ボタンを押して放置するだけで極上料理が完成するという真空調理器「Anova Precision Cooker」を使ってみた
「焼く」「蒸す」「煮る」に続く第4の調理法としてフランスで開発されたのが、低温で調理することで加熱に弱い栄養素を壊さず、お肉ならむちゃくちゃ柔らかく仕上がるという真空調理法。そんな真空調理を家庭でも簡単に行えるようにしたのが「Anova Precision Cookers」です。ボタンを押すだけで温度や時間の管理をしてくれ勝手に極上料理を作ってくれるというAnova Precision Cookersを、実際に使ってみました。
Anova Culinary | Sous Vide Immersion Circulators and Precision Cookers by Anova
http://anovaculinary.com/
Anova Precision Cookersは長細い筒状のパッケージで到着。
どれほど長いガジェットなのか?と思って出してみると、以下のように2つのパーツが入っていたのでした。
全長はiPhone 6 Plusと比べるとこのくらい。
本体は自立可能です。
金属部には「MAX」と書かれたラインと……
「MIN」と書かれたラインがあり、Anova Precision Cookersをお鍋に入れたらこのラインの範囲に水を注いでいけばOKです。
天面にはタッチパネル。
そしてタッチパネルの下にはホイールがありました。
もう1つあったパーツは何なのかというと、本体に装着してお鍋に固定するためのものでした。
ということで、プラグをコンセントに挿し、本体をお鍋に入れて……
ラインとラインの間から出ないようにお水の量を調整しつつ注ぎます。
プラグをコンセントに入れたら自動的にスイッチがオンになるので、まずはホイールを使って温度を設定します。温度はセ氏とカ氏で切り替え可能。
スタート/ストップボタンを8秒間長押して……
タイマーアイコンを3秒長押しすると時間設定画面に切り替わります。
調理時間が決まっている場合は再びホイールを回して時間の設定を行えばOK。
最後にスタート/ストップボタンを押せば調理が始まります。
中の水がぐつぐつとゆっくり温まりだし、水面が揺れ始めました。調理中の稼動音はほとんどなく、深夜にマンションの部屋で使っても問題ないほどの静かさです。
Anova Precision Cookersはジップロックなどの食品保存袋に材料を入れてお鍋の中に放置しておけば完成するというお手軽料理を作れるとともに、本格料理の下準備としても使えます。ということでまずはお手軽版から挑戦。レシピはAnovaの料理サイトでも公開されているので、簡単そうなタラとレモンを使った1品を作るため、オリーブオイル・コショウ・コーシャーソルト・レモン1個を用意します。
まずはレモンの皮をむき……
果汁を搾ります。
ジップロックの中にオリーブオイル・レモン果汁・レモンピール・タラの身2切れを入れたら……
ジップロックのチャックをしめ、ストローを使って中の空気を吸い出します。
こんな感じで密閉できればOK。
レシピに従いカ氏132度(セ氏55度)で余熱をしておいたお湯の中に密閉した袋を投入します。ここからダウンロードしたガイドブックによると、大きな具材はお湯から頭が出ることがありますが、問題ないとのこと。
先ほどの手順でカ氏132度・タイマー30分に設定したら、スタートボタンをポチッと押します。
あとはタイマーが鳴るまで放置しておけばOK。火加減の調節など面倒なことは一切不要なので、この間ほかのことをしたり休憩したりすれば失敗することなく勝手に1品が完成するわけで、料理が面倒な人や不得意な人にとって非常に便利です。また、コンロの火を使わないので安全かつ効率のよい調理が可能。
タイマーが鳴ったらジップロックを引き上げます。
あとはお皿に盛りつけて塩・コショウで味を整えれば完成。
見た目は白身魚のムニエルっぽい感じですが、食感はとにかく柔らかくフワフワで、「焼く」「煮る」「ゆでる」のどの調理によるものとも異なります。頭の中が焼き魚や煮魚に慣れていると、まだ生?と一瞬思ってしまうほど柔らかいのですが、生ではなく、これは真空調理ならではとしか言いようがない仕上がり。ムニエルならばパリパリとした食感と身の柔らかさでコントラストがあるのですが、パリっと感は一切ないので「これはこれでおいしいけれど、さっと焼き目をつけたい」という意見もありました。また、袋の中で低温調理するためうまみやエキスが逃げていかず、淡泊で薄味なはずの白身魚なのにかなり魚の風味が強めになりました。食材の質が味にモロに影響するため、いい食材を使えばそれだけの完成度の料理がほぼ放置するだけで完成しそうです。
放置するだけで簡単に1品を完成させたところで、今度は本格料理に挑戦します。各レシピには評価欄があるので、数あるレシピの中でも評価の高い、アメリカの有名シェフMing Tsaiさんによる肉料理のレシピを試してみます。材料はヒレ肉・塩・コショウ・無塩バター・ニンニク・あさつき・ディジョンマスタードなど。
まずはAnova Precision Cookersをカ氏138度(セ氏59度)で余熱します。
ジップロックの中に大量のバターとスライスしたニンニク・コショウを投入。
そこにお肉も入れてしまいます。
バターやニンニクがお肉に対してまんべんなく行き届くようにしたら、密閉してお湯の中へ。このまま30分ほど加熱すれば、肉汁を損なわずにミディアムレアの状態のステーキが焼けるようになります。
30分経過したらお肉をお皿に取り出し、しばらく休ませます。
お肉の断面を見てみると、まだ生っぽい感じ。
そしてこれをさらに仕上げとして焼いていきます。まずはフライパンにキャノーラ油をひき、少し煙が出てくるまで強火で加熱。
煙が出てきたらお肉を投入し、片面を1分、ひっくり返してもう片面を1分以上加熱します。
いったんお肉をお皿にあげて、2~3分休ませます。
肉を焼いたのと同じフライパンに、先ほどジップロックに入っていたニンニクを投入。
弱火で30秒ほど熱したら、ワイン1カップを入れ、アルコールを飛ばします。
アルコールが飛んだら続いてガラスープと……
ディジョンマスタードを投入。
よくかき混ぜて、最初の量のだいたい半分くらいにソースの量が減ったら、仕上げにバターをひとかけら入れてソースは完成。
お肉の上にソースとあさつきを刻んだものを入れれば完成です。
お肉をカットしてみると、中はきれいなピンク色。ステーキ用のヒレ肉を使っているのでもちろんそのまま焼いてもおいしいステーキができあがるはずなのですが、ローストビーフよりもはるかに柔らかくジューシーで、「きわめてレアの状態でありながら火はしっかり通っていて生っぽくなく、しかもうまい」という最高の状態に仕上がっています。ソースもディジョンマスタードの酸味やワインの風味が感じられ、強い肉の味に負けることなく、うまみを十分に生かすものになっていました。とにかく編集部では「むちゃくちゃうまい」という感想以外はあがらず、コースに組み込まれたら1万・2万になってもおかしくない、という意見も。
レシピの中にはデザートやカクテルなどもあったので、最後はデザートにポーチドアップルを作ってみます。リンゴ・シナモンスティック・クローブ・バニラビーンズ・レモン・砂糖・アップルサイダーなどを用意。
まずはリンゴの皮をむき、レモンの皮をむいて果汁を搾ります。
ジップロックにまるごとのリンゴとレモン果汁・レモンピール・砂糖・シナモンスティック・クローブ・バニラビーンズなどを入れたら……
最後に袋の中をアップルサイダーで満たして密閉します。
あとはカ氏175度(セ氏80度)で1時間温めればOK。
1時間後、ジップロックを鍋から取り出し、フライパンの中にジュースを入れます。
水分を飛ばしてキャラメル作り。
こんな感じになればOK。
取り出したリンゴは半分にカットして……
ヘタをとります。
このまま食べてみると、バニラビーンズとクローブ、シナモンの甘い香りがしっかりついており、わずかにアップルサイダーのぴりっとした刺激も感じます。箸でもさくっと切れるくらいの柔らかさで、生とコンポートの間ぐらいの食感です。
レモン果汁が入ることで酸味の強い仕上がりになっているので、温かい状態のリンゴにバニラアイスと先ほど作ったキャラメルをかけて食べてみます。
ほろにがいキャラメルとバニラアイスの甘さ、りんごの酸味がバランスがよく、おしゃれなデザートという感じでした。どう考えても手間隙かけている味なのにほとんど何もしていないというから驚きです。
また、調理後のお鍋もAnova Precision Cookersも汚れてないので、お湯やジップロックを捨てるだけで後片付けが楽チンだというのもいいところ。
なお、Anova Precision Cookersは179ドル(約2万円)で、日本への発送が必要な場合、送料が別途69.99ドル(約8200円)必要です。
Anova Culinary | Anova Precision Cooker
http://anovaculinary.com/products/anova-precision-cooker
・つづき
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in レビュー, ハードウェア, 食, Posted by darkhorse_log
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