取材

ハースストーン新シーズン「ドラゴン年」に関する怒涛の発表が行われた「Hearthstone Summit 2019」まとめ&開発者にいろいろ聞いてみた


Blizzard Entertainmentがおひざ元のアメリカ・アーバインで「Hearthstone Summit 2019」(HSS2019)を開催し、新拡張を含む「ハースストーン」の最新情報を発表しました。HSS2019に参加して、新しく始まる「ドラゴン年」や新機能など怒涛のように続いていくハースストーンの新要素を確認しつつ、開発者に新拡張についていろいろ聞いてみました。

燃えよ!ドラゴン年 - ハースストーン
https://playhearthstone.com/ja-jp/blog/22912682

会場はBlizzard Entertainment本社からほど近い場所にある「Hotel Irvine」


欧米や日本のメディアを招いて行われた発表会は撮影が一切禁止。30分強のプレゼンテーションでは、かなり先の新機能や新コンテンツを含む盛りだくさんの内容が発表されました。


ということで、記事掲載時点で情報解禁されているハースストーン新拡張の内容は以下の通り。

◆ドラゴン年
ハースストーンでは「World of Warcraft(WoW)」の世界に登場する星座時計から選ばれた新シーズンが4月から始まりますが、2018年の「ワタリガラス年」に続くのは「ドラゴン年」となりました。

炉辺談話: ドラゴン年へようこそ! - YouTube


ドラゴン年とは「変革の年」だとのこと。


ドラゴン年では3つの拡張版によって「1年を通して1つのストーリーを描く」という初の試みが行われます。ストーリーを重視してきたハースストーンですが、通年で1つのストーリーを描くことで、プレイヤーに「より濃密なストーリー」を届けるとのこと。


「ダンジョン攻略」ファンのために無料の「シングルプレイモード」が追加されます。全5章からなり第1章は無料。はじめはメイジでプレイでき、8マッチに勝利すれば2人のヒーローがアンロックされる仕組み。第2章以降は700Gで購入でき、全章を2400円でアンロックすることもできます。


Blizzardによると過去最大規模のコンテンツを追加したとのこと。発表会場では実際にシングルプレイモードを体験プレイできましたが内容についてはまだ秘密。メディアからの感想や意見などの反応をフィードバックとしてゲームに反映させるべく、先行公開したそうです。

◆殿堂入り


毎年恒例の「栄誉の殿堂」入りにより、「自然への回帰」「ドゥームガード」「神聖なる恩寵」が使用不能になりました。


さらに、通常のローテーションである「2年」を待つことなく、「月を食らうものバク」「ゲン・グレイメイン」の2カードが殿堂入りすることが発表され、会場では歓迎の拍手も起こっていました。


◆新機能
・デッキ自動作成ツール
新しく手持ちのカードプールからデッキを自動で構成してくれる「デッキ自動作成ツール」が登場します。これは手持ちのカードとそのカードのシナジーを自動的に判断してデッキを完成させてくれるもので、カードプールがどれだけ大きくても対応可能だとのこと。

・カード裏面デザインのランダマイザー
カード裏のデザインをランダムでピックしてくれる機能「ランダマイザー」が追加されます。マッチのたびにランダムで自分の手持ちのカード裏からデザインを1つ選んでくれます。


今回紹介したのはドラゴン年のアップデートの半分にも満たない一部です。発表会では新機能やストーリー、新キャラクターなどかなり先のロードマップまで披露され会場を沸かせていました。Blizzardは今後も新情報を随時公開していく予定なので、ハースストーンファンは要チェックです。

◆開発者インタビュー
発表会でプレゼンターを務めた二人のハースストーン開発者にインタビューを行いました。


Q:
まずは自己紹介を。

ベン・トンプソン(以下、「ベン」と表記):
ベン・トンプソンです。「ハースストーン」ではリードアーティスト、アートディレクターを経て、現在はクリエイティブディレクターを務めており、もうすぐ10年になります。


マイク・ドネイ(以下、「マイク」と表記):
リードゲームデザイナーのマイク・ドネイです。ハースストーンの最初期のデザイナーの1人です。当時は私とベン・ブロードしかいなかったチームですが、いまでは20名を超えるデザインチームに成長しました。ハースストーンを開発する前は、「World of Warcraft(WoW)」や「Magic:The Gathering」などの(リアルな)カードゲームの開発をしていました。


(注:ハースストーンはWoWの世界から派生したゲームだが、ハースストーン開発者はWoWに限らず幅広いジャンルやゲーム開発の出身者で構成されているとのこと)

Q:
HSS2019で発表されたものを含めて、ここ1年で多くのカードが殿堂入りしている。従来は殿堂入りまで2年の経過を待っていたが、今回それを早めた。どういう判断の下に変更されたのか、殿堂入りカードをどうやって選んだのか?

マイク:
確かにクラシックと違い拡張版のカードは2年で殿堂入りという取り扱いをしてきており、2年よりも早く殿堂入りさせたのは今回が初めてです。その理由は、ゲームを「本当に楽しいものにするため」です。中でも「バク(月を食らうものバク)」と「ゲン(ゲン・グレイメイン)」はメタに大きなインパクトを与えていました。多くのユーザーがゲンとバクを使った偶数・奇数のデッキでプレイしていましたが、ゲームを新鮮に保ち楽しく進化させるため、殿堂入りを決めました。ただし、これはあくまで特別な措置で、この運用が今後も続くというわけではありません。ケースバイケースで検討していきます。


Q:
殿堂入りを発表した際、欧米の記者から拍手が起こった。これは「ゲンとバクの殿堂入り」へのリアクションだった?

マイク:
恐らくそうだったでしょうね。「ゲンとバクはもうたくさん」というプレイヤーも多く、新拡張版では「変化」が求められていました。ドラゴン年では本当に楽しくなるはずです。

Q:
今回は「特別な対応」とのこと。なぜ今回は特別なのか?

ベン:
バクとゲンについていえば、想定通りでした。メタの扱いを大きく変え、「奇数」「偶数」「どちらでもない」の3つのタイプを作り出し、メタの扱いを大きく変えました。しかし、これからの1年でやりたいデザインは、奇数・偶数を意識しながらではできないという面もあります。そういう今回のケースに関していえば、予定よりも早めに殿堂入りさせることで、開発チームはより自由にセットを作ることができます。2019年のストーリーやメカニクスを考えた上での判断です。

プレイヤーがカードを信頼でき、今後の可能性に沿うような開発を常に目指しています。それは過去を前提にしつつ、将来に登場するものを想定しながらの開発です。もちろんコミュニティの声を聞いています。ケースバイケースで、何がプレイヤーにとってベストな選択なのかを考えています。


Q:
バクとゲンのような強力なカードから学んだことは?また、今後も同じようなカードが登場することはあるか?

マイク:
あるカードは他のカードとは違いユニークである、という価値を残したいと思っています。それこそがハースストーンの、カードゲームの魅力だと思います。同時に、ゲームの最初から最後まで影響を及ぼすエフェクトは、強力すぎて楽しみを損なうということもあり得ます。大切なのは全体的なバランスです。質問の回答としては、同じようなカードはまた出てくると思います。いくつかのカードはレアであるがゆえ、常に新たな教訓を与えてくれます。メタをフレッシュに保ち続けることが大切です。

Q:
奇数・偶数が強いのは初期の段階からわかっていた。それを弱体化させるためにナーフしたり除外してきたカードもあったが、ゲンとバクの退出により、それらのカードが元に戻ることもあり得るのか?

マイク:
最近のバランス変更は、ゲンとバクの殿堂入りを想定した上でのものでした。例えば、2マナの「平等」は、「熱狂する火術師」や、「聖別」とのコンボが特に強いですよね。今後のバランスをみながら変更したものであり、「平等」や「炎の舌のトーテム」を元に戻す予定はありません。

Q:
ドラゴン年ではバクとゲンがいなくなり、これまで使われていたデッキの多くがスタンダードから消える。4月以降のデッキのバリエーションやプレイヤーの遊び方などにどのような影響が出るか?

マイク:
変化は大きなものになるでしょう。3つの拡張版分のカードがなくなるのです。「デスナイト」「コボルドと秘宝の迷宮」などゲンとバクとともにゲームで最も強い部類のカードがなくなるのですから。HSS2019で発表したとおり「ドゥームガード」と「自然への回帰」もなくなります。私は「これまでの3つの拡張版で使われてこなかったカードがこれからは使われるようになるのではないか」と考えています。新拡張版のカードもスポットライトを浴びることになるでしょう。カード全体が刷新されるということで、新拡張版の登場ではいつもワクワクさせられます。


Q:
今回の3枚を含めてクラシックのプールがどんどん弱体化しているように感じる。この傾向が続けば、ブランクのあるプレイヤーが復帰した場合に見覚えのあるクラシックカードがなく不利になったり、クラスのアイデンティティの喪失感などを覚えないか?

マイク:
復帰プレイヤーのためにクラシックカードが存在し続けることを保証するのは大切だと考えています。今ではクラシックカードがデッキに占める割合が40%から45%になっています。そのため、新拡張によるスリルや変革の度合いが小さいともいえます。その状況をほんの少し変えたいとは思っています。クラシックカードが20%台で良いカードがたくさんあるような状態を維持したいですが、もしもそれが少なすぎるようならば戻すなど調整したいと思います。

クラスのアイデンティティについてですが、ドルイドに適用した変更がそのわかりやすい例です。マナを付けたまま「野生の繁茂」をクラシックに残したのは、ドルイドらしさを教えてくれるカードだからです。メイジの「マナ・ワーム」もメイジは呪文を使う、と教えるカードで同じことです。そして、「自然への回帰」は「マナを作るのが好き」というドルイドのアイデンティティとは少しずれています。ドルイドはミニオンを除去するクラスではありません。そこで「自然への回帰」を殿堂入りにすることで、ドルイドのアイデンティティをより明確にしたいという狙いがありました。メイジのアイデンティティは変わりませんが、パワーレベルがちょっと違う。結果として、数年前と同じ24枚のドルイドカードでずっとプレイしているというようなことにならないようにすることが大切です。

Q:
今回3枚のカードがなくなると大きな穴ができてしまうが、今後、新しいクラシックカードを導入するか?

マイク:
バランスは保っています。「ドゥームガード」は「捨てる」というテーマを持つ悪魔なので、新しい悪魔と「捨てる」メカニクスを導入しました。今後の拡張版にも登場します。ただ、クラシックカードの数はクラスごとに同じになるように、調整します。

Q:
今後は3クラスに1枚ずつの新しいクラシックカードが出るということか?

ベン:
そうです。

Q:
HSS2019で発表された「デッキ自動完成ツール」について。日々、変わり続けるメタに対応するため「新しい技術で更新をし続ける」という発表があったが、もう少し詳しい仕組みを教えてほしい。

マイク:
実はこのツールは以前から内部では使っていたもので、かなり強力です。メタのデータは毎日更新されます。メタを安定的にするために、中でもランキング5位以内という上位ランクのハイスキルプレイヤーたちのデータをベースにしています。問題は、拡張版がリリースされて2、3日の間ですね。この間はデータを集める時期であり、不安定になります。最初は手探りでユニークなデッキが多く使われますからね。新拡張のリリース1カ月前にはツール機能は実装され、リリースからしばらくの間は少ないデータでやりくりします。時間が経てば、ツールはより効果的になるはずです。内部テストでは全体的に良好な成果を上げています。心強い存在になると思います。


Q:
新拡張の発表前にパッチで実装され、リリース時には安定すると。

マイク:
あくまでその時点のメタでは、です。新拡張リリース後、2、3日の間は、判断に迷うこともあり得ます。

ベン:
発表にあった通り、カード裏面デザインのランダマイザーもデッキ自動完成ツールと同じタイミングでリリースされますよ。

Q:
ドラゴン年のテーマについて発表では「変革」と「原点回帰」という一見、相反するコンセプトに触れていた。その折り合いはどうつけているか?


ベン:
「原点回帰」とは、ハースストーンのストーリーラインを強化するために、前の拡張版にスポットライトをあてる、昔のキャラクター、メカニクスに再び焦点をあてることで、どこか「懐かしさ」を呼び起こしユーザーの思い入れに応えたいということです。これはキーワードをやみくもに増やすということではなく、昔の親しみあるものを呼び起こすということです。新拡張版では間違いなく新しいメカニクスが導入されますが、それらは以前のキャラクターと合わさることで導入しやすくなり、楽しくなるようなものを考えています。


Q:
ワタリガラス年を振り返った感想は?


ベン:
まず、ストーリーが豊富で良かったと思います。「ウィッチウッド」であれば気味悪さがあり、「メカメカ大作戦」では爆発するテーマなど個人的なお気に入りで、「天下一ヴドゥ祭」ではトロールの世界を紹介できたりと、それぞれが印象的で面白かったというのが感想です。ワタリガラス年を通して学んだいろいろなことは、2019年のドラゴン年に活かされています。たとえばダンジョン攻略など昔あった要素をまとめて新しいものにすることで、ヒーローやデッキを作ることができたので、ワタリガラス年は「学びの場」だったんじゃないかと思います。

Q:
Heroes of the Stormの公式大会が去年で打ち切りという突然の発表があったり、ActivisionとBlizzard Entertainmentのレイオフというニュースに不安を覚えるファンがいる。来年にハースストーンに同じことが起こりえるか?お二人がそれを決める立場にないのは承知の上で、ハースストーンのファンを安心させるようなメッセージがあれば。

ベン:
コミュニティの立場から不安を感じるのは理解できます。しかし、Heroes of the Stormとハースストーンはゲーム性も違えば開発チームも違います。今年、ハースストーンの競技シーンにまったく新しい構成を採用したことは、ハースストーンの未来が明るいと信じてもらえるよい根拠になるのではないかと思います。チャンピオンシップが近くなるにつれて、いろいろな情報が発表されます。今回導入しているフォーマットはプレイヤーにとっても観客にとってもベストなものだと考えています。私たちの決断は、すべてゲームと競技の場面を楽しくするものだけにあると自信を持っています。

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