サイエンス

「マスクの二重着用はウイルスからの保護効果を著しく高める」とアメリカ保健当局が発表


アメリカ国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を主導する疾病予防管理センター(CDC)が「マスクの二重着用はウイルスからの保護効果を著しく高める」と発表しました。

Maximizing Fit for Cloth and Medical Procedure Masks to Improve Performance and Reduce SARS-CoV-2 Transmission and Exposure, 2021 | MMWR
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7007e1.htm

CDC study backs mask doubling with exposure to risky particles down 83% | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2021/02/double-masking-more-than-doubled-cough-particle-blocking-in-cdc-study/

CDCのジョン・ブルックス博士らが行った実験は、医療用マスクの上に布製マスクを装着するという、いわゆる「二重マスク」を通常のマスクと比較するというもの。ブルックス博士らはゴム製の人形にマスクを装着し、新型コロナウイルスを含みうる飛沫粒子であるエアロゾルの削減効果を調べました。

この実験の結果、エアロゾルの削減効果は医療用マスク単体の場合は42%でしたが、医療用マスクと布製マスクの二重マスクの場合は92.5%に達することが判明しました。

この差につながったと考えられたのが、医療用マスク装着時に生まれてしまう「開口部」でした。一般的な医療用マスクは以下の画像(A)のように装着時にマスク側面部に開口部が生まれてしまい、ここから飛沫が拡散するという問題がありました。一方、画像(B)のように二重マスクの場合はこの開口部が埋まるため、飛沫の拡散をより防ぐことができます。


そのため、ブルックス博士らは以下の画像のように「医療用マスクの口ひもを縛る(以下、結び目マスク)」という、開口部を塞ぐ簡易な手法についても実験を行いました。


2つの人形のうち1つを「感染者」、もう1つを「非感染者」として、感染者が放出したエアロゾルを非感染者が受け取る確率を調べたところ、感染者側だけがマスクをしている場合のエアロゾル削減効果は、二重マスクが82.2%、結び目マスクが62.9%。非感染者側だけがマスクをしている場合には、二重マスクが83%、結び目マスクが64.5%。感染者側も非感染者側も双方がマスクをしている場合には、二重マスクが96.4%、結び目マスクが95.9%という結果でした。

ブルックス博士らは今回の研究はあくまで実験室で行われたもので、人間ではなく人形を使ったという点や、医療用マスクにもさまざまな種類がある点、「二重マスク」といってもどのようなマスクを組み合わせているかにより効果が異なる点などを認めた上で、「マスクの効果を最大化するためには適切な装着が重要である」と結論づけています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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