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FacebookのInstagram買収は「競争相手の無力化」が目的だったことを示す文書が暴露される

by Alessio Jacona

2020年7月29日にアメリカ下院司法委員会の反トラスト小委員会が開いた公聴会で、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOと幹部がメールでやりとりした内容が公開されました。その資料から、ザッカーバーグCEOがInstagramの買収を決意したのは、「Instagramを潜在的な競争相手とみなしたため」だということが浮かび上がっています。

‘Instagram can hurt us’: Mark Zuckerberg emails outline plan to neutralize competitors - The Verge
https://www.theverge.com/2020/7/29/21345723/facebook-instagram-documents-emails-mark-zuckerberg-kevin-systrom-hearing

Zuckerberg Testimony: Facebook Instagram Deal to Quash Competitor - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-07-29/documents-show-facebook-bought-instagram-to-quash-competitor

2010年にスタートした写真共有SNS「Instagram」は、アプリのリリースから1年もたたないうちに1000万人のユーザーを獲得を獲得し、ユーザー数はその後半年でさらに3000万人にまで膨れあがりました。そして、2012年4月に10億ドル(約1050億円)というスタートアップとしては巨額の買収により、Facebookの傘下に収められることになります。


かねてから、大手IT企業による独占法違反について調査していた反トラスト小委員会は、7月29日の公聴会にGAFAを構成するGoogle・Apple・Facebook・Amazonの各CEOを召喚して、証言を求めました。その中で反トラスト小委員会は、ビデオ会議形式で公聴会に出席したザッカーバーグCEOに対し、「複数のやりとりの記録や文書によりFacebook、もといザッカーバーグCEOが競争を避けるためにInstagramを買収したことが示されています」と指摘。証拠として以下の複数資料を提示しました。

以下は、ザッカーバーグCEOが2012年に、当時の最高財務責任者(CFO)であるデビッド・エバースマン氏に送信したメールの文面です。その中でザッカーバーグCEOは、InstagramやPathなどのSNSが急成長を遂げつつあることを念頭に、「彼らのビジネスはまだ始まったばかりですが、ネットワークは確立されており、ブランドは既に押しも押されもしないものとなっています。彼らが大企業に成長した場合、私たちに破壊的な影響を与える可能性があります」と指摘。Instagramなどのサービスの買収計画を明かしました。


これに対し、エバースマン氏は「私の経験上、ほとんどのM&A買収案件は買収者が期待するような価値を生み出すことができていません」と難色を示しつつ、買収する理由として「潜在的な競争相手の無力化」「才能ある人材の獲得」「サービス統合によるFacebookのサービスの充実化」「その他」の4つを例示して、ザッカーバーグCEOの真意をただしました。


エバースマン氏の質問に対し、ザッカーバーグCEOは「潜在的な競争相手の無力化」と「サービスの統合」が理由だと回答。「基本的な計画は、これらの企業を買収して、そのサービスを存続させつつ、時間をかけて彼らが発明したソーシャル・ダイナミクスを我々のコア事業に組み込んでいくというものです」と述べました。


上記のメールを送ってから約1時間後に、ザッカーバーグCEOは「先ほどのメールは、彼らが我々と競争するのを妨げるために買収するつもりだという意味ではありません」と弁明するようなメールをエバースマン氏に送っています。


このやりとりについて、ジェロルド・ナドラー司法委員長は、「FacebookはInstagramをビジネスの障害になる可能性がある脅威とみなしていました。そして、FacebookはInstagramと競うのではなく、Instagramを買収することを選びました。これはまさしく反競争的な買収の好例であり、独占禁止法はこれを防ぐために制定されたものといえます」と述べて、Facebookを非難しました。

ナドラー氏の質疑に対しザッカーバーグCEOは、「Instagramの他にも、当時はPathやVSCO CamPicPlzのような企業が競争相手でした」「彼らが我が社の一員となったことで、彼らはモバイル写真共有の分野における競争相手から、私たちの成長を助け、より多くの人に使えるアプリへと変身しました」と答弁しました。

競争を妨げるために買収したことを明確に否定しなかったザッカーバーグCEOの答弁について、経済紙Bloombergは「証拠文書は、ザッカーバーグCEOにほとんど選択の余地を与えませんでした」と評しています。

一方、ザッカーバーグCEOは答弁の中で、「Facebookは多くの分野で競合他社に遅れを取っています。アメリカで最も人気のあるメッセージングサービスはAppleのiMessageですし、最も人気の映像共有サービスはGoogleのYouTubeです。また、急成長しているアプリはTikTokで、急成長している広告プラットフォームはAmazonであり、最大の広告プラットフォームはGoogleです」と述べて、Facebookはこの日の公聴会で喚問されたGAFAの他企業に比べて市場競争の脅威ではないことを強調しました。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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