サイエンス

医療用ではないマスクがどれほど感染症対策に有効なのかを調べる「ロウソクテスト」とは?


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として「マスクの着用」が有効であるとされていますが、誰もが医療用の高性能なマスクを入手できるとは限りません。市販されている非医療用マスクや手作りの布マスクにどれほど効果があるのか不安に思う人のために、「マスクが本来の機能を果たせるかどうかをチェックする方法」を、ニューサウスウェールズ大学で感染症予防などについて研究するRaina MacIntyre教授が解説しています。

How do I know if my mask actually works? What about the 'candle test'?
https://theconversation.com/how-do-i-know-if-my-mask-actually-works-what-about-the-candle-test-144124

一定割合の人がマスクをすればCOVID-19の流行を抑えられるとの研究結果も報告されており、一部の国や地域では公共の場所でのマスク着用が義務づけられています。その一方で、市販の医療用ではないマスクや手作りの布マスクがCOVID-19対策になるのかどうか、疑問に思っている人も少なくありません。

MacIntyre氏は、「医療用」と表記されていないマスクは単に医療機器としての承認を受けていないだけの場合もあるため、「必ずしも感染症予防の役に立たないわけではありません」と述べて、マスクの効果を考えるときには「布マスクの構造」と「耐水性の有無」が重要になると解説しました。


◆布マスクの構造
たとえば布マスクの場合、できるだけマスクを構成する層が多い方がフィルターとしての機能が優れています。マスクを着用しないよりは布地が1層のマスクを着用した方がよく、1層のマスクよりは2層のマスク、2層のマスクよりは3層のマスクの方がいいとMacIntyre氏は主張し、できれば3層以上の布地を重ねるのがオススメだと述べています。また、液滴やエアロゾルがマスクを通過できないように、できるだけ目が細かくて密度が高い布地を素材に選ぶべきだそうです。

マスクを作る場合、布地を重ねる順番も考慮する必要があります。純綿は肌触りがいいものの吸水性が高いため、マスクの外層に純綿を使用すると、誰かがせきやくしゃみで飛ばした液滴を吸収してしまう危険があるとのこと。そこで、マスクの外層に使う布地は耐水性に優れたポリエステルを使ったものを使った方がいいと、MacIntyre氏はアドバイスしています。

純綿を使う場合は一番内側の層に使うのがよく、吸水性に優れた純綿が内側にあると、呼気に含まれる湿気を吸い取ってくれて快適に過ごせるそうです。また、マスクが顔によくフィットするかどうかも重要で、マスクと顔の間に隙間があると周囲の空気を直接吸い込んでしまい、マスクの意味が薄れてしまいます。マスクと顔の隙間を埋める方法はさまざまですが、医療用テープを貼ったり、隙間に湿らせたティッシュを詰めたり、マスクの上からナイロン製のストッキングをかぶせたりする方法が専門家によって紹介されています


◆ロウソクテスト
マスクの性能をチェックする方法として、アメリカの科学教育者であるビル・ナイ氏によって普及された「ロウソクテスト」というものがあります。これは「マスクをしたまま息を吹いてロウソクの火を消せるかどうかを確かめる」というもので、ロウソクの火が消えればマスクが十分に空気の流れを止めることができないことを示し、ロウソクの火が消えなければマスクがしっかり空気を遮断していることを示します。

実際に「ロウソクテスト」でマスクの機能を確かめる様子は、以下のムービーを見るとよくわかります。

ABC 6 takes on Bill Nye's mask vs. candle experiment - YouTube


マスク着用の重要性を熱心に語るナイ氏。


ナイ氏がTikTokに投稿したムービーで紹介したのが、マスクを着用したままロウソクの火を消せるかどうかをチェックする「ロウソクテスト」です。


アメリカのTV局であるWSYXは、ただのバンダナや布マスク、微粒子用のN95マスク、市販の医療用マスクなど、さまざまなマスクでロウソクテストを実施することにしました。


火がついたロウソクを前にして立つ男性レポーターは、顔にバンダナを巻いています。


息を吹きかけると、ロウソクの火があっさりと消えました。薄いバンダナは息を簡単に通してしまうそうで、マスクとしての機能は心もとないといえます。


続いて、家庭で作った布マスク。


マスクが浮き上がるほどの勢いで息を吹きかけるものの、ロウソクの火は消えません。


布マスクでも、十分に空気の流れをさえぎることができることがわかります。


次は、製造・建設現場や感染症の医療現場で用いられるN95マスクで実験を行います。


やはりロウソクの火は消えません。


今度は市販の2層からなる布マスク。


これでもロウソクの火は消えませんでした。2層の布マスクでも感染症対策にはある程度の効果があるようです。


最後は薄手の医療用マスク。医療用マスクは布マスクと比べると薄手で、空気の流れをさえぎるという点では心もとないように見えますが……


ロウソクの火が少し揺れたものの、見事にロウソクテストをクリアしました。薄手であっても医療機器としての承認を受けているマスクは、空気を遮断する効果が優れていることがわかります。


◆耐水性のテスト
ウイルスはせきやくしゃみで飛ばされる液滴に乗って運ばれるため、液滴がマスクに付着した場合、外側の層が液滴を弾くことが求められます。そのため、自宅でマスクの性能をチェックする際には、「水滴をマスクの外側に垂らしてみる」というテストを行うこともオススメだとのこと。液滴がマスクに吸収される場合はマスクの耐水性に問題があり、液滴がビーズのようになって弾かれた場合はそのマスクの耐水性に問題はないとMacIntyre氏は述べました。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1h_ik

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