破傷風で47日間ICUに入院した少年になおワクチン接種を拒否する両親
by kfuhlert
反ワクチン接種の信念を持つ両親の子どもが破傷風にかかり、呼吸困難・筋肉のけいれん・高熱といった症状のため集中治療室で47日を過ごすことになりました。医師の懸命な治療によって少年は一命を取りとめましたが、退院後も両親は少年のワクチン接種を拒否。再び少年が破傷風にさらされる危険性がある、という事態をアメリカ疾病予防管理センターが報告しています。
Notes from the Field: Tetanus in an Unvaccinated Child — Oregon, 2017 | MMWR
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/68/wr/mm6809a3.htm
Boy spent 47 agonizing days in ICU with tetanus. Parents still refuse vaccines | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/03/boy-spent-47-agonizing-days-in-icu-with-tetanus-parents-still-refuse-vaccines/
破傷風は土中の破傷風菌が傷口から入ることで発症し、高熱・けいれんといった症状を起こし、死亡する割合も非常に高いとされる病気ですが、ワクチンを接種することで予防可能です。
2017年、アメリカ・オレゴン州に住む6歳の少年は農場で遊んでいる時に前頭部にケガを負い、その6日後に破傷風の症状を呈しました。さらに、発作的な号泣・歯ぎしり・筋肉のけいれん・首や背中が大きく反る後弓反張といった症状が現れ、少年が呼吸困難になったことから両親は救急隊を呼び、少年は小児メディカルセンターへとヘリコプターで運ばれたそうです。
by Charles Bell
病院に到着した当時、あまりの筋けいれんの激しさから、少年は水を欲したにも関わらず十分に口を開くことができなかったとのこと。また、呼吸のために必要な筋肉もけいれんしだしていたため、少年はチューブを挿入することで人工的に呼吸を行うことになりました。
この時点で、医師は少年を集中治療室(ICU)に入れることを決断。音や光といった刺激で筋けいれんが悪化するのを防ぐため、少年は耳栓をした状態で暗い部屋へと運ばれました。医師は抗生物質とDTaPワクチンを投与したものの、症状は悪化。心拍数や血圧は上昇し、体温は40度にまで達しました。血圧や痛み、筋けいれんをコントロールするための静脈注射や、呼吸のために気管開口術も行われたとのこと。この状態で少年は35日間を過ごしました。
しかし、その後5日かけて医師はけいれん薬を減らすことに成功し、入院44日目には人工呼吸機を外して液体を飲めるようにまで回復。47日目にICUを出て中間ケアを受けるようになり、その3日後、介助されながらではあるものの自らの足で6メートル歩けるようになりました。
少年は入院から57日目でリハビリセンターへと移り、そこで17日間のリハビリを受けた後に退院。さらに1カ月かけて、走ったり自転車に乗ったりといった活動が行える状態にまで背中の筋肉を回復させることができました。
少年がワクチンを打っていればこのような悲惨な状態が防げたにも関わらず、少年の両親は医師のすすめであるDTaPの再摂取、および他のワクチン接種を全て断っているとのこと。ワクチンを受けない状態のままでは、少年は再び破傷風にかかる可能性すらあります。
by Dr. Partha Sarathi Sahana
医師は今回の医療費が、搬送費とリハビリの費用を抜いたとしても81万1929ドル(約9000万円)に達していると記しており、これは子どもの平均的な入院費の72倍となっています。過去30年の間、オレゴンでは破傷風が発生しておらず、これはワクチン接種のおかげであることを医師は主張。改めてワクチンの重要性について喚起しました。
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