偽の「ワクチン免除証明書」を1000件以上書いた医師が医療当局から告訴される
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自己免疫疾患の子どもに限り予防接種を免除されるという「ワクチン免除証明書」を2015年以降に1000件以上発行した小児科医であるタラ・ザンドヴリート氏を、カリフォルニア州医療委員会は2019年10月1日、「重大かつ繰り返しの過失」と「不適切な状況下で発行したワクチン免除証明書に関する記録の不保持」で告訴しました。告訴状によると、ザンドヴリート氏が発行した免除証明書の数はサンディエゴ全体で発行された証明書の3分の1に相当するとのことです。
Medical Board Charges San Diego Doctor Who's Doled Out Dozens of Vaccine Exemptions - Voice of San Diego
https://www.voiceofsandiego.org/topics/news/medical-board-charges-san-diego-doctor-whos-doled-out-dozens-of-vaccine-exemptions/
State medical board accuses San Diego doctor who wrote 1,000 vaccine exemptions - The San Diego Union-Tribune
https://www.sandiegouniontribune.com/news/health/story/2019-10-22/vaccination-exemption-writing-doctor-charged-by-state-medical-board
アメリカでは近年、麻疹(はしか)が猛威を奮っており、2019年3月にはニューヨーク州ロックランド郡で非常事態宣言が発令される事態にまで発展しています。
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カリフォルニア州では、ニューヨーク州に先駆けること2014年にははしかが大流行の兆しを見せており、はしかにかかった患者の半数がワクチン未接種だったことが大きな問題として指摘されています。これを重く見たカリフォルニア州当局は、2015年に「親の信条に基づいて子どもにワクチンを受けさせないこと」を禁止する州法を施行し、原則として全ての就学児童に対しワクチンを接種することを義務づけました。
しかし、中には自己免疫疾患などにより予防接種を受けることができない人もいます。そのため、法律では「自己免疫疾患などによりワクチンの接種が不適だと医師に診断された場合」にのみ予防接種の免除が認められ、医師が発効した「ワクチン免除証明書」があればワクチン未接種でも幼稚園に入園できることになっていました。
これを背景に、カリフォルニア州サンディエゴの小児科医タラ・ザンヴリート氏は、2015年以降で推定1000件のワクチン免除証明書を発行。この証明書は医療保険の適用外であり、ザンヴリート氏は手数料として180ドル(約2万円)を請求することで、合計18万ドル(約2000万円)近くものお金を手にしていたものと思われます。
ザンヴリート氏はワクチン反対派の間では「反ワクチンに優しい医師」として有名で、ザンヴリート氏が開業している病院であるSouth Park Doctorのサイトには予防接種の免除を得るためのガイドラインまで存在しています。
ザンヴリート氏のサイトには、「親族に過剰な免疫反応の既往歴がある人が4人以上いた場合は、子どもにも自己免疫疾患が継承されていると主張することが可能です」と書かれており、4世代以内に免疫系の疾患を持つ親族を見つけてくれば、ワクチン免除証明書が発行できると請け負っています。しかし、ザンヴリート氏が「過剰な免疫反応」として示す症例の中には、「食物アレルギー」や「蜂刺傷」など、「予防接種を受けるべきではない自己免疫疾患」とはいえないような症例が多数列挙されています。
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この問題を取り上げた地元紙Voice of San Diegoも「アメリカの公衆衛生当局は自己免疫疾患の家族歴を予防接種を回避する正当な理由だとは認めていません」と指摘し、家族にアレルギー患者がいるからといって予防接種を受けなくてもよい理由にはならないとの見解を示しています。
この件を問題視したカリフォルニア州医療委員会のキンバリー・キルヒマイヤー委員長は、2019年10月1日付けでザンヴリート氏を(PDFファイル)告発する文書を公開。この文書によると、ザンヴリート氏はサンディエゴ在住の4歳の少女に対し、父親の親族が若い頃にぜんそくや乾癬(かんせん)を患ったことを理由に、ワクチン免除証明書を発行したとのこと。証明書の発行に際し、ザンヴリート氏は少女を十分に検査せず、過去に予防接種を受けて副作用が認められたかを確認することさえしませんでした。実は、少女は以前はしかの予防接種を受けており、その時には副作用はなかったことが判明しています。
カリフォルニア州医療委員会は今後、ザンヴリート氏の医師免許のはく奪もしくは一時停止を念頭に審議を行う方針だとのことです。また、医師によるワクチン免除証明書の乱発を背景に、カリフォルニア州ではワクチン免除証明書の発行が厳格化される見通しとなっています。
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