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反ワクチン派がFacebookに表示した広告の54%はたった2つの団体が広告主になっていた

by Vaccines Stock Photos

子どもに予防接種を受けさせない反ワクチン主義を掲げる人々は、近年アメリカなどで問題となっているはしかの流行を引き起こすなど、現代社会において大きな脅威となっています。そんな反ワクチン派は、自らの主張を広告としてFacebookなどのSNSに表示させていましたが、反ワクチン派の広告の半分以上はたった2つの団体が広告主になっていたことがわかりました。

Vaccine-related advertising in the Facebook Ad Archive - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0264410X1931446X

Inoculating Against the Spread of Viral Misinformation | UMD School of Public Health
https://sph.umd.edu/news-item/inoculating-against-spread-viral-misinformation

Most of The Antivax Ads on Facebook Are Funded by Just 2 Organisations
https://www.sciencealert.com/most-of-the-antivax-ads-on-facebook-are-funded-by-just-two-organisations


FacebookなどのSNS上で表示される広告は拡散しやすく、多くの人々の考えに影響します。Facebook上では過去に反ワクチン派による「ワクチン摂取に反対する広告」が表示されており、反ワクチン派の影響で既に撲滅されたはずの感染症が再び流行し、「新三種混合(MMR)ワクチンと自閉症が無関係である」という論文が発表される事態にまで発展していました。なお、Facebookは問題を受けて「ワクチンにまつわる誤情報拡散に対策を講じる」ことを発表しています。

アメリカの研究チームは、Facebook上で反ワクチン関連の広告が禁止されていなかった2018年12月13日と2019年2月22日に、実際にFacebook上で表示されたワクチン関連の広告について調査しました。この調査は、広告の透明性向上や分析を可能にするためにFacebookが導入した、「Ad Archive」というプラットフォームを利用して行われたもの。Ad Archiveを使えば、すでに表示期間が終了した広告や実際には特定のターゲットのみに表示される広告も、検索ワードなどを駆使して発見することができます。

調査の結果、対象となった2日間では実に300件以上ものワクチン関連広告が表示されていたことが判明。そのうち163件(約53%)がワクチン推奨派、145件(約47%)が反ワクチン派の広告だったそうです。広告の数には大きな差がなかったものの、Facebookに支払われた広告費の中央値は反ワクチン派の広告の方が大幅に高く、ユーザーに広告が表示される回数も反ワクチン派の方が多かったそうで、反ワクチン派の資金源が豊富であることが示唆されたとのこと。

by Maklay62

さらに、研究チームは反ワクチン派とワクチン推奨派の広告主についても調査を実施。すると、反ワクチン派の広告主は合計27人で、ワクチン推奨派の広告主は83人と、反ワクチン派の広告は比較的少数の広告主によって表示されていることもわかりました。

それ以上に驚くべき結果として研究チームが挙げているのが、反ワクチン派がFacebookに表示させた広告の54%がWorld Mercury ProjectおよびStop Mandatory Vaccinationsという2つの団体が広告主になっているという点。World Mercury Projectはジョン・F・ケネディ元大統領のおいであるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が運営し、Stop Mandatory Vaccinationsは反ワクチン派の活動家として有名なラリー・クック氏が運営する団体です。これらの団体は反ワクチン派の主張を繰り返していますが、実際に反ワクチン派の主張を広めるために多額の広告費を使ってきた模様。

メリーランド大学の研究者であるAmelia Jamison氏は、「多くの人は、反ワクチン派のムーブメントが子どもを持つ親による草の根運動だと思っているかもしれませんが、背後には少数の強力な人々がいるとFacebook広告の分析からわかります」と述べています。

Facebookはすでに反ワクチンを訴える広告の表示を禁止していますが、反ワクチン派はSNS上の広告システムに精通しており、「ルールの抜け穴を見つけ、規制に引っかからない方法で反ワクチンに誘導する主張を展開する可能性がある」との懸念も根強くあります。ジョンズ・ホプキンズ大学の研究者であるMark Dredze氏は、「数千ドル(数十万円)で、少数の反ワクチングループが自身のメッセージをターゲットの人々に送り、公衆衛生の脆弱性を悪用できます」とコメントしました。

by whitesession

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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