレートライティング アニ文字とミー文字 Live Photos Retina Flash 写真とLive Photosの広色域キャプチャ 1080p HDビデオ撮影 写真とビデオのスマートHDR 裏面照射 バーストモード Wi-Fiまたは携帯電話ネットワーク経由でのFaceTimeビデオ通話 | TrueDepthカメラ 7MPの写真 ポートレートモード ポートレートライティング アニ文字とミー文字 Live Photos Retina Flash 写真とLive Photosの広色域キャプチャ 1080p HDビデオ撮影 写真とビデオのスマートHDR 裏面照射 バーストモード Wi-Fiまたは携帯電話ネットワーク経由でのFaceTimeビデオ通話 | FaceTime HDカメラ 7MPの写真 Live Photos Retina Flash 写真とLive Photosの広色域キャプチャ 1080p HDビデオ撮影 写真とビデオのスマートHDR 裏面照射 バーストモード Wi-Fiまたは携帯電話ネットワーク経由でのFaceTimeビデオ通話 | FaceTime HDカメラ 1.2MPの写真 Live Photos Retina Flash 720p HDビデオ撮影 写真のHDR 裏面照射 バーストモード Wi-Fiまたは携帯電話ネットワーク経由でのFaceTimeビデオ通話 | FaceTime HDカメラ 7MPの写真 Live Photos Retina Flash 写真とLive Photosの広色域キャプチャ 1080p HDビデオ撮影 写真とビデオの自動HDR 裏面照射 バーストモード Wi-Fiまたは携帯電話ネットワーク経由でのFaceTimeビデオ通話 |
オーディオ | 4スピーカー | 4スピーカー | 2スピーカー | 2スピーカー | 2スピーカー |
セキュア認証 | Face ID | Face ID | Touch ID | Touch ID | Touch ID |
コネクタ | USB-C Smart Connector | USB-C Smart Connector | USB-C Smart Connector | Lightning Smart Connector | Lightning |
ワイヤレス通信方式 | ・全モデル ・Wi-Fi+Cellularモデル | ・全モデル Wi‑Fi 6(802.11a/b/g/n/ac/ax) 2.4GHz/5GHz 同時デュアルバンド 最大1.2Gbpsの速度 MIMO Bluetooth 5.0テクノロジー ・Wi-Fi+Cellularモデル | ・全モデル Wi‑Fi 6(802.11a/b/g/n/ac/ax) 2.4GHz/5GHz 同時デュアルバンド 最大1.2Gbpsの速度 MIMO Bluetooth 5.0テクノロジー ・Wi-Fi+Cellularモデル | ・全モデル ・Wi-Fi+Cellularモデル
| ・全モデル Wi‑Fi(802.11a/b/g/n/ac) 2.4GHz/5GHz 同時デュアルバンド 最大866Mbpsの速度 MIMO Bluetooth 5.0テクノロジー ・Wi-Fi+Cellularモデル |
価格 | ・Wi-Fiモデル ・Wi-Fi+Cellularモデル | ・Wi-Fiモデル ・Wi-Fi+Cellularモデル | Wi-Fiモデル Wi-Fi+Cellularモデル | Wi-Fiモデル Wi-Fi+Cellularモデル
| Wi-Fiモデル Wi-Fi+Cellularモデル |
iPad Proで最も安価なのは第2世代11インチiPad ProのWi-Fiモデル128GB・税別8万4800円で、第4世代iPad AirはWi-Fiモデル・64GBの税別6万2800円。iPad Airの方がかなり安く感じますが、ストレージサイズは異なる点には注意が必要です。なお、同じストレージサイズ(256GBモデル)で価格を比較すると、その差は税別1万6000円となります。
Apple Pencilを使ったお絵描きやデザインなどが行いたいという人や、ノートPC代わりにムービー編集や文書・スライドの作成などの作業が行いたいという人は、iPad Airが選択肢に入ることとなりそう。特に「iPadに高性能なカメラは不要」という人や、「データはクラウド上に保存するのでストレージは少なくてもOK」といった人、「なるべく安く高性能なタブレットが欲しい」という人にとって、第4世代iPad Airは最高の選択肢となりそうです。
ただし、最も安価なモデルの価格を比較すると、第4世代iPad Airは第8世代iPadよりも税別2万8000円も高いので、主要な用途がムービーの再生やウェブブラウジングなどといった人は、安価なiPadを選べば十分そうです。
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