サイエンス

レゴで「潮位を予測するアナログコンピューター」を作る猛者が現れる


レゴブロックは膨大な種類のパーツを組み合わせてさまざまなものを作ることが可能であり、「ゼルダ伝説」のマップ紙飛行機を自動で折って飛ばせる機械義手などを作り上げるコアなユーザーもいます。新たに、「潮位を予測するアナログコンピューター」をレゴブロックで作り上げたつわものが現れました。

Predicting the tide with an analog computer made from Lego - Wishful Coding
http://pepijndevos.nl/2022/01/30/predicting-the-tide-with-an-analog-computer-made-from-lego.html

オランダのソフトウェア開発者であるPepijn the Fox(@pepijndevos)氏は、世界最古のアナログ式計算機といわれる「アンティキティラ島の機械」をレゴで作ったムービーに触発され、複雑な機構からなる「潮汐予測機」をレゴで作ることにしたとのこと。

潮汐予測機とは、19世紀から20世紀にかけて開発された機械式のアナログコンピューターであり、海水面の不規則な変動を予測するために使用されました。最初の潮汐予測機を開発したイギリス人科学者のウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)は、フーリエ変換を潮汐運動に適用して、潮汐データを周波数成分に分解できることを発見しました。そしてトムソンは、潮汐データを基にした周波数成分に調和解析を応用して複数の天文学的成分を組み合わせることによって、任意の地点の潮位を予測する機械式アナログコンピューターを開発しました。

実際にトムソンが開発した潮位予測機がこれ。歯車を調整することによって予測地点に応じた潮汐予測が可能であり、結果は上下運動に変換されて下部の紙に記されます。この機械は1つの港における潮汐運動について、約4時間で1年分を記すことが可能だそうです。

by British Association for the Advancement of Science. Enquiries to Science Museum, London

Pepijn the Fox氏はトムソンの基本的なアイデアを基に、適切な周波数で動く歯車と滑車を組み合わせて潮汐予測機を構築することにしました。ところが、レゴで潮汐予測機を作る上で大きな問題となるのが、「レゴの歯車はサイズが固定されているため、最小の歯車で最適なギア比を作り出せるわけではない」という点です。

この問題を解決するため、Pepijn the Fox氏はJuliaというプログラミング言語でスクリプトを書き、Wikipediaの「Theory of tides(潮の理論)」ページに記載されている5つの天文学的周波数成分を代入。使用するギア比をレゴブロックで比較的簡単に作ることができる「8:24」「12:20」「12:28」「16:20」に絞り込んで計算を行い、その結果を基に潮汐予測機を設計したとのこと。

今回の潮汐予測機に使用する歯車ブロックは、以下の88個。


全ての歯車を可能な限りしっかり組み合わせるのが非常に難しかったとPepijn the Fox氏は述べており、特に直交する歯車を並べるのに苦労したとのこと。結局、これらの歯車を組み合わせるのに2日間もかかったそうです。


これらの部品を互い違いに積み重ね、長いドライブシャフトやレバーを接続して潮汐予測機が完成しました。


Pepijn the Fox氏が作成した潮汐予測機が動く様子は、以下のムービーで確認できます。

Predicting the tides with an analog computer made from Lego - YouTube


小さな音を立てて歯車が回り、つながった滑車が緩やかに動いています。モーターの角度と距離が潮の予測位置を示しており、コンピューターが時間経過による潮位変化を記録しているとのこと。


今回作られた潮汐予測機は、ハワイの潮位を予測するように設計されています。以下の画像は、現代のコンピューターがハワイのヒロ湾の潮位を予測したデータ(上)と、レゴで作った潮汐予測機が予測した結果(下)を比較したもの。全ての要素が一致しているわけではないものの、両者は非常によく似ているとPepijn the Fox氏は述べました。

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in ハードウェア,   サイエンス,   動画, Posted by log1h_ik

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