取材

イタリア観光はぶっ飛んだ日常が目に入ることもあるので過剰な期待は禁物


落書きだらけの電車を見かけて、モヒカンや肩パッドがあふれた修羅の国にでも向かうのかと思いました。華やかな観光地のイメージとは裏腹に、イタリアの日常には戸惑うこともあります。ゴミ箱からあふれだすゴミの山、スーパーの前で露店を開いている人、街を走る凸凹だらけの車とG7(主要国首脳会議)の一角を占める国とは思えない光景。観光地ですらトイレにあるはずの便座が見当たりません。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。北アフリカのチュニジアからシチリア島のパレルモに入り、約4週間でイタリアを縦断してアルプス山脈に抜けました。初のイタリアとなったのですが、歴史の重みがある古代ローマ遺跡に、ピザを始めとする豊かな食文化と、滞在自体は楽しかったのですが、残念な衝撃を受けることも何度かあり、いろいろと考えさせられました。

◆華やかな観光地
大規模な火山噴火によって滅亡したイタリア南部ポンペイの遺跡は、長い間火山灰に埋もれていたこともあって、古代ローマ人が暮らしていた街なみを、当時に近い状態で現代へと伝えてくれます。個々の建物ではなく、町自体が遺跡となっているので、けっこう歩き周りました。


ローマ観光では欠かすことのできなかった円形闘技場のコロッセオ。日本のドーム球場のような巨大な建築物が、今から1900年も昔に造られたなんて信じられません。入場券は3つの場所のものが共通なので、フォロ・ロマーノパラティーノの丘で購入しておくと、コロッセオでは行列に並ぶことなくスムーズに入場できます。


見つけた瞬間に声をあげてしまうピサの斜塔。街中から見つけると、本当に傾いているので驚きました。


日本人観光客にも人気の花の都フィレンツェ。こちらは大聖堂に石畳と中世ヨーロッパを感じる街なみです。


北部イタリアで立ち寄ったヴェローナという街の中心にも円形闘技場を発見。


世界一となる50件の世界遺産を抱える観光大国イタリアは、ヨーロッパだけでなく世界中から観光客が集まります。ガイドブックを眺めて憧れる方も多いでしょう。ただ、実際のイタリアでは、以下のような出来事に遭遇しました。

◆信じられない日常
首都ローマに到着したものの、予約していないホステルを何軒回ってもベッドの空きはなく、夜中まで走って郊外のキャンプ場に移動する事態に。そこを拠点にローマ市街へ観光に出かけます。

中心部まで電車で行けるのですが、駅の入口が廃屋のようでした。


電車の窓には、狂気のピエロが描かれています。


悪意のある落書きで汚されてしまった電車の車両。このような光景は二次元の世界だけにして欲しいものです。


地下鉄の入口も汚れています。駅構内も薄暗いです。


雰囲気が悪いことは地下鉄の運営会社も分かっていて、このビフォーアフターのように改善されている場所もあります。


電車と同様に落書きの標的となってしまった乗用車。


郵便ポストも綺麗に使われてないですよね。


コロッセオの近くにある遺跡フォロ・ロマーノの公衆トイレは綺麗ですが、便座が付いていませんでした。いっそのこと和式にしてくれればいいのに。


何より酷かったのが、ヴェローナの公衆トイレでした。街中の標識を頼りに歩いていくと、外観からして只ならぬ雰囲気の建物に到着。有料なので、小銭を入れるとドアが開きます。


その瞬間に打ちひしがれてしまった悲惨な状況。便座はないどころか、全部の壁が落書きで汚されています。


想像を絶する惨状でした。


回収されないゴミが街に溢れるナポリのゴミ問題は、日本でも話題となりました。今回の走行で見た限り、ナポリはいたって正常だったのですが、南部の一部地域では同様の問題が起きているのか、ゴミ捨て場が溢れ出していることも。写真はローマのゴミ捨て場ですが、好きなときにゴミを出せるの便利な反面、回収が間に合わないと街が汚れますよね。


小さな町の公園でもゴミ箱があるというのに、ベンチの周りはゴミだらけ。


このイタリアの状況も場所によって差異は大きく、南部より北部の方が落ち着いていて、北部でも南チロルとも呼ばれるボルツァーノ近郊は、南部とは見違える位に綺麗な街なみでした。南部では自動車の運転も荒く、結構なスピードで飛び出してくることもあって、街中であっても注意が必要。ナポリ近郊で走っていた自動車はボディの傷が多いこと多いこと……。

事前情報なしに乗り込んだイタリアですが、記事を書くにあたってインターネットを調べてみると、皆さん同じことを感じているようですね。この他にもローマでは「ちょっと、お金ちょうだいよ!」とアクティブな物乞いに絡まれたりします。特に南部ですが、アラブ系やアフリカ系の人たちが、交差点に止まる車の窓を磨いたり、スーパーの前でショッピングカートを集めたりと、勝手に働いている方々も多くて移民政策にも疑問を感じました。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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