サイエンス

子宮頸がんのHPVワクチンはがん発生率を90%減少させると判明


子宮頸がんなどの発生に関係するヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染を予防するHPVワクチンが、過去約10年間で子宮頸がんの発生率を90%減少させたことが、キングス・カレッジ・ロンドンのミレーナ・ファルカロ氏らの研究により明らかになりました。

The effects of the national HPV vaccination programme in England, UK, on cervical cancer and grade 3 cervical intraepithelial neoplasia incidence: a register-based observational study - The Lancet
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)02178-4

“The power of science”: HPV vaccine proven to dramatically reduce cervical cancer - Cancer Research UK - Cancer news
https://news.cancerresearchuk.org/2021/11/03/the-power-of-science-hpv-vaccine-proven-to-dramatically-reduce-cervical-cancer/

HPV vaccine cuts cervical cancer cases by almost 90% – but one in ten girls still haven’t been vaccinated
https://theconversation.com/hpv-vaccine-cuts-cervical-cancer-cases-by-almost-90-but-one-in-ten-girls-still-havent-been-vaccinated-170887

2008年、イギリスは子宮頸がん発生予防のために、11歳~13歳の女性にHPVワクチンを無料で提供するプログラムを開始しました。このプログラムに効果があったかどうかを調査するために、ファルカロ氏らは2006年1月から2019年6月の間にイギリスで診断されたすべての子宮頸がんについて調査を行いました。

その結果、ワクチンが最も効果的だとされる12~13歳でワクチンを受けた人の子宮頸がん発生率が90%減少していたことが判明。論文の執筆責任者であるピーター・サシエニ氏は「多くの人が引き続きHPVワクチンを接種していくと仮定すると、子宮頸がんはめったに発生しない病気になります。これらのデータはHPVワクチン接種が一部の癌の予防に役立つことを示しています」と述べました。


しかし、子宮頸がんに関する別の研究結果を確認した学術系メディアのThe Conversationは「イギリス人少女の約10人に1人はワクチン接種を行っていない」と指摘しています。The Conversationが子どもに関連する社会・経済・教育的状況について行われた大規模な調査を確認したところ、イギリスの最も恵まれない地域に住んでいる少女は、最も恵まれた地域に住む少女よりもHPVワクチンの接種率が56%低いことが分かったとのこと。

この原因については、少女の親に対し行われたインタビューから「ワクチン接種を本人もしくは親が望まなかった」「ワクチン接種を恐れていた」「接種の日に学校にいなかった」などが挙げられました。The Conversationはこのことから「ワクチン接種に大きな効果があるというニュースは素晴らしいものですが、全ての少女に平等にワクチンを提供するというプログラムにはまだ不備があると思います。ワクチン接種状況の改善のために、さらに多くの行動を起こす必要があります」と記しました。

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in ハードウェア, Posted by log1p_kr

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