インタビュー

「ゴジラS.P<シンギュラポイント>」シリーズ構成・円城塔インタビュー、ゴジラ初の13話構成をいかに作っていったのか?


人気怪獣「ゴジラ」の完全新作TVアニメ「ゴジラS.P<シンギュラポイント>」が、2021年3月からNetflixで配信開始、2021年4月から放送開始となりました。「ゴジラ」シリーズはこれまでおおむね2時間の映画として制作されてきており、1話30分×13話というTVアニメの形態で放送されるのは長いシリーズの歴史の中で初めてのこと。この課題にどう挑み、いかに作品を作っていったのか、芥川賞作家であり本作のシリーズ構成・脚本を手がける円城塔さんに、詳しい話を聞いてきました。

なお、第3話あたりまでの内容をやや含む発言が出てきます。

完全新作TVアニメシリーズ「ゴジラ シンギュラポイント Godzilla Singular Point」公式サイト
https://godzilla-sp.jp/


GIGAZINE(以下、G):
円城さんのところにはいろいろな仕事の依頼があるのではないかと思います。その中から、この『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』をやろうと決めた理由はなんだったのでしょうか?

円城塔さん(以下、円城):
作家の仕事ってひとつひとつに結構時間がかかるものなので、そんなにバンバン依頼がくるものではないんです。アニメの仕事はこれまでに2度くらいしかやったことがありませんが、急に来るんですよ。今回だと、制作をしているボンズの社長の南(雅彦)さんから「円城さん、ゴジラどうですか?」と電話がかかってきまして、「どうですかと言われても、たしなむ程度に……」みたいなところからスタートでした。


G:
なるほど。

円城:
「またなんか変な話が来たな」という(笑)

G:
(笑)

円城:
それで話を聞きに行くと、たくさんの人に囲まれて、「これはもう逃げられないのでは?」という状態なんです。もう、召集されたような感じで「やらないといけないんですね?」と(笑)

G:
そうなると、最初に「シリーズ構成と脚本をやってもらえませんか?」という打診だったのですか?

円城:
いえいえ、全然。「SF考証をやってもらえないだろうか」という話でした。高橋さん(高橋敦史監督)の希望として「しっかりとしたSF考証は必要」という考えがありました。怪獣という存在なので、SF的にかっちり詰めたいわけではないけれど、ただ「放射線を浴びたから巨大化した」というのはそろそろやめましょうか、と。「それがいいのだ、怪獣は放射線を浴びて巨大化するものだ」という説もありますけれど、時代も時代だし、生物学的な知識も進んだし、ゴジラ細胞も出てますしね。そういう中で、現代科学でなにか煙に巻けるぐらいのツッコミをする役として呼ばれた……はずだったんですけど。


G:
はず。

円城:
でも、誰か設定を考える方がいるわけじゃなかったので、そうなると、僕が考えるしかないので「ゴジラ、何食べるんですか?」というところからスタートです。

G:
(笑)

円城:
そういうところからなので「さて、どうしよう」です。子どもは産むのかとか、群れなのかとか、ミニラ(※)とは誰なのか、とか困るポイントはいっぱいあるわけです。

※注:シリーズ第8作『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年公開)登場。ゴジラの息子。


G:
ありますね(笑)

円城:
そういったところはストーリーとも絡んでいくことになるので、脚本までやることになっていったというわけです。脚本を書く上で、アニメで30分13話という構成が大きな課題となりました。2時間であれば設定は結構ぶっ飛ばせるんです。『シン・ゴジラ』(2016年)でも、科学者が出てきたけれどよくわからないことを言って「役に立たない!」と下げられてしまうじゃないですか。ああやって、なんとかなるんです。でも、13話あると、みんなどこかで正気になるんです。『シン・ゴジラ』は日本だけで展開しましたが、13話だと日本だけでというわけにもいかなそう、とか。カメラが地球を写したときにどうなるか、気になるじゃないですか。


G:
なります。

円城:
ということを、どういったレベルで対応していくかと、難儀なことをやっているうちにこういうことになりました。東宝さんとしても、13話というのは初めての試みなので、組み立てがまったくわからない状態でした。さらに、「モブは何人走ってもいいんですか?」についても、映画なら、キャストを何人呼ぶかとか考えるのですぐに答えが出るけれど、アニメだとよくわからない。

G:
なるほど。

円城:
モブが使えない場合は、怪獣が現れたときに町の人はみんな「キャー!」と走って逃げて転ぶということでもいいのか。『ゴジラ』(1984年)の武田鉄矢さんみたいなことですね。それはすべて作劇に絡んでくることなので、13話になったことで世界観とストーリーが絡んでしまったわけです。なので、SFの考証と共に脚本を書くことになってしまった、と。

G:
(笑) ちょっと質問としては飛ぶんですが、2017年に円城さんが東北大学萩友会のインタビューを受けた際、「小説家が締切に追われて、編集者から逃げ回るシーンをよく思い浮かべるでしょう。私は守る方なので、それはまったくありませんね(笑)」と答えていましたが、何かうまく守れるよう心がけていたりするのですか?

円城:
今回、全然守ってないんですよ。守っていないどころの話ではない(笑)

G:
どころではないというと?

円城:
とにかく、何も決まらなかったんです。13話にマッチしたリアリティレベルが設定できなくて……。13話のフォーマットがないので、それを決める作業にすごく時間がかかりました。3D担当のオレンジさんは「もう間に合いません!」ということで、本当に大変だったと思います。


G:
めちゃくちゃ大変だったんですね……。今度は2014年3月に東京大学見聞伝ゼミナールのインタビューの中からなんですが、「人間の認知はすごく強固だけど、想像もつかない事態が起こってしまったときにその認知はすごく揺さぶられてしまう。だからそこで起こるだろうことを小説である程度書いておくことは大事だと思うんです。起こってしまった後で『そんなこと思いもしなかった』というのはかなり間抜けなので、誰かが考えておいたほうがいい。なんか変なことが(現実社会で)起これば面白いなと思う一方で、もし現実に起きてしまったときのことを考えると素朴に不安ですよね。」と発言されていました。今回の「ゴジラS.P<シンギュラポイント>」で描いていることは、この「現実に起こるかもしれないこと」のイメージを乗せて書いているのでしょうか。

円城:
まず「エンタメである」ということを大前提としました。ただ、リアリティレベルを設定するとき、わりとリアルなところに設定しないとダメだろうということに落ち着きました。アニメーションなので、キャラクターの動きがどこまでリアルなのかということを考えたとき、さすがに実際にこの動きは難しいだろうというのはあります。あまりリアルに寄せると、ラドンと戦ったら死にますよね。あれはアニメだからこそできていることです。

G:
(笑)

円城:
SF作家というのは未来予測をするためにいるわけではなく、基本的にほらを吹いて暮らしているものですから、本作は「ゴジラをベースにして大きなほらを吹く」という話ではありますね。ちゃんとゴジラは出てきます。「ゴジラ自体がホラ話だった」というオチでは、相談がはじまると同時に、まあなしだろう、と。

G:
円城さんは長編を書かない作家であると聞いています。「文字渦」が刊行されたころに新刊JPに掲載されたインタビューで「円城さんの作品はキャリアを通じてほとんどが短編です。長編を書きたいという気持ちはないのでしょうか」という質問に「全然ないです(笑)短編が好きというのもありますが、長編はうまく書けないというのもあります。まずキャラクターがしっかり立っていないと長編にならないのですが、僕の小説の登場人物は大抵○とか△とか記号的ですし、そもそもあまり人間が出てきません」と答えておられました。本作の脚本は、円城さんからすると「短編」という感じですか?それとも、もっと別の違う何かですか?


円城:
1話につき30分でオチがつかないといけないので、連作短編として構成できます。ただ、どう作るかだったんですよ。……13話って、難しいんです。怪獣といってもウルトラ怪獣であれば1話に1体出てきてウルトラマンに倒されてもよいわけです。『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年)の使徒もそんな感じですよね。でも、『ゴジラ』でそれは……たとえば1話でラドンが出てきて倒されて、2話ではアンギラスが出てきて倒されてというのは「これじゃない!」ってなりますよね。

G:
確かに、それはなにか違う(笑)

円城:
そうなると、全体の長編的な構想が必要になります。13話あるので、前・中・後ぐらいの中編的な構想も必要で、それに加えて当然、映像としてのロジックも必要で……全体的な流れも制御しながら、高橋監督と僕で綱引きしつつ決めていくという感じでした。特徴的なところがあったとすれば、設定とストーリーが強めにリンクしていたので、2人で「その設定は腑には落ちるが絵にはならない」とか考えていったころです。絵にならない設定をしてもしょうがないんですよね。

G:
アニメだから。

円城:
ふつう、考証というものは、シナリオに入る前には完了しているはずです。「こういう設定をしたから、この宇宙船はこういう理屈で飛びます」とかですね。でも、「作画する段になってみたらあまりよくなかった」という時に修正できるかという問題があります。考証は考証で絡みあっているから、微調整ですむときもあれば、全とっかえになるときもある。本作ではそれを「骨」がらみで調節していったので……。それがよかったのか悪かったのかはわかりません……もう、当人たちはいろんなことがわからなくなっていますから(笑)


G:
(笑)

円城:
これは見ていただくしかないです。

G:
先ほどと同じ新刊JPのインタビューの中で、「文字渦」の中の短編「かな」で使われた和歌の作り方について「紀貫之の歌集を引っ張ってきて手元のパソコンに置いておいて、『か』『む』『ぶ』『り』『あ』の文字が入っている歌を探して、じゃあ次は『ば』『く』『は』『つ』を探して、というふうに探しながら作っていきました。そこはもう手軽なスクリプトがないとできません。アプリも使って辞書で調べて、コードを書きながら作っています」と語っておられました。こういうスクリプトを作るにあたって、どういった言語を選んでいるんですか?

円城:
目的に合うものを選んでいます。「ゴジラS.P<シンギュラポイント>」でも、OPの四次元立方体とか、「Processing」で回しているものがあります。本当はUnityに統合したいんですが……。

G:
何か壁があるんですか?

円城:
結局、僕の手がRubyPythonとProcessingを使い分けた方が早いってだけです。たとえば打ち合わせの時に「ディスプレイにログを流したいです」と言われたとしますよ。流せばいいじゃないか、という話ですが、そのためにはログの実体が要るじゃないですか。小説であれば「ログが流れていった」だけで済むところですが(笑)

G:
(笑)

円城:
その「流すログ」は、どこかの適当なものでいいのかということです。「Nginxのログでいい?」とか。そうなると、誰かがログっぽいものを作らなければいけない。当然、みんな黙ってしまうから、「わかりました、とりあえずRubyで1時間で作成します」と。僕はRubyと付き合いが深いわけじゃないですが、慣れてはいる。作ったからといって、そのまま絵になるわけじゃないですけど。

G:
ならないんですか?

円城:
ログを流すディスプレイの大きさの問題があって、そこでレイアウトとのやりとりも必要になってきます。そういうとき、とっさに動かせるプログラムというのが、僕の場合はRubyなんです。でも、3Dが入ってくるとProcessingに頼るしかない。「これ全部Unityでやりてぇな……」とも思うけれど、学習コストもあるので統合に至らない、というところです。

G:
なるほど、そういうことで……。

円城:
僕、結構いろいろ書いてますよ。たとえば新聞とかも書きました。

G:
新聞。

円城:
ニュースの中で新聞記事が出てくるとき、その新聞は誰が……という。今は解像度が高いから、読めちゃうこともある。まさか「画面に寄って読まないでください」というわけにはいかない。かといって何も書かないわけにもいかない。新聞の1面って結構文字数があるんですよ。「これ、小説の原稿料ならかなり高いですよ」というぐらい。

G:
(笑)

円城:
公開されている新聞社のものをそのまま使うわけにはいかないですから。さすがに新聞記事はスクリプトでは作っていないですが、本作ではスクリプトも結構作って使っています。ただ、急場で作るので、後で掘り出せないんですよね(笑)

G:
もったいない(笑)

円城:
掘り出せないと、もう1回書くことになるんです。それで自分で作ったパズルが解けなくて苦しんだりとか。

G:
本作には、iPhoneのSiriやAmazonのAlexaがさらに進歩を遂げたようなAIが登場します。実際に円城さんは言葉で指示を出して操作するアシスタント系アプリなどは使いますか?

円城:
使わないですね。うち、Alexaはいるんですけれど「Amazonの宅配便が今日来ます」と教えてくれるだけです。「うるさい、それはもう受け取っている!」って。

G:
(笑)

円城:
作中は2030年の設定なので、あれぐらいのものは居て欲しいですね。これは僕の気持ちというより、間が持たないという作劇上の都合もあります。画面の端で踊っててくれたりしないと。「踊ってて欲しい、ゆえにAIである」みたいな。そこはアニメならではですね。


G:
2010年に「WEB本の雑誌」のインタビュー「作家の読書道」の中で、「Self-Reference ENGINE」の執筆ペースについて「朝2時間、夜2時間で一編書いて、寝て次の日の朝に今日はこのネタでいこうと思って書く。単に作業時間のとり方の問題だったんです。全体の形を整える、ということくらいは考えましたけれど。以来、そのペースが癖ですね。」と答えておられますが、これは今もこのペースですか?

円城:
基本的には一緒です。僕はずーっと書けるタイプではなく、2時間ぐらいで飽きるんです。最近は1時間半ぐらいですね。その頃はほかの仕事をしていたので、朝は7時~9時とかです。それが一番調子がいいんですが、当時は独身でしたからできましたけれど、今はなかなか時間が取れないですね。

G:
今はもうちょっと遅くなったとかですか?

円城:
朝と夜には時間が取れなくなって、昼になっている感じです。

G:
同じインタビューの中で執筆環境についても触れられていて「僕は家で仕事をできないんです。喫茶店とかじゃないと書けない。家にいると寝てしまいますから」「基本的には渋谷にずっといます。それで、2時間ごとに動き回って、場所を変えます。」とありました。ノートPCでノマド的にうろうろしている感じですか。

円城:
基本的にはそうです。タバコを吸っていたときはドトール一択でしたけれど、今はタバコをやめたので、スタバにも行けるようになりました。

G:
使用しているのはWindowsマシンですか?

円城:
Macです。UNIX文化圏なので、PowerShellは「まだ頑張ってくれ」と……。

G:
執筆環境はわりと変遷があるのですか?それとも、過去に固めた設定をそのまま続けている感じですか?

円城:
ずっとWordで書いていますね。そこはMicrosoftに支配されていて……結局戻っちゃうんです。編集さんも使っているデファクトスタンダードなのでしょうがないという側面と、縦書きでいろいろできるエディタだと、なんだかんだでWordになるという点です。エッセイは横書きでもいいんですけれど、小説は縦書きなんです。今回はシナリオですが、シナリオってフォーマットがありますよね。あれがね……イヤなんですけど。

G:
イヤ(笑)

円城:
シナリオって、字下げ、インデントがすごくイヤな形なんです。しゃべっている人のセリフは下げるけれどト書きは下げないとか、そういうのがあって、みんなWordですごく頑張って調整していると。「それ、インデントの調整に時間かからない?」と聞いたら「すごくかかります」って。それはやっていられないので、テキストベースで勝手にマークダウンしてコンパイルしてCSS書いて、ブラウザで開いてPDFにするという戦略に出ました。

G:
おおー。

円城:
必ずしもそのフォーマットにする必要はないらしいんですけれど、そうすると、会社の誰かがスクリプトにするとき成型することになると。誰かが会社のどこかでひたすらインデントを調整している。

G:
なんと。

円城:
でも、「縦書きPDFコピペできない問題」とかあるじゃないですか。それで、PDFとHTMLを一緒に送ったりするわけです。それは「大変めんどうくさい」と、ひんしゅくしか買わない(笑)


G:
喫茶店で仕事をするときは何か注文すると思いますが、なにか固定の注文があるのですか?それとも、わりと適当に選びますか?

円城:
ドトールではアイスティーでしたが、スターバックスだとスターバックスラテになりました。胃を壊すんで、牛乳が入っていて欲しい。ずっと本日のコーヒーだけでは体が持たない(笑)

G:
なるほど(笑)。先ほども出た過去のインタビューで、「オブ・ザ・ベースボール」が芥川賞候補になった後のことについて、「それから色々仕事を貰えるようになって、忙しくなったんですよね。もしかして食っていけるのかもと思ったし、本当に手におえなくなって、勤めはじめてから1年ちょいで、あ、このままやってると死んじゃうな、と。『このままだと死んじゃうんで辞めます』とそのまま言って退社しました」という話が出ていました。「このままだと死んじゃう」というのは相当ですが、どれぐらい忙しかったのですか

円城:
たぶん睡眠時間がなかったんですね。9時~17時で仕事をして帰っていたんですが、朝と夜、それぞれ2時間書いているともう寝る時間が足りなくなるんです。そんなの余裕、と怒る人もいるかもしれませんが、僕としては無理でした。ものを書く仕事と会社のことを考えるという2つの仕事を兼ねるのも難しいと。

G:
円城さんは読書メーターを公開していて、読んだ本が4000冊以上となっています。登録が2008年10月なので、ペースでいえば1日平均1冊以上ということですが……。

円城:
漫画も入っているのでそんなでもないですよ。映画好きの人なら「今日は2本にしておいた」とかあるじゃないですか。そういう感じです。書評とかを書く人だと、月に30冊から50冊ぐらい読んでることもありますけど、僕は年に200冊行けばいいかなぐらいです。ある程度は読まないとというのは、仕事柄でもありますね。

G:
読書メーターに登録して情報を公開しようと思ったのはなぜだったんですか?

円城:
……なぜだったんでしょう。でも、便利ですよ。好きに書いていい書評のとき「最近読んで面白かったのは何だったかな」と振り返ったり、「今年のベストをお願いします」と言われたときに「今年は何を読んだかな」と調べたり。自分で手帳にメモすることにしていても、書かなくなるじゃないですか。執筆場所の「家にいると寝てしまう」のと同じで、そういうルーチンがないと続かない。

G:
毎日少しずつ読むより、時間を作ってまとめて読むスタイルですか?

円城:
Kindleで読むようになってだいぶ変わりましたね。寝ながら読むとかしています。

G:
読む本はどうやって決めているんですか?なにか基準があるんでしょうか?

円城:
気になったものを読むのと、あとは、本の中で引用されているものを読むのが好きなので、そういうつながりがあります。資料として読むものもありますけれど。

G:
アニメや映像作品についてはよく見る方ですか?

円城:
見ない方じゃないでしょうか。特に映画はここ10年近くはほとんど見ていない。「『TENET テネット』(2020年)、どうでしたか!?」って聞かれますけど「ごめん、見てない!」って。アニメは見ているものもありますけれど、決して見ているといえる量ではないですね。

G:
昔はわりと見ていた方ですか?

円城:
うーん、どうだろう。昔ってアニメの見方がもっとおおらかでしたよね。「ガンダム見てないけれど喋ることはできる」みたいなのがあるじゃないですか。本数が少なかったからというのもあるかもしれない。今は「見ている」というと、もっとしっかり見ていてきちんと話さないとという印象です。

G:
今回、この「ゴジラ」の話があったとき、ある程度わかる状態ではあったという感じですか。

円城:
そうですね、全然知らないものではなくて、半分ぐらいはわかるかなと。いきなり「バラゴンが」と言われると「んっ!?」となるけれど、「キングギドラってなんですか?」というわけではなく、モゲラぐらいまでならわかる、という。

G:
十分いけてる感じがします(笑)

円城:
「マンダ?わかるけれど、誰と戦ったかまではわからない」とかガメラなら「レギオン?頑張るよね」とか、共通知識としてはあって。SF映画も『ターミネーター』とか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか、そういったラインならまぁまぁまぁ、なんとかなるものじゃないですか。

G:
「ゴジラ」は過去の作品との整合性というか、バランスを取る部分も合ったと思います。その中で「ここは残そう」「これは一新して、新しいものでいこう」というのは、どのように決めていったのですか?

円城:
難しいところでしたが、ストーリーからの要請があるのと、出せるモデル数が決まっているということがあって……。

G:
(笑) 一定の制限はあると。

円城:
10ポリゴンぐらいのモンスターをいっぱい出していいなら出しますけれど、そういうことではないですもんね。怪獣には求められるクオリティがあり、求められるポリゴン数がある。

G:
(笑)

円城:
ある程度リアルに立脚したお話でありつつ、SF設定も絡めつつというと、ミニラあたりは出しにくい。ミニラは子どもなのか子どもじゃないのか、ミニラとジュニアは違うのかなど、いろいろと難しいところが多々あるので。

G:
うーん、難しい。

円城:
ラドンについては、見た人の思いはいろいろあると思います。でも、3Dモデルなんだから数は出しますよ。キャストの中でいっぱい飛んでもいいのは誰かと考えるとラドンになるのではないか、と。アンギラスがいっぱい走っているというのは、アニメとしての絵は作れるけれど……


G:
シュールですね。

円城:
そっちの笑いは求めていないぞと。

G:
そうなりますよね。

円城:
人と戦う以上は、ある程度スケールは小さくないと困るんです。怪獣モノではあるけれど、戦う一方で、人間ドラマがないと13話はもたないので、それをやれるように、20代の男女が戦う相手として、とりあえず小さくなってもらうしかないんです。とにかく、13話で構成しながらもアニメーションであることを尊重するのが最大の課題でした。

“ミサキオク”の調査依頼を受けたことをきっかけに「ゴジラ」との戦いに巻き込まれていく変わり者の大学院生、神野銘(声:宮本侑芽)。


空き家となっている洋館の調査をきっかけに「ゴジラ」との戦いに巻き込まれていく、町のなんでも屋に勤めるエンジニア・有川ユン(声:石毛翔也)。


G:
なるほど。

円城:
監督の高橋さんのこだわりとしては、怪獣が現れたときに「あっ、怪獣だ」と言っていいのかどうかというのがありました。リアルに考えると「言わない」ですが、怪獣映画なら言ってもいい。どちらを取るかは議論がありましたが、高橋さんとしては「恐竜?」と言うだろう、と。そうなると、ビジュアルは当座、恐竜に寄せる方が自然ということになる。

G:
なるほど、設定したリアリティのレベルを考えるとそうなる。

円城:
そう考えると、ケツァルコアトルスみたいな外観にしておいて、ぱっと見たときに「恐竜が現れたんじゃないか?」と思うような世界線が決まってくる。


円城:
今回の怪獣のデザインについて、恐竜に似ていて、「中に人間が入っていないから好き勝手している」と言われますが、中の人は本当にいないですし、最初に現れたときに「あっ、怪獣だ」とならないようなリアリティレベルを設定したからそうなったのだということです。


G:
話を聞いていると、本当に作品を構成していくのが大変だったんだなと感じます。最後をどう持って行くかということ以前に、まず最初から何もかもが大変だったということですよね。

円城:
まずはリアリティレベルの設定からですし、どの怪獣をどのタイミングで出すのかも決まりませんでしたし、大オチをどうするかも決まらない。

G:
まさに、何も決まらない(笑)

円城:
最後の大逆転……「きっと逆転しますよね?」とか、そういう相談の仕方でした。作劇上、大逆転が来るはずですが、「まだ逆転の仕方が決まってない」となるわけです。でも、逆転しないわけにはいかないはずで……と、その繰り返しです。本当に、13話っていろいろ考えなければいけなくて。

G:
やはり13話というのは長いものですか?

円城:
まず30分ごとに1回切れてちょっとオチがついて、1週間おいてまた続くという構成がゴジラとしての前例がない。2時間であれば、前例がたくさんあるので、どう山を作ればいいかわかるんですが、13話のゴジラだと、そもそもどう山を作ればいいのか、ゴジラをどう出せばいいのかもわからない。東宝のプロデューサーとしてはやはりゴジラには早く出て欲しいわけですが、我々としてはあまり出したくはない。

G:
(笑)

円城:
1話からゴジラが出てくるというのは、案としてはありましたけど、つらいですよ。やはり「ゴジラ」という作品だからこそゴジラは出るべきですが、1話から出てしまうと13話までもたない。せめて回想シーンじゃないと……と。

G:
実際、今回は途中まで拝見して来ましたが「なるほど、そうくるか」という感じがしました。
東宝さんは早めにゴジラを出して欲しいという意見だったという点について、本作では「こうして欲しい」「これはしないで欲しい」という要望はありましたか?

円城:
基本的にはないんですが、実はすごくあるんですよね。

G:
ないけれど、ある(笑)

円城:
わざわざ聞かないこともあるじゃないですか。エンタメを追求して、ゴジラをリブートして新しい層に届けるということだけを考えるなら『怪獣8号」的なものになってもよかったわけです。いきなりゴジラの死体処理からはじまるとか。でも、それは聞くまでもなくダメじゃないですか。『シン・ゴジラ』の時にも話があったと聞きますが、たとえば「ゴジラは変形してもいいのか」とかもですね。

G:
(笑)

円城:
だから「人は食べないでください」「他の怪獣を振り回すのはいいけれど、食べるときはご一報ください」「初代以前の時代にゴジラはださないで欲しい」といった感じの話はありました。ゴジラは、いわば虎の子のアイドルですから「うちの子はそういったバラエティには出ません」みたいなことは当然あるんです。作る側からすると「首を2つにしていいですか?」「ゾンビ状態でもいいですか?」「羽はやして飛んでもいい?」とかは考えますが、やはりゴジラはオンリーワンであって欲しいと。それこそ、ゴジラを複数出していいんだったら、ゴジラの群れを出すことも考えます。世界の危機を描きたいなら多い方がいい。ゴジラが1匹しかいないなら、どこか広大なエリアに入れて柵でも作ってしまって「たまに熱線を吐く間欠泉のようなアトラクション」になるかもしれないし、それができないようにするには、『怪獣黙示録』(2017年・小説)みたいに超巨大化させることになる。


G:
(笑)

円城:
それこそ、追ってこられても逃げるというのも手ですよね。でも首都を目指して直進してくるから「それはさせない」と防がなければいけなくなるんです。

G:
確かに。

円城:
「どこを壊していいのか」というのも課題でした。あまり街に来てしまうとモデリングが大変ですが、かといって鳥取砂丘で暴れるだけでは、モデリングは楽かもしれないけれど許されませんよね。たとえば大阪城を壊すというなら、大阪城を作らないといけないので、それはやめた方がいいかなと考えもします。

G:
それはそうですね。

円城:
どういったお話でもいいということだったので、日本各地をサザエさんのオープニングのように巡って壊していくという案もあったんです。それぐらいなんでもOKというところから始まっていたんです。ゴジラなら「地元に来て壊してくれ」というのもあったりします。その一方で「これは壊しちゃダメ」というものもあったりする。そうなったとき「ゴジラとはなんぞや」が広げられるような広げられないようなところもあって、プロデューサーと駆け引きをしたり……。

G:
こうして話を聞くと難しいけれど本当に面白いところばかりです。円城さんは実際にそういった話を聞いたとき、「予想通り」でしたか?それとも、意外でしたか?

円城:
予想通りな所もあれば、意外な所もありました。何かしらやっぱり変な形にはしてみたいなとは思いましたね。首2つは僕もどうかと思いますけれど(笑)

G:
(笑)

円城:
メタファーを背負った生物でありつつ神話的な生き物でもあるところにどう折り合いをつけるか、なかなか難しかったです。ずっとそういうことばっかりやっていました。

G:
それはもう、毎週のようにですか?

円城:
2週に1回ぐらいですね。それこそ、アニメ映画の『GODZILLA』3部作の第1部が公開される前からやっていましたね。


G:
そうなんですか!

円城:
平行で走っていました。その間、ずっとこんな感じの話です。プロデューサーと監督とボンズさんとオレンジさんと僕と、この東宝さんの会議室に集まっていました。

G:
ゴジラ本編とは離れますが、見聞伝ゼミナールのインタビューでは「『小説をイラストレーターで書いちゃいけないのか』って思うことがあります。そうするとちょっと詩に近くなる気がするんです。それは別にタイポグラフィをやりたいってことじゃなくて、ワープロとか万年筆とかタイプライターとか、書く道具によって少しずつ書き方やそこに現れるものが変わるように、イラストレーターで書くとなにかが変わるんじゃないかっていうことです。最終的に出てくるのがテキストデータでも、画像データとして書くと変わるんじゃないかって気はしますね」という話も出ていました。これは、ベクターのパスとして書くみたいなイメージだったのでしょうか。

円城:
なぜタブレットやApple Pencilではなく、illustratorなのかと。なんででしょうね(笑)。別に、テキストボックスでいいんですけれど、「テキストボックスで小説を書け」と言われたら「じゃあ、どうしようか」と考えますよね。改行はしにくいでしょうね。するたびにボックスが伸びていく。伸びていくことについての小説になるかもしれない。そういうぐらいの感じです。いつもそんなことを言ってます。「3Dプリンターで書けばいいじゃないか」とかね(笑)。積層されて下から出てくるとか。いや、で今回は結構illustrator使いましたよ、あとGraphvizと。

G:
Graphvizだと、プロット作りとかですか?

円城:
こことここがつながってるというような図に使えるかなと思ったら、あまり使えなかったですね。描くのはカンタンなんですが、わかるのが僕しかいないという。人の動きや、怪獣がどこでどうするかという流れを誰がどう整理するかというところで、なんとかできるかなと思ったけれど、なんともならず。

G:
最終的には、どう整理したんですか?

円城:
監督と、最初は軍事考証で入ってもらった小柳さんが頑張りました。大体いいところはその2人が決めたところですよ。

G:
新刊JPによるインタビューの中では、「ウェブや電子書籍向けに小説を書くとするとどんなものを書くかについて、真面目に考えたことはあまりないのですが、短いプログラミングコードを書けないと作れない小説を書きたいということは前から思っています。それはさっきの『百万物語』でもいいのですが、『百万物語』そのものを見せる必要はなくて、『百万物語』を生成するコードの方が小説になりえます。コードが小説になりえるならば、紙に印刷してもおもしろくないでしょう。『Github』に上げる方がおもしろい。」という発言が出ています。コードとしての小説というのは、「実行可能な小説」のようなイメージでしょうか。

円城:
「百万物語」でいえばお話を作る構造ですね。Kindleなら大きさもページ数の制限もないので、100万ページの小説でもできる。それを人間が書けないから置いていないだけで、それこそ「百万物語」を生成すればいい。怪談とか、だいたい構造が一緒なので、地名だけ違う物語が100万編置いてあるとか。それはコードとしては単純ですよね。そういうパフォーマンスを、電子書籍を考える上ではやってもいいのではないかと。電子書籍はコピー可能なのに値段がついているという意味もよくわかりませんよね。それこそ詩人が詩1編を100万円で売ってもいいし、「百万物語」が5円で売られててもいいし、その物語を生成するコードがGitHubで公開されていてもいい。そういう方向で文芸、お話の定義を広げていくことを誰か考えてもいいんじゃないかなという感じです。単に、機械生成してくれたら楽だなというのもあります(笑)

G:
(笑)

円城:
小説がプログラムのコードとしてコンパイルなり実行できるなり、そういう言語があってもいいと思います。実際どうというアイデアがあるわけではないですが。小説って、主人公がいて動いていることが多いですよね。……なんか、気の狂ったような発言ですけど。

G:
いやいや(笑)

円城:
「それはオブジェクトなの?登場人物はインスタンスなの?」と。大したことはしていないんですよ。動いて、しゃべって、場面転換。それがそんなに複雑なことなのかというのがわからない。それで作った小説が面白いかどうかは別として(笑)。小説を自動的に生成しようと試みる人は結構いますけれど、アプローチがいまいちな感じがしていて、なにかうまい手はないかなと考えています。全体のフレームワークだと思うんです。「いつどこで誰と誰が何した」みたいなのはありますが、もうちょっとあるのではないか、という思考実験ですね。

G:
いろいろ伺っていると、円城さんはお話の拡張みたいなことを常々考えているのかなと思うのですが、何かそれは理由があるんですか?

円城:
理由なくやりたいのが動機ではあるんですが、たとえば「もうみんな和歌は詠んでいない」ということです。実証的な研究があるわけではないですが、筆記用具が変わることで小説も変わってきたんだと思うんです。最初、言葉というのは「ウソを書いてはいけません」だったので、小説が誕生するのって意外と遅いんです。でも印刷とかがはじまると「ダメ」と止めることができなくなって広がり、今やPCやケータイを使って誰でも書けるようになると、書かれることはウソだらけみたいなことになっている。情報環境によって書かれるものが変わり、受け入れられる物語も変わっていくのではないかというところにずっと興味があるんです。

G:
ほうほう。

円城:
当然、そういう意味ではアニメーションであろうと特撮であろうと、それぞれのフォーマットにあった物語によって伝えられるものがあるんだろうと思います。和紙に墨で書くのは平安時代ぐらいに頂点を極めて衰退していったけれど、ここ数十年で現れたPCはまだポテンシャルを出し切れていなくて、ポテンシャルに置いて行かれている感じがあり、まだもっといろんなことができるんではないか、もっと面白いものが作れるのではないかと。

G:
ふむ。

円城:
そういう立場なので、アニメーションであれば絵に奉仕して、絵を最大限に優先するのが当たり前だから、前衛小説の技術が炸裂したりはしない。アニメなんだからアニメーションが大事ですよ。そういう意味での「ゴジラS.P<シンギュラポイント>」のご心配は大丈夫です。大丈夫なはず……。いや……。

G:
(笑)

円城:
僕が文字で遊んでいるのは、小説を書いているから文字のポテンシャルで遊んでいるのであって、絵に関しては僕は触れませんから、そちらを最大限尊重する形で考えられればというのが基本なので、ご心配なく、ということです。

G:
なるほど。13話の構成を練りに練った「ゴジラS.P<シンギュラポイント>」、楽しませていただきます。本日はありがとうございました。

巨災対ジャケットでインタビューに応じてくれた円城さん。


「ゴジラS.P<シンギュラポイント>」は毎週木曜日22時30分からTOKYO MX、KBS京都、BS11で、24時からサンテレビで放送中。また、Netflixでは毎週木曜日にTV放送より1話先行しての配信が行われています。

TVアニメ『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』PV第3弾/OPテーマ:BiSH「in case...」/4月1日(木)放送開始 TOKYO MXほか - YouTube

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in インタビュー,   動画,   アニメ, Posted by logc_nt

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