Facebookにおけるワクチンの誤情報は少数のユーザーによって拡散されている
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各国で新型コロナウイルスのワクチン接種が進められている中、SNSなどでワクチンへの不安をあおったり誤った情報を拡散したりするユーザーが問題視されています。こうしたユーザーに対する対抗措置を執っているFacebookが、「ワクチンに関する誤情報は少数のユーザーによって拡散されている」との調査結果を報告しました。
Facebook is studying vaccine hesitancy, new documents show - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2021/03/14/facebook-vaccine-hesistancy-qanon/
Facebook’s Vaccine Disinformation Study Shows the Problem with Facebook | Washington Monthly
https://washingtonmonthly.com/2021/03/14/facebooks-vaccine-misinformation-study-shows-the-problem-with-facebook/
Facebook research reportedly finds small number of users responsible for spreading vaccine doubt - The Verge
https://www.theverge.com/2021/3/14/22330428/facebook-research-vaccine-hesitancy-doubt-coronavirus
ワクチンの安全性や有効性を疑問視して接種を拒否するワクチン忌避の動きは、新型コロナウイルスのパンデミック後に発生したというわけではなく、ずっと以前から存在していました。アメリカやイギリスではワクチン忌避の広がりによって自身の子どもに麻疹(はしか)のワクチンを接種させない親が増加し、2019年には根絶されたはずの麻疹が再流行する事態となっています。
「アメリカが麻疹(はしか)根絶国としての地位から転落するのは自分たちのせい」と感染症の専門家が悔やむ - GIGAZINE
21世紀にワクチン忌避が広まった要因として挙げられているのが、SNSなどにおけるワクチン反対派のアピールや誤情報の拡散です。そこでFacebookは、ワクチンに関する誤情報の拡散に対し、積極的な対策を講じていくとしていました。
そんな中で新型コロナウイルスのパンデミックが発生し、各国の製薬企業や研究機関がワクチン開発に乗り出しました。これに乗じてワクチン反対派もソーシャルメディア上での活動を活発化させたことが指摘されており、Facebookも「反ワクチン」を訴える広告掲載を拒否することにしたほか、公衆衛生の専門家と協力して新型コロナウイルスワクチンに関する誤情報や陰謀論を削除すると発表しています。
Facebookが新型コロナのワクチンに関する誤情報や陰謀論を削除すると発表 - GIGAZINE
新たにFacebookが発表した調査結果によると、Facebookユーザーを638のセグメントに分割して分析した結果、Facebook上に存在するワクチン忌避コンテンツの50%が、わずか10のセグメントに属するユーザーによって作成されていることが判明したとのこと。つまり、Facebook上でワクチン忌避コンテンツが多く見えるのは、非常に少数のユーザーが活発に発信しているためだといえます。
これに類似した現象として、2019年には反ワクチン派がFacebookに表示した広告の54%が、たった2つの団体が広告主となって掲載されていたことがわかっています。
反ワクチン派がFacebookに表示した広告の54%はたった2つの団体が広告主になっていた - GIGAZINE
by Vaccines Stock Photos
アメリカの非営利雑誌であるWashington Monthlyはこの結果について、少数の人々が訴える声を大勢の人に届けて影響を及ぼすと同時に、同じ信念を持つ人々で閉じたグループを形成するように仕向けるFacebookの問題点が浮き彫りになっていると主張しています。
また、Facebookはさまざまな問題に対処して誤情報の削除やグループの閉鎖に乗り出していますが、絶えず進化する陰謀論や誤情報に追いつくのは難しいとWashington Monthlyは指摘。Facebookの根底にあるビジネスモデル自体が誤情報に関する問題を引き起こしており、対症療法では根本的な解決にならないと非難しました。
ニュースサイト・The Vergeは、Facebookのワクチン忌避コンテンツに対する規制にはグレーゾーンがあると述べています。「ワクチンを接種した後に思っていたより具合が悪くなった」といった投稿は、ワクチンの影響をより正確に理解する助けになり得る一方で、ワクチンへの懸念を持つ人にとっては心配の種となります。そのため、こうしたFacebookの規制に引っかからない程度の投稿が、ワクチン反対派の間で急速に拡散される可能性もあるとのことです。
Facebookの広報担当者であるDani Lever氏はThe Vergeに対し、Facebookは60人を超える公衆衛生の専門家と協力して、新型コロナウイルスワクチンに関連するコンテンツやその他の情報を調査しているとコメント。「公衆衛生の専門家は、ワクチン忌避への対応が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応における最優先課題であることを明確にしました。そのため、Facebookはすでに20億人を専門家からの信頼できる情報に結びつけ、COVID-19とワクチンに関する誤った主張を排除する世界的なキャンペーンを開始しました」と述べました。
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