ネットサービス

GoogleはFacebookを優遇する不正な広告契約を結んでいたという主張にGoogleが反論


Googleは競争相手となるライバルを妨害する反競争的な行動を取り、市場を独占したとして、独占禁止法(反トラスト法)違反が疑われています。争点の1つとして、GoogleとFacebookが共謀して広告市場の独占を維持しようとした事が指摘されてきましたが、Googleは一連の情報に対し「不正確な描写である」と反論する記事を公開しました。

Behind a Secret Deal Between Google and Facebook - The New York Times
https://www.nytimes.com/2021/01/17/technology/google-facebook-ad-deal-antitrust.html

AG Paxton’s misleading attack on our ad tech business
https://blog.google/outreach-initiatives/public-policy/ag-paxtons-misleading-attack-on-our-ad-tech-business/

Googleは2020年10月、「検索及び検索広告市場において、反競争的で排他的な慣行を通じた独占状態を違法に維持している」としてテキサス州のケン・パクストン司法長官らによって提訴されました。

Googleが「独占禁止法違反」で司法省から提訴される - GIGAZINE


また12月には上記に加え、GoogleがFacebookと共謀して反競争的な契約を結んだという点から、独占禁止法違反で提訴されました。

Googleがさらなる独占禁止法違反の訴訟に直面、今度はFacebookとの共謀の疑いも - GIGAZINE


発表の中でパクストン司法長官は「Googleの反競争的な行為は広告主のコストを増加させ、広告サービスの質を低下させた」と非難。これに対しGoogleは「Googleの広告料金は業界平均を下回っているだけでなく、業界におけるネット広告の価格や手数料も10年にわたって下落しており、これは激しい競争がある業界の特徴です」と反論しました。

この裁判について、新たにニューヨーク・タイムズが「FacebookはGoogleと広告販売で競争する予定だったにもかかわらず、Googleの広告システムでFacebookを優先する契約を結んだ後、競争から退いた」という裁判所文書の詳細を報じています。


近年のインターネット広告では、「広告を出したい側である広告主が媒体側と直接広告枠を取引する」という形ではなく、いくつもの媒体を抱えたアドネットワークアドエクスチェンジを取りまとめるシステム上で、広告主が費用やオーディエンスを元に「オークション形式で広告枠を競り落とす」という形が採られています。これらの取引はほぼ自動的に行われるため、プログラマティック広告とも呼ばれます。

Googleはインターネット上の広告の多くを占めているため、Googleの広告プラットフォームへの依存を減らし、競争を増やすために、2016年ごろまで「ヘッダー入札(ヘッダービッディング)」という方法が人気を集めました。ヘッダービッディングでは一度にGoogleを含めた複数の取引所から入札を募ることができるため、より競争が激しくなり、広告価格が最適化されると考えられています。2016年までに媒体側の70%がヘッダービッディングを採用したといわれています。


しかし、競争が激しくなるということはGoogleにとっての損失が大きくなることを意味しています。このためGoogleは、提携する取引所をサポートする「Open Bidding」という方法を開発。Open BiddingでGoogleと提携していない取引所はGoogleと競争することになり、落札ごとに料金を徴収される仕組みになっています。

そんな中、Facebookは2017年、ヘッダービッディングのテストを実施していると発表しました。FacebookがヘッダービッディングにおいてGoogleのライバルになることは、Googleにとって大きな脅威でした。また広告業界にとってFacebookのヘッダービッディング参入は、GoogleのOpen Biddingに傾きかけた業界を逆転させる可能性だとして話題となりました。

しかし2018年12月、Facebookは突如としてヘッダービッディングへの参入をやめ、GoogleのOpen Biddingに参加することを発表しました。Facebookの発表では明らかにされませんでしたが、裁判の原告主張草案によると、このときGoogleはFacebookに「特別な情報」と「一定の契約成立率の保証」、そして「オークションに勝てるよう、ほかのパートナーには提供していない特別扱いの入札速度」を提供することを約束したそうです。たとえばOpen Biddingにおいて媒体側が最終的に受け取る落札額が決まるまで、価格情報は媒体側には非公開ですが、Facebookにはこのような価格情報を提供したとのこと。また裁判所文書は、Facebookは広告が表示されるエンドユーザーが特定できた場合の最低90%は入札を行うこと、そして契約の4年目までにOpen Biddingで年間5億ドル(約520億円)の支出をすることを約束したと主張しています。


一方、一連の報道に対し、Googleのアダム・コーエン経済政策局長は「情報が不正確である」と反論。「Facebook Audience Network(FAN)」のOpen Biddingへの参加は公開された情報であること、そしてOpen BiddingはGoogleの広告ビジネスの「非常に小さな部分」を占めており、ディスプレイ広告全体の4%未満に過ぎないことをGoogleは説明しました。そして「GoogleはFANに有利なようにOpen Biddingオークションを操作している」というパクストン司法長官の主張に対し、Googleは「絶対にそのようなことはしていません」「FANはライバルプラットフォームでのいくつかの同様のオークションにも参加しています」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Googleの広告収入は3兆2800億円、YouTubeのみで5000億円以上であることが2020年第3四半期決算で明らかに - GIGAZINE

Googleが検索結果と広告を一目で判別できないように仕様変更、各所から非難の声 - GIGAZINE

Googleが「これから需要の上がる製品」などを教えてくれるインサイトページをGoogle広告に追加 - GIGAZINE

Google検索の広告枠増加でオーガニック検索のトラフィックが減少している - GIGAZINE

「金を払わなければGoogle広告の配信を停止させて収入源をなくしてやるぞ」と脅す恐喝手法が登場 - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.