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Amazonが検索からイベルメクチンを新型コロナの治療薬扱いするキーワードを排除、海外メディアからは不十分な対応との批判も


世界最大のECサイトを運営するAmazonが、ノーベル医学・生理学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授の研究をもとに開発された飲み薬である「イベルメクチン」に関する間違った情報がAmazon上で表示されてしまっているとして、検索結果の一部を削除したと発表しました。

Ivermectin misinformation has poisoned Amazon’s platform, with few fixes planned - The Verge
https://www.theverge.com/2021/9/1/22651653/amazon-ivermectin-misinformation-autocomplete

Amazon to block autocomplete responses linked to ivermectin searches
https://www.usatoday.com/story/tech/2021/09/01/amazon-autocomplete-responses-search-block-ivermectin-humans/5679427001/

経口駆虫薬として牛や馬、人間に投与されることもあるのがイベルメクチンです。世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行するようになったのち、「COVID-19の治療薬としてイベルメクチンが有効」という情報が流れたため、一部でイベルメクチンの需要が急増しました。


実際、イベルメクチンのCOVID-19に対する効果については研究が行われており、初期の実験室で行われた調査では「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の複製を48時間以内に止める」という結果が明らかになりました。そのため治療薬としての効果が期待されたものの、2021年8月に公開された最新の「COVID-19患者にイベルメクチンを投与した事例をベースとした研究」では、「何の効果もない」ことが示されています。

新型コロナの治療にイベルメクチンは「何の効果もない」ことが調査で示される - GIGAZINE


このように、「イベルメクチンはCOVID-19の治療薬として有効」ということを科学的に示すデータが存在しないため、政府当局などはイベルメクチンをCOVID-19の治療薬として認可しておらず、日本でも北里研究所が医師主導の治験を進めている最中です。なお、北里研究所の臨床試験は相次ぐ感染拡大により病院が重症患者の治療を優先せざるをえない状況となっており、十分なデータが得られていない状況とのこと。

また、アメリカで新型コロナウイルス対策を主導するアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が、「新型コロナウイルスのパンデミック以前と比べると、イベルメクチンの処方数が24倍に増加した」と報告し、正式な新型コロナウイルスの治療薬として認められているわけではないイベルメクチンを使用することの危険性を説いていますが、家畜用のイベルメクチンを摂取するアメリカ人が急増。医薬品の規制を管轄するアメリカ食品医薬品局(FDA)が「あなたは馬でも牛でもない」と公式警告を出す事態に至っています。

新型コロナ対策に家畜用イベルメクチンを飲むアメリカ人が急増、当局は「あなたは馬でも牛でもない」と公式警告 - GIGAZINE


政府当局からの注意喚起もむなしく、新型コロナウイルスの治療薬として機能することを期待してイベルメクチンを購入する人は少なからずおり、「イベルメクチンは新型コロナウイルスの治療薬である」と宣伝しイベルメクチンの転売で儲けようとする人も後を絶ちません。

そんな状況に対処すべく、Amazonがイベルメクチンに関する誤った情報が同社のプラットフォーム上で広がることを防ぐための取り組みを発表しました。Amazonの広報担当者であるクレイグ・アンドリュー氏が海外メディアのThe Vergeに語ったところによると、Amazonの検索結果に表示されるもののうち、イベルメクチンに関する一部を削除することになるとのこと。

Amazonの検索結果から削除されたのは、「ヒト用イベルメクチン(ivermectin for humans)」や「コロナ用イベルメクチン(ivermectin for covid))」といった、明らかにイベルメクチンをCOVID-19の治療薬として使用することを推奨するようなものです。これらのキーワードで検索すると、「検索結果が見つかりません」と表示され、FDAによるイベルメクチンに関する警告ページのリンクが表示されるようになっています。


しかし、Amazon上でイベルメクチンを購入できなくなったわけではなく、Amazon.comの検索ボックスに「iv」と入力すると、「イベルメクチン(ivermectin)」関連の検索ワードが多数出現するのはこれまで同様です。記事作成時点で検索候補として表示されるのは動物用のイベルメクチンですが、これらは何の問題もなく販売されており、人が摂取した場合の危険性について警告する文章なども一切ありません。


そのため、「COVID-19の治療薬としては認可されていないイベルメクチンをCOVID-19の治療薬として購入するケースが増えているため、適切な注意表記が必要」とThe Vergeは訴えています。加えて、Amazon上で販売されている動物用のイベルメクチンのレビューを確認すると、「イベルメクチンの入手は非常に困難ですが、ここでは言及できない何か(COVID-19)を防ぐのにとても効果的です」といった、COVID-19の治療薬として使用することを暗に推奨するようなレビューも多く見られるとのことで、こういったレビューの削除も含めた誤報対策を実施すべきとThe Vergeは主張しています。

なお、The Vergeは「FacebookやTikTok、Redditといったプラットフォームと異なり、AmazonはCOVID-19に関する誤報の拡散を食い止めようという努力を何もしてきませんでした」と記し、Amazon側の遅すぎる対応を批判しています。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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