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iPhone 14 Proの性能は当初の計画より大幅に下がっていたことが判明


2022年に登場した「iPhone 14 Pro」には、5コアのGPUを搭載した「A16 Bionicチップ」が搭載されています。しかし、複数のApple関係者の証言によって「iPhone 14 Proの開発初期には、より高性能なGPUの搭載が計画されていたものの、開発中に問題が発生して旧世代のGPUをベースに開発しなおす事態が発生していた」ということが明らかになりました。

Inside Apple’s War for Chip Talent — The Information
https://www.theinformation.com/articles/inside-apples-war-for-chip-talent

複数のApple関係者から情報を得た海外メディアのThe Informationによると、iPhone 14 Proの開発初期段階ではレイトレーシング対応など高性能なGPUの搭載が計画されており、GPUの初期プロトタイプはソフトウェアシミュレーション上では期待以上の性能を示していたとのこと。しかし、GPUの影響でiPhone 14 Proのバッテリー寿命が短くなったり、発熱したりする可能性が判明したためプロトタイプの開発は中止されました。


結局、iPhone 14 Proには前世代のiPhone 13シリーズに搭載されていたGPUをベースとしたGPUが搭載されることになりました。この結果、iPhone 14 Proのグラフィック性能は各種メディアによって「前世代と大差ない」と評価されることとなりました。

The InformationはiPhone 14 ProにおけるGPUの開発中止を「Appleの歴史の中で前例のない失敗」と表現し、開発停滞の理由の1つとしてAppleの半導体部門の幹部が続々と他社に移籍している点を挙げています。

半導体部門の幹部が移籍した例は以下の通り。Appleは2019年にIntelやAMD、ArmでCPUの設計などを担当していたマイク・フィリッポ氏を雇用しましたが、フィリッポ氏は2022年にMicrosoftに移籍しました。また、2020年以降に発売したMacBookシリーズなどに搭載されている高性能SoC「M1」の開発を主導したジェフ・ウィルコックス氏も2022年にIntelに移籍しています。

Microsoftが元AMD・Intel・Arm・AppleのベテランCPU設計者を雇用 - GIGAZINE


また、Appleで半導体の開発を主導していた従業員が半導体関連のベンチャー企業を設立した事例もあります。例えば、ジェラード・ウィリアムズ氏を含む3名の元Apple従業員は2019年に半導体企業「NUVIA」を設立。NUVIAではサーバー用CPUなどが開発されており、2021年にはQualcommによって買収されています。この「元Apple従業員によるベンチャー企業設立」を巡っては、Appleが「ウィリアムズ氏は雇用計画に違反した」として訴訟を起こしており、テクノロジー企業に在籍しながら同分野のベンチャー企業を設立することが合法と判断されるか否かに注目が集まっています。

Appleが元従業員と「従業員は在職中に競合ベンチャーを計画できるか?」を裁判で争う - GIGAZINE

by Zhiyue

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by log1o_hf

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