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社員の一斉ストライキ・広告主のボイコット・独占禁止法調査など数々の問題に直面したFacebookのCEOは何を考えているのか?を示す音声が流出

by Anthony Quintano

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOが「政治的発言のファクトチェックを行うべきでない」と2020年5月に発言したことをきっかけに、Facebookは大手企業から広告ボイコットにあい、人権・公民権監査レポートに「ひどい前例を作り出した」と書かれ、独占禁止法違反で調査されるなど、数々のニュースが報じられています。従業員からの強い反発も報じられるFacebookのあり方についてザッカーバーグCEOはどう考えているのか、実際の社員ミーティングの音声を、ニュースメディアThe Vergeが入手し公開しています。

Facebook leaks show Mark Zuckerberg defending his decisions to angry employees
https://www.theverge.com/21444203/facebook-leaked-audio-zuckerberg-trump-pandemic-blm

The Vergeは2020年5月から8月の間にFacebookの従業員の間で行われた会議の音声複数と、数十の社内投稿&スクリーンショットを入手したとのこと。さまざまな決断や慣行について批判を浴びるFacebookですが、ザッカーバーグCEOは社内の質問に対してどう答えているのか、その音声から判明しています。


2020年5月25日、黒人男性のジョージ・フロイド氏が警官の不当な暴力により死亡しました。この事件を受けてアメリカ全土にわたる抗議行動が活発になり、一部では暴徒化した人々により放火や略奪が起こりました

これに対しトランプ大統領が「when the looting starts, the shooting starts(略奪が起きた場合、銃撃が始まる)」と投稿したため、Twitterは「暴力の賛美についてのTwitterルールに違反しています」というラベルを付けましたが、ザッカーバーグCEOはTwitterとは逆に「民間企業は『真実の決定者』になるべきではない」と述べ、ファクトチェックに反対の意を示しました。

Twitterは政治的発言のファクトチェックを行うべきでないという考えをFacebookのCEOが表明 - GIGAZINE


トランプ大統領はザッカーバーグCEOの考えを取り上げ、「Twitterはオバマを批判したか?」とTwitterに投稿しました。


Facebookのこの判断は、「Facebookは民主化を実現し、世界をよりオープンでつながりのあるものにする」と考えていた社員たちに衝撃を与えたとのこと。Facebookではエンジニア2人が退職したほか、約400名の社員が仮想ストライキを実施し、役員からも非難の声があがりました。

Facebookのエンジニア2名がソーシャルメディア検閲問題をめぐり退職、マーク・ザッカーバーグCEOが弁明 - GIGAZINE


ザッカーバーグCEOは、トランプ大統領の発言には個人的には嫌悪感を抱くものの「CEOとしては無党派として決断を行わなければいけない」と説明。ナチスの写真を使ったトランプ大統領の政治キャンペーンはポリシー違反として迅速に削除されますが、トランプ大統領の発言全てをFacebookから削除するわけにはいかないと述べました。

Facebookの決断は、全ての政治的発言を等しいものとして扱う、ニューヨーク大学教授が提唱する「The view from nowhere(どこからでもない見方)」を反映したものとのこと。実際にシェリル・サンドバーグCOOは会議の中で「私たちが行おうとしているのは、1つの視点を持たないようにすることです」「大統領の発言に対し、私は確固たる視点を持っていますが、これは個人的な考えです。しかし、ポリシーの変更を判断する時に、この考えを介入させません。私たちは中立的なプラットフォームであり、ルールと原則から決断を行います」と述べています。

また、ジョージ・W・ブッシュ元大統領の政策顧問であり、最高裁判事のブレット・カバナフ氏の友人でもあるジョエル・カプラン氏はFacebookの公共政策担当副社長を務めていますが、このカプラン氏がFacebookが保守派を敵に回す行動を取らないように裏で糸を引いているとも指摘されています。


しかし、従業員から「カプラン氏の力が大きすぎるのでは」と質問を受けたザッカーバーグCEOは、この疑惑を否定。ザッカーバーグCEOは「彼が共和党であり、平均的な社員よりも保守的な考えを持っていることから、彼の役割に疑問を呈する質問を山ほど目にしてきました。これらの質問は非常に面倒だと言わざるをえません」とカプラン氏の資質を批判する声を一蹴。

その上で「少し会社の外に目を向けて話をすると、Facebookは社員平均よりも少しイデオロギー的に保守的なコミュニティです。『少し』は控えめな表現です。もし人々によい仕事を提供したいのならば、さまざまな物事について、異なる視点を持つ必要があります。仮に誰かがその物の見方に反対しても、それは悪意があるわけではありません」とザッカーバーグCEOは述べ、「自分の考えに厳格で道義に基づいた人物」であるというカプラン氏の存在がFacebookにとって重要だという意思を示しました。

Facebookの姿勢に反感を持った1000社以上の広告主がボイコットしても、ザッカーバーグCEOは「ごく一部の収益、あるはごく一部の収益に対する脅威のために、ポリシーやアプローチを変更することはありません」「私たちの考えが正しく、コミュニティのためになるということが、時間の経過とともに分かると思います」と考えを述べました。その上で、「広告をボイコットしたブランドはすぐにFacebookに戻ってくると思います」とも発言したとのこと

またFacebookは7月に、人権・公民権の専門家が2年にわたって調査した公民権監査レポートで「Facebookはひどい前例を作り出した」と評価されました。

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Facebookが公民権問題で十分な行動を起こしていないという指摘について、サンドバーグCOOは以下のように回答しています。

「私たちはさまざまな活動においてその功績を認められていません。でも例えば、MeToo運動やブラック・ライヴズ・マターの活動、ウィメンズ・マーチで声をあげた勇敢な人々は、ツールを必要としていました」と述べ、「ツールとしてのFacebook」が存在したからこそ、この活動は実現したと主張し、これがFacebookの功績だとしました。そして、広告主のボイコットや公民権問題を解決する中で、最も重要なのは、適切な人材を雇って会社を成長させることだと主張。しかし、質問を行った従業員は、サンドバーグCOOの回答に満足していなかったとThe Vergeは伝えています。

さらに、ザッカーバーグCEOは問題解決が迅速に行われていない理由が「大統領との仲が親しくなりすぎているからではないか」と質問を受けました。

これに対しザッカーバーグCEOは「数多くの問題で大統領に反対するという点で、おそらく私はこの国で最も率直なCEOだったと思います」と考えを否定し、移民や気候変動について、トランプ大統領とは異なる考え方を示してきたことを強調しました。

加えて、FacebookはAmazon・Google・Appleと共に独占禁止法違反で調査の対象となっており、7月30日にザッカーバーグCEOは公聴会で発言を行いました。FacebookはInstagramの買収について、独占禁止法違反の疑いが持たれましたが、それ以外には追究はありませんでした。公聴会では主にGoogleとAmazonが、多くの質問で追究されました。

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その上、数々の問題を抱えながらも、Facebookは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行の中で製品使用率を14%上昇させ、第2四半期の収益を前年比で11%増加させました。

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ザッカーバーグCEOのビジネスの手腕は、従業員の会社への強い愛着にも見てとれます。ミーティングの最中に従業員が「ビデオ通話ではいつもザッカーバーグCEOの顔色がすごくよく見えますが、どんなスキンケアをしていますか?」と質問した際には、ザッカーバーグCEOは「ライティングと運動、あとは日焼け止めも重要」と述べ、「チームのメンバーに迷惑をかけることになっても休暇を取るように」と推奨しました。

その後、ザッカーバーグCEOはハワイで休暇を過ごしている様子が撮影されましたが、その顔が日焼け止めで真っ白になっていたことも話題となりました。


インターネットでは、この画像がミーム化。


ハワイでの写真が出回った後に、ザッカーバーグCEOはビデオミーティングで「私は何をやっていてもクールに見えないんです。ハワイで電動サーフィンをして、素晴らしい気持ちになっても、オンラインに戻るとあなたが見たような写真が出回っています。それを見て『まあいいか』『確かにちょっと塗りすぎたけど』と思うだけです」「日焼け止めを塗りすぎたことについては、謝罪しません」と語りました。

Facebookは収益を増加させていますが、それでもまだ数多くの問題を抱えている状態です。8月23日に黒人男性のジェイコブ・ブレークさんが警察に背後から7回撃たれて重傷を負う事件が起こりました。

CNN.co.jp : 警官の黒人男性銃撃、当局が初めて経緯説明 まだ不明点多く 米ウィスコンシン州 - (1/2)
https://www.cnn.co.jp/usa/35158816.html


事件の起こったケノーシャでは抗議デモが続き、抗議者3人が自称民兵の17歳に撃たれ2人が死亡しましたが、事件の前にはFacebook上にメンバーのことを「ケノーシャ・ガード」と呼ぶグループによって、武力行使が呼びかけられていたことが判明しています。Facebookは2人を射殺した人物がグループをフォローしていたことを否定していますが、調査でFacebookのモデレーターが「グループがポリシーに違反している」という通報を却下していたことも判明しています。

その後、ザッカーバーグCEOは、モデレーションを委託する外部企業で「運営上のミス」が発生し、グループやイベントへの呼びかけが削除されなかったことを説明しました。

Facebookが暴力事件においてこのような役割を担う危険性は強く懸念されています。2020年の大統領選についても、ザッカーバーグCEOは「人々が表に出て暴力的になったり、少なくとも何らかの暴力が起こる潜在的な可能性がある」と述べています。

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in ネットサービス, Posted by logq_fa

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