取材

アフリカの終わりを感じたボツワナとナミビア、誰もいない地平線を追いかけて


こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。日本だと北海道の「スーパーマーケットまで直進110km」という案内表示がネットで騒がれたりしましたが、海外でも普通にそういうことがあります。ボツワナナミビアには驚くほど人が住んでいません。誰もいない地平線を追いかけてひたすら走っていました。ボツワナで段々と薄くなっていくアフリカの感覚。そしてナミビアのヨーロッパのような街並みに、アフリカの終わりを感じました。この終わりをずっと求めていたけれど、終ってみると少し寂しくもあります。

ナミビアの首都Windhoek(ウイントフック)はこちら。

大きな地図で見る

サファリツアーに参加したKasane(カサネ)を離れます。Kasaneの近郊では走行中にちらほらと野生動物をみかけました。サファリツアーは終りません。

「ゾウに注意」の看板


ゾウさんが現れました。しばらくみつめあった後、森の中へ姿を消しました。


キリンさんはこちらの様子をうかがっています


シマウマさんが逃げ出しました


道中に「自転車で走っている」と話すと、スーパーのおばちゃんなんかは「象がいるわよ、ライオンもでるわよ、あんた怖くないのかい」と真面目な顔して言います。「ライオンは怖いけれど、象は襲ってこないんじゃない、草食動物だし」と説明するけれど、おばちゃんは両手でゾウの長い鼻の真似して、「しめつけられるわよ」と伝えてきます。「いやいや、象は怒っていないよ」と返すけれど、本当は危ないのでしょうか。

Kasane(カサネ)→Nata(ナタ)→Maun(マウン)→Ghanzi(ハンツィ)→Gobabis(ゴバビス)→Windhoek(ウイントフック)、と走っていきます。一つの区間がだいたい200kmから300kmで、その間は何もありません。ボツワナ、ナミビアともに日本より遥かに広い国土を持っているのに、それぞれ人口は200万人位しかありません。世界でも有数の人口密度の低い場所になるでしょう。地平線が広がるだけのひたすら平坦な道です。期待していただけあって、はしゃぎながらペダルを回しました。気持ちが高ぶって空に拳を突き上げそうになります。ボツワナは追い風が吹いてガンガンと走れました。ナミビアに入るとなぜか向かい風にくじけそうでしたが。まぁ、どちらにしてもチャリ旅を楽しめる素敵な場所です。


ひたすら、地平線に続く真っ直ぐな道を撮っていました。

3月16日


3月18日


3月19日


つまらない風景ですが、毎日同じ風景です。

ボツワナの平坦で真っ直ぐな道路を自転車で走る - YouTube


3月24日


3月26日


3月28日。実はもうナミビアに入っています。


3月29日


だいたい毎日こんな感じです。1日の走行が167.61km、距離は出ますよ。


退屈な走行だったので単語帳を作って、いつしか訪れる中米、南米のためにスペイン語の勉強をしていました。


イノシシに注意の看板を発見。たまに見つけるのですが、全力疾走で道路から離れていきます。


スピード制限は「120km」、一般道路でこれですから。


ナミビアとの国境が近くになって「South Africa」という地名がついに看板に出ました。感慨深いです。


ナミビアのWitvlaiのガソリンスタンド兼商店


ナミビアの何もない区間にあったオアシス。冷えたジュースで休憩しました。


野生動物はKasane-Nataの間くらいで後は家畜しかみかけていません。たくさんの牛の姿がありました。牧場の中を道路が走っているといったら分かりやすいでしょう。オーストラリアみたいです。他にも羊や山羊や馬やロバが道にあふれています。

おくつろぎされているお牛様のご一行


お馬もパッパカ走っています


こっちに気がついた!


道路上をコロコロと茶色い物体が転がっていくと思ったら、フンコロガシの仕業でした。


フンの上に乗っかったり、


横にしがみ付いたりと、


フンまみれになりながら転がしていました。


ボツワナで一心不乱にフンと格闘するフンコロガシ - YouTube


スイカに似た蔦植物が道路わきに生えています。「ドドリアさん」を思い出してニヤニヤしていました。


ボツワナは高級ホテルがキャンプ場も併設していて快適に過ごせました。高級ホテルだけあってキャンプサイトでも綺麗に整備されています。キャンプだと安くて1泊600円くらいでテントを張っていました。水シャワーなんてもう浴びません。気持ちの良いホットシャワーがです。便座のはもちろん備え付けられています。電源があればテントの中でパソコンの作業ができました。

Maunで泊まった「Sedia Hotel」


日本の一戸建てみたいなこの家も宿泊施設、1泊1万円位するそうです。


キャンプサイトの木陰にテントを張ります


Ghanziで泊まった「Kalahari Arms Hotel」、ここも綺麗な場所でした。


ここもキャンプですけど


街がないところでは野宿をしていました


ヤスデが怖いです。こいつがテントの中に入ってきたらと思うと……。アフリカ南部から、こうしたヤスデが全足で動いている姿をみかけます。棒とかで突っつくと渦巻状に丸まります。


豆の缶詰と桃の缶詰。ザンビアで調理ストーブのポンプを紛失して、自炊をしない走行が続きました。ボツワナでは200円くらいでテイクアウェイができるから良かったのですが、やっぱり自炊をしないとキャンプは盛り上がりませんね。


ボツワナはもうこれまでのアフリカではありません。電気や水道の心配なんてなく、どこででも冷たいジュースが飲めました。スーパーマーケットが普及しているので、これまでのような個人商店はあまりみかけません。かつては最貧国に位置していたボツワナですが、豊富な天然資源を元に確実な経済成長を遂げています。これまでに訪れたアフリカ諸国だと、天然資源に頼る構造と少ない人口規模はガボンに似ています。ただガボンの食料品ですら輸入に頼る状況と比べたら、ある程度のものを自国で生産できるボツワナ経済には力強さを感じました。ザンビアもそうでしたが自国ブランド品が他国ブランド品(ここだと主に南アフリカ産)と張り合っています。こうして自国でモノを作るようになれば、アフリカも変わるんでしょうけどね。

Maunのたくさんの車が駐車してあるショッピングモール


同じくMaunのスーパーマーケット「Spar」が入るモール


Ghanziのスーパーマーケット「Spar」


同じくGhanziのスーパーマーケット「CHOPPIES」


ナミビアの首都Windhoekはもうすぐです。Windhoekの郊外は何もありません。


標高1500mを超えるWindhoek近郊では、心まで晴れ渡るような澄み切った青い空が広がります。


そしてWindhoekの街にたどりつきました。遠めにみると小さな街です。人口約30万人ですからね。


でも、中心部を歩くと大きくみえます。高層ビルの谷にある信号機。


市中心部を南北に貫く大通り


「Giant」「Specialized」「GT」「Shimano」、ヨーロッパ以来の本格的なサイクルショップがありました。


Cymotには自転車も扱う総合アウトドアショップの「Green Sport」が入ってます


ショッピングモールの看板。ここWindhoekでは、何だって揃っていますよ。


ジンバブエ、ボツワナで終わりを感じていたアフリカの旅ですが、ナミビアではっきりと終わりを確信しました。

アフリカでよく見かけていた路上で野菜を売るおばちゃんの姿なんてもうありません。スーパーマーケットに行けば何でも揃っています。値札がついているので交渉の必要もありません。お釣りもちゃんと用意されています。ブトウやモモといった果物も簡単に手に入ります。自分の知るアフリカの果物はバナナ、マンゴー、パイナップルの3つだけでした。鶏肉だってブロイラーで養鶏が行われているようです。これまでだと放し飼いにされている元気な地鶏でした。(それはそれで美味しかったのですが。)西アフリカの輸入品であふれるスーパーマーケットだと日本より高くて何も買えませんでしたが、ここだとナミビア産、もしくは南アフリカ産で品物が占められているので、日本より少し安いくらいで何でも手に入ります。

便利になって旅もやりやすくなりました。自分の求めていたものです。

でも少し、あの賑やかさが寂しくもあったりします。おばちゃんが鍋を持って外でやっている屋台飯には優しさがありました。子どもたちの真っ直ぐにみつめる眩しい瞳は忘れられません。何もなかった分、便利でなかった分、人と人の距離が近かった気がします。嫌なこともたくさんあったけど、こう思い返すのは楽しかったからかもしれません。

しんみりとしてしまうのですが、それを打ち破るほどの大自然がナミビアにはありました。アフリカの旅はまだ終りません。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
)

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
川を泳いでいくゾウの姿をボツワナのチョベ国立公園で発見 - GIGAZINE

自転車旅行におけるペアランツーリングの魅力、嬉しいことは二人分、悲しいことは半分、食欲は軽く四人前、そして学ぶことは数知れず - GIGAZINE

思いがけない所で目に留まるオバマ大統領の姿、アフリカ各地で見かけた様々なオバマグッズを追い求めて - GIGAZINE

アフリカ諸国との格の違いを見せつけられたジンバブエの現状 - GIGAZINE

ザンビアを最貧国と報道してバンブーバイクを売ることが「貧しさ」を作っているのではありませんか? - GIGAZINE

「便座がない」「電球が赤い」と突っ込むことが多いアフリカ安宿事情まとめ - GIGAZINE

マラウイはブラックマーケット、ガソリン不足、インフレーションと経済が混乱中でジンバブエ化の気配も - GIGAZINE

タンザニア、マラウイと全てのアフリカで出会った純粋に生きる子どもたち - GIGAZINE

タンザニアでサバンナを歩くゾウやキリン、思い描いていたアフリカに到達 - GIGAZINE

ルワンダの新しい国づくり、「ジェノサイドの悲劇」から「アフリカの奇跡」へ - GIGAZINE

電気も値札もないウガンダでアフリカがいつまで経っても貧しい理由を理解 - GIGAZINE

西アフリカのどんな国より旅しやすい東アフリカのケニアの魅力について - GIGAZINE

南スーダンでも誤解を受けていた日本の「トイレバイク」 - GIGAZINE

コンゴでマラリアと腸チフスを併発したチャリダーマン、ビザが取れず立ち往生 - GIGAZINE

オムレツスパゲッティ、ブッシュミート、キャッサバ、焼き魚……カメルーンの食は豊かで美味しすぎました - GIGAZINE

日本では考えられない格安携帯「Nokia1280」をアフリカで手に入れました - GIGAZINE

アフリカの携帯電話事情まとめ、街中に携帯の充電屋さんや修理屋さんも - GIGAZINE

主要道すら泥まみれになる英語圏カメルーン道路網の貧弱さと南カメルーン連邦共和国の独立運動 - GIGAZINE

NEXT11として経済発展が期待されるナイジェリアの現況とこれからの可能性 - GIGAZINE

旅人としては勧めたい、純粋で優しい人々に囲まれたナイジェリア旅行記 - GIGAZINE

トーゴ、ベナン、ナイジェリアとギニア湾岸にある魅力の国々と人々の笑顔 - GIGAZINE

どこにでもあるアイスが証明、西アフリカで一番経済発展が進むガーナ - GIGAZINE

激安2000円台のエコツアー、ガーナの大自然の川で野生のカバを見てきました - GIGAZINE

特大マンゴー1個10円、ギニアとマリはマンゴーパラダイスでした - GIGAZINE

巨大樹とオカダがある西アフリカのシエラレオネ、内戦からの復興中のこの国で明るい未来への可能性をみました - GIGAZINE

ケボからボケまで、ギニアビサウとギニアの未舗装の小さな国境ルートはびっくりするほどアフリカでした - GIGAZINE

旧イギリス領と旧フランス領の違い、セネガルに囲まれた小国ガンビアが紳士の国だった不思議について - GIGAZINE

セネガルの首都ダカールで黒人奴隷の歴史が残る負の世界遺産ゴレ島に行って来ました - GIGAZINE

黒人国家のセネガルから始まるアフリカらしいアフリカ、フランス風の街なみが残る世界遺産サン=ルイ島を訪れました - GIGAZINE

砂がすべてを支配するモーリタニアの首都ヌアクショットの日常と、日本を感じるご飯料理 - GIGAZINE

誰も寄せ付けないサハラ砂漠が広がる西サハラで営まれている大自然の美しさとそこで働く男達 - GIGAZINE

モロッコ南部、西サハラのどこまでも広がる果てないサハラ砂漠の美しさと道路を横切る野生のらくだ達 - GIGAZINE

美味しいモロッコ料理とたくさんの旅行客が訪れるマラケシュの賑わい、そしてサハラ砂漠を目指す旅人達について - GIGAZINE

スペインで新年最初に開くお店はなんでしょう?スペイン流の大晦日と新年の祝い方 - GIGAZINE

日本から自転車でユーラシア大陸最西端のポルトガルのロカ岬へ辿り着いて想う事 - GIGAZINE

ピレネー山脈の小国アンドラ公国で深い雪に覆われた標高2408mの峠を自転車で越えたら、ホームステイとテレビインタビューが待ってました - GIGAZINE

目標100カ国100,000kmの自転車世界一周、これまでの52カ国65,000kmで撮影した美麗な光景の写真集 - GIGAZINE

in 取材,   動画, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.