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Facebookが株価の低下後にSNS検閲問題の新ポリシーを導入、しかし「Facebookをボイコット」の動きは止まらず


黒人男性のジョージ・フロイド氏が警察による不当な拘束によって死亡させられた事件を受けて、アメリカでは抗議活動が激化しており、同時にSNSに対してヘイトスピーチ対策の強化が求められています。Twitterが暴力を示唆するトランプ大統領のSNS投稿に対してラベル付けを行う一方で、Facebookは一貫して「あらゆる検閲を実施しない」という姿勢だったことが社内外で非難され、広告主による大規模なボイコット運動に発展。そして、2020年6月26日(金)にFacebookの時価総額が560億ドル(約6兆円)下がったと報じられた後、マーク・ザッカーバーグCEOは新たなポリシーを発表しました。

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https://www.reuters.com/article/us-facebook-ads-boycott-exclusive/exclusive-facebook-ad-boycott-campaign-to-go-global-organizers-say-idUSKBN23Z0O4

トランプ大統領は2020年5月29日に、アメリカ各地で起こっている抗議活動に対して「when the looting starts, the shooting starts(略奪が起きた場合、銃撃で対抗する)」とSNS上で発言しました。この投稿に対しTwitterは「暴力を賛美している」という警告を表示しましたが、一方でFacebookは一切警告を表示しませんでした

また、その後6月24日にトランプ大統領が行った投稿に対しても、Twitterは「攻撃的な行為についてのTwitterルールに違反しています」とラベル付けしましたが、Facebookはそのまま表示し続けました。

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トランプ大統領はTwitterのこのような対応に対して、SNSが投稿内容の「検閲」「編集」を行っていると指摘。SNSの運営会社はこれまで、ユーザーの投稿した内容について、例外を除き法的責任を負わなくてもよいことが通信品位法230条で定められてきましたが、トランプ大統領はこの見直しを求める大統領令に署名しました。

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大統領令を受け、司法省は実際に具体的な立法案の提案を行っています。またAP通信によると、政府内では「サービスの提供者は裁判所の承認に従って、わかりやすく、読みやすく、使用可能なフォーマットで政府がコンテンツを入手できるよう助力しなければならない」という内容の議論も行われたとのこと。

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Twitterとは正反対の対応をみせたのがFacebookで、トランプ大統領の投稿に対して一切対応しなかったことが大きな批判を集めています。これは「言論の自由を重視する」というマーク・ザッカーバーグCEOの意向によるものですが、ザッカーバーグCEOの決定に対しては社内外から非難の声が挙がっています。ザッカーバーグCEOの決定に失望したと表明した従業員400人が仮想ストライキを実施したほか、少なくとも2人のエンジニアが辞職。「なぜ世界で最も賢い人々が、社会問題を進展させるのではなく、トランプ大統領を敵に回したくないがために私たちのポリシーをゆがめているのでしょうか」と指摘する声も上がっています。

社外からの風当たりも強くなっています。アメリカでは、大手企業がFacebookとInstagram上の広告を次々にボイコットする「#StopHateForProfit」キャンペーンに参加。この状況について、Facebook役員もクライアントとの電話の中で、「『信頼の赤字』が存在する」と認めました。そして、Facebookの株価は6月26日に8.3%下落しました。

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このような風当たりを受け、ザッカーバーグCEOは6月27日付の投稿で新たに、「不快な広告コンテンツに対する高い水準の作成」と「報道価値のあるコンテンツのラベル付け」について述べました。


上記投稿でザッカーバーグCEOは、「私たちは広告において幅広い有害コンテンツを禁じています。具体的には、特定の人種・民族・国籍・宗教・所属・カースト・性的指向・性自認・移民が他者の身体的・健康的・生存的安全の脅威だとする主張を禁じるよう、ポリシーを拡大しています。また、移民・難民といった保護を求める人々を劣っているとしたり、蔑視したりする広告を禁止する形にポリシーを拡大しています」と主張。


また、ザッカーバーグCEOは、YouTubeやTwitterを含むインターネットプラットフォームよりもFacebookの方が迅速にヘイトスピーチを取り除いているというEUの調査についても強調しています。

加えて、政治的発言についてはポリシー違反でも「報道価値がある」として投稿が削除されない可能性があるものの、残したコンテンツの一部に対してラベル付けを開始することをザッカーバーグCEOは新たに発表しました。そして、暴力を扇動したり投票を抑制したりするようなコンテンツの場合は、「報道価値があることによる削除免除」が適用されず、誰が発言したかに関係なく例外なく削除されることについても言及されました。

しかし、Facebookが新たな取り組みを開始しても、ボイコットの流れは変わりません。ライフスタイルの提案を行う社会意識の高いアメリカ企業からスタートしたボイコットは、アメリカだけでも160社が賛同するムーブメントになり、世界的な広がりをみせています。ヨーロッパにこの流れが移ると、以前からFacebookの規制を求めてきた欧州当局にとっての追い風になるともみられています。

Exclusive: Facebook ad boycott campaign to go global, organizers say - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-facebook-ads-boycott-exclusive/exclusive-facebook-ad-boycott-campaign-to-go-global-organizers-say-idUSKBN23Z0O4


なお、スターバックスは#StopHateForProfitキャンペーンには参加していないとしつつも、ヘイトスピーチの拡散を防ぐために「Facebookを含めた全てのSNSプラットフォームでの広告掲載を一時停止する」と発表。スターバックスの広報担当者は、SNS上の投稿は引き続き行うものの、有料のプロモーションはYouTubeを除いて行わないと述べました。

Starbucks latest company to pause ads across social media platforms
https://www.cnbc.com/2020/06/28/starbucks-latest-company-to-pause-ads-across-social-media-platforms.html

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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