インタビュー

「日本開発チームには自由にガンガンやってもらいたい」、ハースストーンの開発者に新拡張「天下一ヴドゥ祭」について聞いてみました


Blizzard主催のゲームイベント「BlizzCon 2018」でハースストーンの新拡張「天下一ヴドゥ祭」が発表されました。BlizzCon 2018開催中に、ハースストーン開発者に「天下一ヴドゥ祭」やハースストーンの魅力について聞いてみました。

天下一ヴドゥ祭 - ハースストーン
https://playhearthstone.com/ja-jp/expansions-adventures/rastakhans-rumble/

インタビューに応じてくれたデイブ・コサック氏(左)とティム・アースキン氏(右)


GIGAZINE(以下、「G」と表記):
お二人の簡単な自己紹介をお願いします。

デイブ・コサック(以下、「デイブ」と表記):
ハースストーンのリード・ミッションデザイナーのデイブ・コサックです。主にシングルプレイヤーモードのチュートリアルを担当しています。

ティム・アースキン(以下、「ティム」と表記):
ハースストーンのシニアプロデューサーを務めるティム・アースキンです。各チームのスケジューリングなども担当しています。

デイブ:
ティムが他のチームがやることをやっているかをチェックするお目付け役なのですよ(笑)

G:
お二人ともゲーマーだと思いますが、カードゲームとしてのハースストーンの良さはどこにあると考えていますか?

デイブ:
一般的なカードゲームのコアなファンでなくても楽しめるところですね。ルールが分かりやすくプレイしやすく、カードゲーム初心者でもとっつきやすいところがハースストーンのいいところかなと思います。

ティム:
私は子どものころからカードゲームが好きで、とてもよく楽しんできました。昔はアメリカ中を転戦してトーナメントに出るくらいカードゲームの勝負に熱中していましたよ(笑) ご存知の通り、ハースストーンもプレイヤー同士が互いに勝敗を競いあえるコンペティティブなカードゲームなのですが、それだけでなくとてもチャーミングで楽しく、映像が美しくサウンドも凝っているし、素晴らしいカードゲーム体験ができるところが大好きです。


G:
ティムさん、日本語お上手ですよね?

ティム:
全然(笑) 少しはわかりますけれど。ペラペラじゃありません(注:ペラペラです)

G:
ティムさんはローカライゼーションを担当されていて、ハースストーン日本版のローカライズも担当されたそうですね。

ティム:
はい。日本語のローカライゼーションには最初から最後まで携わりました。

G:
日本のローカライゼーションで何か難しかったことはありますか?日本独特の事情はありましたか?

ティム:
日本のローカライゼーションで最も難しかったことはボイスアクティングです。日本のゲーマーは音声に対する期待が高いので、その期待に応えるクオリティを保つのに苦労しました。日本にはゲームやアニメの優れた文化があり、声優さんはとてもリスペクトされています。それぞれのキャラクターにあった声の人を探してキャストし、ゲームの価値を保つことは大変でした。これは、単に声がキャラクターに合っているというだけではなく、声優さんにゲームの中のキャラクターの個性をうまく演じてもらう、キャラクターを体現してもらうのが難しかったです。

デイブ:
別の側面として、ハースストーンにはジョークやダジャレ、気の利いた言い回しなどユーモアがあふれています。ローカライゼーションにおいては、ジョークなどを含めて現地のチームの感性に委ねているのです。その国の文化などを最もよく知るのは彼らですからね。例えば、今回の新拡張「Rastakhan’s Rumble」は、日本語ではなんというんでしたっけ?

G:
天下一ヴドゥ祭」ですね。

デイブ:
ええ、それはとても面白い名前ですよね!日本のファンにはその意味がよくわかるはずです。ドラゴンボールへのオマージュです。その国にとってのユーモラスな表現は、私たちにとっても楽しいものなのです。


G:
日本のマンガの話題が出たところで、デイブさんは「らんま1/2」や「犬夜叉」の高橋留美子さんがお好きだそうですね。

デイブ:
ええ!大ファンです。

G:
高橋作品のどこに魅力をお感じですか?

デイブ:
喜びや楽しさを本当にうまく表現していると思います。アクションだけでなくテーマとしてシリアスなものを扱いつつも、ハートがこもっているところが大好きです。ハースストーンの世界観も同じなのですよ。私たちがハースストーンでやろうとしているのは同じようなことです。天下一ヴドゥ祭でも大きなキャラが大ケンカするというテーマではありますが、シリアスさとコミカルさがマッチするところが好きな部分です。


G:
雑談が多くなりましたが、本テーマである新拡張「天下一ヴドゥ祭」について教えてください。天下一ヴドゥ祭の世界観についてもう少し詳しくお聞かせください。

デイブ:
「Rastakhan’s Rumble(天下一ヴドゥ祭)」は、World of Warcraftの世界でいうアゼロスからトロルが集まってきて、自分たちが信仰する「ロア」というスピリッツの中でどれが一番強いのか?を決めるために闘うイベントです。天下一ヴドゥ祭を開催するのがラスタカン王なので「Rastakhan’s Rumble(ラスタカン王のケンカ大会)」です。ラスタカン王が見守る中、9つのチームに分かれて闘います。「9つ」というのは、たまたまハースストーンのクラスに対応していますね。各チームにはチャンピオン(レジェンド戦士)がいて、ロアも加わりつつ、誰が一番強いのかを競うというド派手なイベントです。


G:
ラスタカン王やチャンピオンはイメージしやすいのですが、「ロア」という概念について、もう少し詳しく教えてください。

デイブ:
トロルの世界では、信仰の対象となるスピリッツ(原始の神々)が「ロア」と呼ばれています。ロアはスピリッツですが、形になることもあり、多くの場合、動物として現れます。それぞれのロアはそれぞれ異なるものを表現しています。例えば、ウォリアーのクラスであれば力の象徴として「サイ」になったり、プリーストでは死を象徴する「死神」などそれぞれのチームの信仰の対象となっています。このコンセプトを考えるのは開発陣としては楽しいものでした。

G:
たくさんの神様ということで日本の「八百万の神」というような存在ですね?日本人としては親しみやすいかも……。

デイブ:
ええ、そうですね。

G:
「喧嘩祭」とは?

デイブ:
今回のシングルプレイヤーモードは「喧嘩祭」と呼ばれていて、若い駆け出しのトロルになってトーナメントを勝ち進んでいくような仕組みになっています。最初はどのロアにするのかを選び、他のトロルのチームと闘っていき、勝つたびにカードがデッキに入りさらに強くなります。

G:
すでにいくつかカードが発表されていますが、中でもイチオシのカードはどれでしょう?気に入っている部分も含めて教えてください。

ティム:
私は「大砲連射」ですね。


ティム:
これは6マナで3ダメージをランダムに与えるのですが、海賊がいた場合、もう一度使うことができます。海賊がずらりと並んでいると、大砲がどんどん撃ち出されとても賑やかです。「いくぞー!」(日本語)という感じです。


G:
(笑)

デイブ:
私のお気に入りは「スルスラズ」というカードです。新しいメカニクスである「血祭」というオーバーキルを採用するものです。


デイブ:
血祭というのはミニオンの体力以上のダメージを与えたときに発動するエフェクトで、スルスラズを他のカードとうまく組み合わせれば何度も攻撃できます。この連続攻撃は天下一ヴドゥ祭のテーマに合っていて、見ている人も楽しませてくれます。群衆が盛り上がるようなプレイができるので、個人的にはすごく気に入っています。


G:
「血祭」や「喧嘩祭」など、物騒な用語が採用されていますね。ハースストーンのコミカルさとのミスマッチが面白いと思いますが、これは意図的なものですか?

ティム:
名前に関しては日本のローカライズによるところもあるかとは思いますが、先ほど言った通り日本チームには自由に翻訳してもらっています。日本チームが日本のカードゲームの歴史をもっともよく知っていますから。特に「英語のものを直訳しないで」という注文をつけています。元々のWorld of Warcraftはシリアスなゲームですが、そこから派生したハースストーン自体は面白い、楽しいゲームというそれぞれの世界観がありますね。そういうWorld of Warcraftとハースストーンの世界観のギャップなどを前提に、ギャップを意図的に活かしたユニークなネーミングだと思います。

G:
本日は、お忙しい中、ありがとうございました。

ハースストーン
https://playhearthstone.com/ja-jp/

「天下一ヴドゥ祭」トレーラー | ハースストーン - YouTube

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in 取材,   インタビュー,   モバイル,   動画,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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