メキシコは「修羅の国」という噂の通り危険な国でした

メキシコは2ちゃんねる界隈では「修羅の国」と形容されていますが、実際に旅をしてもそのように感じました。モヒカンと肩パッドが思い浮かぶ光景もチラホラと……。麻薬組織と治安当局による抗争だけが取り上げられがちですが、その根底には絶対的な貧富の差がある気がしてなりません。貧しさの反面で、アメリカのような巨大スーパーマーケットや、日本のような24時間営業のコンビニがある「豊かなメキシコ」の側面もあります。TPPにも参加しているメキシコの実態を皆さんはどれだけ知っていますか?メキシコのお店ではお客様は泥棒扱いなので、鞄や荷物は全て預けることになっています。
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。メキシコは今までの旅の中でも特に危険な国でした。
◆経済発展
メキシコにはいろんなスーパーマーケットがあって、値札に競合スーパーのレシートを張りつけ「この商品はあのスーパーより安いですよ」と本気で殴り合いをしていました。あのウォルマートですら比較の対象になっています。大型スーパーばかりが目立っていたのですが、ユカタン半島ではコンビニを少し大きくしたミニスーパーもあります。靴や文房具といったお店も、チェーン化されていて同じ名前がメキシコ全土に広がっていました。ドラッグストアでは、日本と同じように食品まで取り扱っていました。コンビニもたくさんあって、辺りに何もないガソリンスタンドに併設されていたらオアシスのよう。市場の賑わいも負けてなく、庶民の生活を支えています。果物や野菜といった生鮮食品はスーパーより安く、ショーウインドウ越しに商品と値札が並ぶ商店に、日本の100円ショップに相当する“4ペソショップ”もあって、メキシコの日常には物があふれていました。
「Liverpool」は大型百貨店。

「coppel canada」も百貨店みたいでしたが、メキシコ全土の小さな街にまで店舗があります。高級路線ではないですね。

アメリカ資本の「Walmart」もメキシコ各地に。

そのWalmartが展開する倉庫型スーパーマーケットが「Sam's Club」、日本にも進出している「Costco」や地元メキシコの「City Club」といったチェーン店もあります。

「Bodega Aurrera」もWalmartが運営しているスーパーマーケット。日本の「西友」みたいな感じでしょうか。

メキシコ資本の「SORIANA」、グループは全土で500店舗以上を展開。

レジ隣のパイプにお金を入れたカプセルを投入して、一箇所に回収するスーパーマーケットのシステムがメキシコに。

メキシコ北部にあった「Santafe」というスーパーマーケット。

ユカタン半島にあったミニスーパー。

「elektra」は電気店。メキシコ全土に店舗があります。

ドラッグストア。

市場も市場で、人があふれています。

小さな街ではスーパーマーケットより、市場の周りで買物している人が多かったです。

市場の中。

野菜と果物の彩り。

商店のショーウインドウ。

たくさんの商品が並べられていました。

日本の100円ショップに相当する4ペソ(約31円)ショップ。メキシコシティでは3ペソ(約23円)ショップもありました。

全土で9000店舗以上を展開している「OXXO」はコンビニ界の巨人。

「extra」もよくみかけてました。

メキシコシティやユカタン半島などエリアが限られていましたが「セブンイレブン」も。

ファストフードでは「マクドナルド」や「サブウェイ」

「バーガーキング」もありました。

丘のてっぺんにあるアンテナ群。メキシコでも4Gが始まっています。

農業が盛んなシナロア州では小型飛行機で農薬の散布をしていました。

電気料金のメーターはデジタル式だったり。

◆インフラの整備
人口900万人を超えるメキシコシティの中心を、網の目状にめぐらされた地下鉄が結んでいました。

地元の福岡と一緒でそれぞれの駅にシンボルマーク。

地下鉄は距離に関係なく1回3ペソ(約23円)。

乗り換えの連絡路にはプラネタリウム。

なんだかロマンティック。

バスステーションも綺麗に整備されています。

こんなにまで幅の広いメキシコシティの主要道。

高速道路もメキシコ全土を網羅しています。100万人都市のプエブラもスムーズ迂回。

ただ、街の排水はイマイチで一雨降れば道路が水浸しの所も。

全般的にインフラは整っていましたが、水道水は飲めません。地元の人は巨大なボトルの水を買っていました。

◆発展の裏側で
こうした発展だけをみていると先進国と変わりませんが、機関銃を持った覆面の軍人が街をパトロールしているのがメキシコです。一人当たりの所得が同程度のトルコや東欧とは違ってピリピリとした空気を感じていました。
アメリカとの国境では盛んに「保険に入っておきなさい」と広告。

一見すると綺麗な家ですが、窓も扉も鉄格子に覆われています。

安宿のテレビも盗難にあうのか鉄格子。西成の宿の記事も書きましたが、薄型液晶テレビはむき出しでした。それどころか「ちょっと出てくるから、出発するときは鍵を置いていってね」っていうのが日本ですから。

割れた窓を放っておくと犯罪が増えるという「割れ窓理論」という言葉があります。賛否両論あるみたいですが、自分も空気の悪い場所は好きではありません。メキシコには落書きの悪意が蔓延していました。
壁。

シャッターに。

屋根にまで上って。

メキシコシティ中心の宿から出てすぐ。

人の高さに沿って落書きが続いています。

扉が開いても入りたくない。

何もな無ければ廃墟ですが、落書きで危険な雰囲気に。

魔物でも住んでいそうなビル。

バスの窓にまで落書き。

バス停もこの有様。

標識が見えません。

ゴミに関してもメキシコ人のマナーは感心できません。高速道路のサービスエリアのゴミ箱(ドラム缶)を清掃に来ていた作業員が、辺りに散らばったゴミを集めることなく遠くに投げ捨てていて言葉を失いました。走行中の車からも缶がポンポンと投げ捨てられます。こういうのを見て育つのか、お店の外から3歳~4歳ぐらいの可愛らしいお嬢ちゃんが出てきたかと思ったらお菓子の袋を道端にポイ。街は基本的に汚いです。
ゴミ箱はあるのに……

街の郊外で。

交通マナーもカナダ、アメリカと比べるとメキシコは最低です。右側通行の右端を自転車で直進しているのに、追い越して間髪入れずに右折してきたらぶつかるでしょうに。TPPの参加によって日本で運転することになれば怖いですね。
そして、メキシコシティのバスターミナルに張られていた行方不明者のポスター。

身代金目当ての誘拐は、日本の海外安全ホームページにも注意が促されています。

◆貧富の差
1910年に始まったメキシコ革命、1968年のメキシコ五輪の開催、1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)への加盟と、メキシコの歴史から貧富の差は一向に変わっていません。統計的な一人当たりの平均所得は高いのですが、貧富の差が激しいので大半の人はもっと低い所得で暮らしているようでした。
太平洋湾岸のリゾート地マサトランの高層ビル。

こちらもリゾート地でユカタン半島のカンクン。

メキシコ湾岸ベラクルスの華やかなセントラル。

普通の人が暮らす住宅はこういった感じでしょうか。

同じ形の家が続くのは公共住宅?

こちらは年季が入ってます。

建設中。

この田舎の集落は平和そうで。

でも別の場所では、バラック小屋の集落も。

見るからに頼りない家。

スラム。

鉄筋コンクリートの立派な建物に混じって、茅葺の古い家があったユカタン半島のツルム。

2012年末のメキシコ北部で道路封鎖のデモに遭遇しました。ギリシア、イタリア、フランス、スペインとラテンヨーロッパの国の伝統をメキシコも受け継いでいます。これといって緊張した感じではなく、自転車は横を通り抜けさせてくれて、封鎖も短時間で終わっていました。
封鎖中。

立ち往生するトラックたち。

何かポスターを掲げていました。

このメキシコの貧しさに自分も巻き込まれ、安宿では知らない間に現金をくすねられ、走行中にデジカメと腕時計を強奪されました。これだけ書いたメキシコの治安はグアテマラに比べるとまだマシみたいで、こちらでは散弾銃を持った警備員が構えています。
メキシコ自体はこれだけ発展しているのですから、もっと全体が幸せになるように進んで欲しいものですが……。1924年のベラクルスはこれ程までに完成されていたというのに。未だに発展が全体に及んでいません。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com)
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