ワクチン接種で子宮頸がんを撲滅する最初の国が登場する可能性

by VCU CNS
子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチンを学生は無料で接種できるプログラムが導入されているオーストラリアで、HPV感染率が激減したことが発表されました。研究者らは、オーストラリアが「子宮頸がんを撲滅する最初の国になるかもしれない」と見ています。
Queensland researcher sets Australia up to be first country to eliminate cervical cancer
https://www.brisbanetimes.com.au/national/queensland/queensland-researcher-sets-australia-up-to-be-first-country-to-eliminate-cervical-cancer-20180304-p4z2rq.html

Australia could become first country to eradicate cervical cancer | Society | The Guardian
https://www.theguardian.com/society/2018/mar/04/australia-could-become-first-country-to-eradicate-cervical-cancer
HPVは子宮頸がんを引き起こす原因の99.9%であるといわれており、オーストラリアは2007年から12歳~13歳の女児に対して無料でワクチンを提供開始しました。その後、2013年にはプログラムの対象を男児にも拡大し、19歳未満の少年少女は無料で2回分のワクチン接種が受けられるようになりました。2016年時点において、オーストラリアでは15歳の少女の78.6%と少年の72.9%がワクチンを接種したとのこと。
International Papillomavirus Society(国際パピローマウイルス学会/IPVS)がJournal of Infectious Diseasesに発表した内容によると、2005年から2015年の10年で18歳から24歳の女性がHPVに感染する割合は22.7%から1.1%に減少したとのこと。この調査結果を受けて、IPVSは「子宮頸がんは、近いうちに公衆衛生の問題から消えてなくなる可能性がある」と述べました。
IPVSは、子宮頸がんの予防と検査についてWHOに助言するメルボルン大学のスーザン・ガーランド教授を含む、HPV・子宮頸がん研究者らによって創設された団体。ガーランド教授は、「オーストラリアは子宮頸がん撲滅というマイルストーンを達成する初めての国になるかもしれません」「今は年間1000件ほどある子宮頸がんの罹患率は、30~40年したらほんの数件にまで落ちるだろうと、私たちは予測しています」と語りました。
HPVに対するワクチン「ガーダシル」を開発したクイーンズランド大学のイアン・フレイザー博士は、この発表に対して「オーストラリア政府は率先してHPVワクチンを導入し、しかも、学校の生徒たちが無料でワクチンを受けられるようにしました」「これは医学研究の偉大なサクセスストーリーと言えます。私たちが抱える問題について、医学研究がその問題をの原因をつきとめ、解決策を導き出せるのです」「この一部の役割を私が担えたことを嬉しく思います。しかし、私は物語のほんの小さな一部です」と語りました。
また、オーストラリア政府は2017年12月により高度な子宮ガン検査を導入しており、検査の存在も子宮頸がん撲滅に大きな役割を果たすとフレイザー教授は見ています。「検査プログラムを継続すれば、私たちはウイルス感染者を見つけ続けることができます。ワクチン接種が続けば、10~20年後には新しい症例は見つからなくなっているでしょう」「検査を定期的に受けている女性は50~60%しかいませんが、100%の女性が検査プログラムに参加すれば、例えワクチン接種がなくとも子宮がんになる女性はこの国にいなくなります」とフレイザー教授は語りました。

by Pan American Health Organization PAHO
ガーランド教授は、子宮頸がんの撲滅はワクチン接種率と検査率の両方に左右されると語っており、親に対して自分の子どもたちにワクチン接種を行わせるよう呼びかけています。2018年現在において、高校生たちがワクチン接種する割合は77%とのことで、ガーランド教授は残り20%の子どもたちについて「子宮頸がんや、HPVに関連した性感染症を予防する機会を失った」と語りました。「安全性について懸念する親もいますが、多くの場合は安全に作用します。これは非常に安全性の高いワクチンであり、両親はがんになることと、副作用という2つのリスクを比較しなければいけません」とのことです。
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