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わずか12人の反ワクチン主義者が81万件以上あるSNSの反ワクチンコンテンツの3分の2を生み出している


反ワクチン主義の人々は自身がワクチン接種を避けるだけでなく、ソーシャルメディアなどでワクチンに関する誤情報を拡散し、他の人々に悪影響を与える点でも問題視されています。非営利団体であるCenter for Countering Digital Hate(CCDH/デジタルヘイト対策センター)と反ワクチン業界を監視するAnti-Vax Watchの調査により、「FacebookとTwitterで拡散されている反ワクチンコンテンツの3分の2が、たった12人の反ワクチン主義者によって生み出されていた」ことが判明しました。

The Disinformation Dozen | Center for Countering Digital Hate
https://www.counterhate.com/disinformationdozen

Most Anti-Vaccine Conspiracies Online Come From The Same 12 People, Study Shows
https://www.sciencealert.com/most-anti-vaccine-conspiracies-online-come-from-the-same-12-people-study-shows

自分の家族にワクチン接種を受けさせない反ワクチン主義者は、以前から大きな公衆衛生上の問題を引き起こしています。アメリカではワクチン接種率の低下から一度は撲滅宣言が出された麻疹再び流行したり、子どもが破傷風にかかって47日間も集中治療室(ICU)で治療を受けたにもかかわらずワクチン接種を拒む親が現れたりしました。

破傷風で47日間ICUに入院した少年になおワクチン接種を拒否する両親 - GIGAZINE


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにおいても反ワクチン主義者は活動を続けており、「COVID-19ワクチンの接種が不妊症を引き起こす」といった誤情報を拡散しています。COVID-19の流行を抑えるには多くの人々がワクチンを接種することが重要であるため、反ワクチン主義者の動きによるワクチン接種率の低下は、国や世界全体にとって公衆衛生上のリスクをもたらします。

CCDHとAnti-Vax Watchは、2021年2月1日~3月16日にFacebookとTwitterで投稿・シェアされた81万2000件もの反ワクチンコンテンツを抽出し、コンテンツの発生源などを分析。その結果、ソーシャルメディアで拡散されている反ワクチンコンテンツのうち、実に3分の2が「Disinformation Dozen」と呼ばれるたった12人の反ワクチン主義者によって生み出されていたことが判明しました。

研究チームによると、Facebookで投稿・シェアされた68万9000件の反ワクチンコンテンツのうち、最大73%が「Disinformation Dozen」によって発信されていたとのこと。また、Twitterでツイート・シェアされた12万件のコンテンツのうち、最大17%が「Disinformation Dozen」に出所をさかのぼることができたそうです。


今回の調査で特定された12人の内訳は、代替医療の提唱者であるJoseph Mercola氏、反ワクチン主義者で陰謀論者のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏、代替医療の活動家であるTy Bollinger氏、反ワクチン活動家のSherri Tenpenny氏、反ユダヤ主義・反LGBTQ・反ワクチン主義者であるRizza Islam氏、陰謀論者で「自閉症やがんを治療する薬物」を販売するRashid Buttar氏、代替医療ウェブサイトの運営や偽情報ビデオの販売を行うErin Elizabeth氏、代替医療に関する著作を持つSayer Ji氏、陰謀論者で代替医療に関する著作を持つKelly Brogan氏、陰謀論者で産婦人科医のChristiane Northrup氏、代替医療の活動家であるBen Tapper氏、陰謀論者で反ワクチン主義者のKevin Jenkins氏です。

CCDHのCEOを務めるImran Ahmed氏は、「インターネット上で公衆の注目を集めているのは、関連する医療の専門知識を持たず、誤情報によって不正に利益を得ており、COVID-19の脅威やワクチンの安全性に関する誤情報を広めるためにソーシャルメディアを悪用している少人数のグループです」と述べ、「Disinformation Dozen」を強く非難しています。

反ワクチン業界に関する研究者らによると、ソーシャルメディアにおける反ワクチンコンテンツの中心となっているのは、単なる個人ではなく利益を追求する高度に組織化されたグループだとのこと。Ahmed氏は2021年3月にNature Medicine上で、「『反ワクチン業界』の主要な人物は、プロの宣伝家による首尾一貫したグループです。これらの人々は、それぞれ60人ものスタッフを擁する数百万ドル(数億円)規模の組織を、主にアメリカで運営しています。彼らは活動家向けのトレーニングマニュアルを作成し、メッセージをさまざまな聴衆向けに調整し、他の業界と同様に年次会議を手配します」と述べ、高度な組織によって反ワクチンコンテンツは生み出されていると主張しました。


なお、「Disinformation Dozen」に関連するソーシャルメディアアカウントは停止または制限が進められていますが、依然としてアカウントが放置されており、支持者への影響力を維持している人物もいるとのことです。

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in モバイル,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

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