取材

人と龍がともに生きる「空挺ドラゴンズ」のファンタジー世界をリアリティある姿で生み出したポリゴン・ピクチュアズのスタジオを見てきた


2020年1月から放送中のテレビアニメ「空挺ドラゴンズ」のアニメーション制作を手がけているポリゴン・ピクチュアズは、映画・CM・ゲームなどのデジアルアニメーション制作で知られる老舗です。「空挺ドラゴンズ」では、架空の生物である龍がまるで本当の生き物であるかのように感じられますが、この映像はいったいどんなスタジオから生み出されているのか、実際にスタジオ内部を見せてもらいました。

アニメ「空挺ドラゴンズ」公式サイト
https://drifting-dragons.jp/

Polygon Pictures Inc.
https://www.ppi.co.jp/

オフィス内部に入るとぱっと目に飛び込んでくるのはカラフルなパーティションと、奥の「POLYGON PICTURES」の文字。


このワンフロアにすべての作業工程が集約されています。


スタッフは作品別ではなく工程別に固まって配置されています。端はCGディレクターの方々のスペース。


通路部分のパーティションが一段高くなっているので、開放感はありつつもしっかり区切られている、という感じ。なお、CG制作では、プロジェクト初期はモデルを作成するスタッフが多数必要ですが、制作が進むとアニメーターが必要になってくるといったように時期によって必要な工程の人数が変動するため、わりと細かく席替えが行われるそうです。


イスは人によってさまざま。厳密に色を見る必要がある人は、それぞれモニターに覆いをつけたり、デスクそのものに屋根のようなものを取り付けたりしていました。席替えの際はイスだけではなく使用しているPCごと移動することになるので、大変そう……。


カラフルなパーティションのおかげか、細かく区切られつつも閉塞感はあまりありません。


数ブロックごとに加湿器が設置されていました。


モデル作成を担当しているスタッフの机には人体模型が並んでいました。


「空挺ドラゴンズ」を担当している吉平“Tady”直弘監督のデスクを発見。


先ほど見えていたデスク左側の大きなパネルの裏側には、びっしりと原作のコマを切り抜いたものとイメージボードが貼られていました。これが一体何なのかは吉平監督に直接質問しているので、のちほど掲載予定のインタビュー記事をお楽しみに。


参考資料コーナーにあったこの胸像にも、きっと深い意味があるはず。


こちらの棚はちょっと小ぶりで、中段にはシールがきれいに並べられていました。


トランスフォーマーやゴジラのしっぽが並ぶ棚も。


ジェームス・ガーニー著「カラー&ライト~リアリズムのための色彩と光の描き方~」が3冊並んでいました。アニメ制作会社の本棚にリチャード・ウィリアムズの「アニメーターズ・サバイバルキット」が必ず備えられているのと同じ感じでしょうか。


さらに端の方までいくと、ツールの開発などを行っている部署がありました。


「POLYGON PICTURES」の文字の向こう側は休憩スペースになっていて、外の棚どころではない量のマンガ類が並んでいました。


そして、ちょうど文字の上にスクリーンが設置されています。


このスペースを利用して、映像上映を行うこともあるそうです。


なお、複数のミーティングスペースも設けられているのですが、時にはミーティングスペースが足りなくなることがあるとのことで、通路にスタンディングスペースが設置されていました。


おおむねオープンなポリゴン・ピクチュアズのオフィスですが、一部、壁で区切られた部分があります。


その1つが編集室。放送する一工程前の素材を作り上げるため、色を正しく確認するために、照明がかなり落とし気味となっています。


最後は複数環境のモニターを使い、できあがった素材が問題ないかどうかのチェックと最後のブラッシュアップが行われます。


同じく大きなパーティションで区切られていたのは管理の部署でした。パーティションには手がけてきた作品のチラシなどが貼られていました。


「DO NOT ENTER」ということで、ここで引き返します。


ここからはちょっと裏側へ。厳重な扉の向こう側はサーバールーム。ポリゴン・ピクチュアズの心臓部といえるかもしれません。


その向かいには、役目を終えたサーバーたちが並んでいました。


試写なども行える、大きめの会議室。


プロジェクターとは別のカメラが設置されている、と思ったらこれはモーションキャプチャー用。社内でもモーションキャプチャーすることができる環境が整えられていました。


「集団力」「創意」「行動」の3つで価値を生み出していくというポリゴン・ピクチュアズのバリューを示した3枚組のパネル。


そしてエントランスへ。すごい奥行きを感じるのは、模様の効果で閉塞感を感じさせない工夫だとのこと。


カーペットはポリゴン(多角形)の模様になっていました。


「空挺ドラゴンズ」のほか「Levius」「HUMAN LOST 人間失格」など、手がけた作品のパネルやグッズが並びます。


多数の賞を受賞しているので、そのトロフィー類も並んでいました。


30代以上の人なら知っているかもしれないこのペンギンは、「資生堂 HG スーパーハード」のCMに登場したイワトビペンギンのロッキー×ホッパー。CGマスコットキャラクターとして、かなり先駆けた存在です。


SHISEIDO HG SuperHard CM - YouTube


「空挺ドラゴンズ」はフジテレビ系列「+Ultra」枠で毎週水曜日24時55分から絶賛放送中。関西テレビ、東海テレビ、テレビ西日本、北海道文化放送、BSフジでも放送があるほか、Netflixでは全話一挙配信中です。

【2020.1.8放送開始】TVアニメ「空挺ドラゴンズ」本PV - YouTube


「空挺ドラゴンズ」を経て、これからポリゴン・ピクチュアズがどんな作品を生み出してくるのか、非常に楽しみです。

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in 取材,   動画,   アニメ, Posted by logc_nt

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