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「科学的に間違った結論」に導こうとする人を見抜く5つのポイントとは?


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが世界中を騒がせている中で、ワクチンやCOVID-19に関する科学的に誤った主張を行う人々も増えています。不安になっている人々の心につけ込んで科学的に誤った結論に導こうとする人を見抜く「5つのポイント」について、オーストラリアのラ・トローブ大学で公衆衛生学の准教授を務めるHassan Vally氏が解説しています。

5 ways to spot if someone is trying to mislead you when it comes to science
https://theconversation.com/5-ways-to-spot-if-someone-is-trying-to-mislead-you-when-it-comes-to-science-138814

◆1:「私たち VS 彼ら」の構図を持ち出す
科学的な証拠を持つ人々の信頼をおとしめるために相手を「信頼できない人や集団」だと名指しすることは、科学的に誤った主張をする人が頻繁に使う戦術です。人々が持つ権威への不信感を利用したこの手法は単純なものですが、「私たちに危害を加えようとする敵がいる」として対立をあおることで、科学的な証拠に関係なく自分たちを信頼させやすくなるとのこと。

Vally氏はこの手法を使った事例として、オーストラリア連邦議会議員のCraig Kelly氏を名指ししています。Kelly氏はCOVID-19の治療薬としてヒドロキシクロロキンイベルメクチンが認可されない理由として、「大きな政府」による陰謀が働いていると主張しました。

これらの薬はCOVID-19の治療薬としての効果が証明されていませんが、Kelly氏の「何者かが薬の認可をさまたげている」という主張は人々の目線を科学的な証拠からそらし、誤った結論に導こうとするものです。これは、自分たちの権利が何者かによって制限されていると信じる人々に対し、有効な主張だとのことです。


◆2:「私は科学者ではありませんが」と言う
科学的に誤ったことを主張する人々は、最初に「私は科学者ではありませんが」と付けることが、科学的な正確さを無視して好きなことを言う免罪符になると考えがちです。また、「私は科学が何を言っているのかを知っていますが、オープンなマインドを持っています」というフレーズも、科学的な証拠を無視しているものの合理的な考えを持っていると思わせたい人が使います。

オーストラリアではJim Molan上院議員が、気候変動が人間によって引き起こされたのかどうかに関する議論の中で、「私は証拠に頼っていません」と発言。科学的な証拠に頼らず、オープンなマインドで気候変動について考えていると主張しました。

◆3:「科学的に確かではない」と主張する
Vally氏は、「これはおそらく、誤解を招くために使われる最も強力な戦略の1つです」とコメント。確かに科学が明確な結論を出していないものは数多く存在し、特に研究が進行している最中のCOVID-19に関しては科学的に不確かな点も多いことは事実です。しかし、明確な結論が出せない場合であっても、科学者は入手可能な証拠に基づいて可能な限り正確な見解を訴えています。

科学的に誤った主張をする人々は、ある分野における不確実性を誇張するために、科学が正確な結論を下していない点を非難する傾向があります。科学に対する疑いを提起して人々を混乱させ、科学を弱体化させることで自分たちの主張を押し通そうとする試みは、デジタル化社会において採用しやすい手法だそうです。


◆4:説明を過度に単純化する
物事の説明を過度に単純化したり一般化したりすることは、あらゆる事象を陰謀につなげる陰謀論を生み出す要因となります。人々は理解が難しい複雑な説明を嫌がりますが、残念ながら科学は乱雑で微妙なニュアンスによって説明されがちなものであり、どうしてもわかりにくい説明になってしまうケースがあります。簡単な説明に引き寄せられやすい人間の性質を利用することで、陰謀論者は「5GがCOVID-19の原因である」といった科学的に誤った主張を信じ込ませているとのこと。

◆5:都合のいい証拠だけ採用する
数多くの事例や証拠から自分にとって都合のいいものだけを採用するチェリー・ピッキングは、科学的に誤った主張をする人々が頻繁に用いる手法です。チェリー・ピッキングを行う人は、科学的研究を箱に入ったチョコレートのように扱っており、自分の見解に沿った証拠だけを取り出し、反証になり得る証拠は無視しているとVally氏は指摘。

世の中に存在する全ての研究は等しい信頼性を持っているわけではなく、信頼性が高い証拠もあれば低い証拠もあります。一般人がチェリー・ピッキングされた証拠を見抜くことは難しいため、最終的な判断は科学的研究に精通し、証拠の信頼性を評価する能力を持つ専門家に委ねた方がいいとのことです。


Vally氏はCOVID-19のパンデミックにより、デジタル化社会で誤情報が拡散するスピードや、誤情報の拡散がどれほど危険なものかを浮き彫りにしたと指摘。誤情報にだまされるのを防ぐ鍵となるのが、誤解を招くために使用されている戦術を理解することだと主張しました。

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in メモ,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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