サイエンス

「アンティキティラ島の機械」の研究の歴史

by Robert and Talbot Trudeau

アンティキティラ島近海の難破船で見つかった「アンティキティラ島の機械」は多数の歯車が組み合わさった機械であり、表示盤に書かれた図や文字から恒星と惑星の動きを計算するための機械であると考えられています。紀元前3世紀ごろに作成されたと考えられているこの機械の研究の歴史について、実際に研究を行ってきたユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのトニー・フリース氏が解説しています。

1901年にアンティキティラ島の機械が発見されて以来、多くの考古学者や歴史家が研究を重ねてきましたが、発見時にはバラバラになってしまっていたため研究は難航しました。1970年代初頭、20年以上にわたってこの機械の研究を行ってきた科学史家のデレク・デ・ソーラ・プライス氏が、ギリシャの放射線科医と協力して初めてのX線による検査を実施。この検査により、機械内部に30個の異なる歯車を内包していることが確認され、機械が何のために作られたのかについての理解が一層深められました。


この検査は2次元的に行われたため、全ての歯車は平面でしか捉えられませんでしたが、プライス氏は歯車の数を推測したうえで、歯車が特定の日における「月」の予想位置を割り出しているということを導き出しました。その後もプライス氏は歯車の組み合わせや位置を特定し、アンティキティラ島の機械のほぼ完全な再現モデルを作り上げています。

1990年代にはサイエンス・ミュージアムに勤めていたマイケル・ライト氏らによる2度目のX線検査が、2005年には複数のチームによる3度目のX線検査が行われたことで、機械の謎の解明に一歩前進。3度目の検査により内部の歯車の3D化が果たされ、機械が天体の動きに加えて日食を予測していたであろうことが明らかになったほか、機械を保護するカバーに刻まれた文字が「マニュアル」であった可能性も浮上しました。


X線検査により明らかになった事実により、プライス氏が構築した機械の再現モデルにも改良が加えられることになりました。この際、古代の人々によって導き出された惑星の周期とモデルの動きが一致しないという問題が浮上します。

新たに発見された歯車の構造からすると、プライス氏によるモデルで月の位置を特定するのは困難でした。このため、ライト氏やフリート氏は新たに独自のモデルを作成します。これにより、月のおおよその位置を特定するメカニズムのほか、機械が当時示していたであろう5つの惑星や太陽の運動を予測するメカニズムを再現できたとのこと。


機械には一部の文字が欠落しているため、完全な謎の解明は依然困難だとされています。フリート氏は「アンティキティラ島の機械のような複雑な機械が再び登場するまでに何世紀もかかったのはなぜでしょうか。私たちの研究は大きな一歩だと信じていますが、証拠の大部分が失われているため、再現が完全に正しいかどうかは分かりません。ですが、これまで以上に謎が解き明かされたことは明らかです」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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