抗議団体がザッカーバーグCEOの自宅前で「Facebookは地元警察への資金提供を止めろ」と訴えるデモを実施

黒人男性が警察官に拘束されている最中に死亡した事件を受け、アメリカ全土で黒人への不当な扱いに抗議する活動が巻き起こっており、トランプ大統領の武力行使を示唆する投稿を削除しなかったFacebookも大きな非難にさらされています。そんな中、Facebook本社近くの街に住む人々で構成された抗議団体が、「Facebookは地元警察への資金提供を止めろ」と要求するデモをマーク・ザッカーバーグCEOの自宅前で実施したと報じられています。

BLM Protesters Demand Facebook Stop Funding Local Police
https://onezero.medium.com/blm-protestors-demand-facebook-defunds-its-police-program-fe6a0c6be917

2020年6月7日(日)の午後、シリコンバレーが位置するサンフランシスコ・ベイエリアに住む数百人の人々からなる抗議団体が、Facebook本社があるメンローパークの街を行進しました。抗議者らはメンローパークからパロアルトにあるザッカーバーグCEOの自宅まで向かい、家の前で抗議活動を行ったとのこと。

芸術家集団・Tha Hood Squadによって支援された抗議団体がFacebookに要求したのは、「Facebookは地元の法執行機関に資金を提供するのを止めろ」というものでした。The Hood SquadのメンバーであるJT Faraji氏は、「私たちは15分間にわたって彼の家の前で立ち止まり、私たちの主張を読み上げました」と述べています。

Facebookは2017年9月に、本社があるメンローパークの一般財源に対して1120万ドル(約12億円)規模の寄付を行うことを発表しました。メンローパークはこの資金の使い道について明確にしていませんが、この資金のうちいくらかは、メンローパークにあるFacebook本社の周辺を警備する「Facebookユニット」という警察の特別ユニットに投入されているそうです。Facebookによる警察への資金提供は、「Facebookによる開発でメンローパークの人口が増加しても、警察が以前と同等の警備体制を敷くことを可能にするため」と説明されています。

しかし、Facebookによる警察への資金提供については、メンローパーク周辺に住む有色人種の人々から多くの反対があったとのこと。メンローパークに隣接するイーストパロアルトという街の住人を中心とする抗議団体は、Facebookに対して地元警察への資金提供をストップするように要求しているだけでなく、地元住人に対してもFacebookが主催するフェスティバルやファーマーズマーケットへの参加・出店を取り止めるように要請しています。

IT産業が急成長を遂げる中でメンローパークやパロアルトには多くのテクノロジー企業が集まっており、アメリカでも有数の富裕層やエリートビジネスマンが多く住む都市となりました。一方、メンローパークやパロアルトに囲まれる形で存在するイーストパロアルトは、かつてアメリカでもワーストクラスの治安が悪い都市として知られており、依然として貧しい黒人やラテン系の人々が多く住んでいるとのこと。イーストパロアルトの貧困は2000年以降も着実に悪化しており、都市にとって重大な懸念となっているそうです。

イーストパロアルトの貧困に拍車をかけているのが、近隣の都市が裕福になったことによる家賃の上昇です。元々イーストパロアルトに住んでいた人の中には、高くなった家賃を払えずに転居を余儀なくされたり、ホームレスになってしまったりする人もいるとのことですが、原因となったテクノロジー企業がイーストパロアルトの貧困層を雇う流れにはなっていません。そんな中でFacebookが地元警察に資金提供を行ってつながりを深める動きに対し、The Hood Squadなどの抗議団体は懸念を強めており、今回の抗議活動が実施されたとのこと。

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Facebookが警察に資金提供を行って特別なユニットを組織させているという指摘について、Facebookの広報担当者は「過去数年間にわたって私たちは市の一般財源に寄付を行い、自転車と歩行者の安全性や緊急時対応の質を改善させてきました。メンローパークにおいて私たちが成長したことによる追加のセキュリティ費用は、地元の納税者ではなく私たちが負担しました。これらの資金は市議会の裁量で割り当てられています」と述べ、Facebookが直接的に「Facebookユニット」の設立に関わったわけではないと主張しました。