レビュー

レストラン級の料理がボタンを押して放置するだけで完成する真空調理器「Anova Precision Cooker」がアプリと連動したので牛フィレ肉のカルパッチョなどを作ってみた


フォアグラなどを作る時に使われる、「焼く・蒸す・煮る」に次ぐ第4の調理法が真空調理法です。真空調理を可能にする調理器は高価なものが多く、家庭には導入しにくかったのですが、クラウドファンディングで出資を募って見事製品化したのが自宅で簡単に真空調理を可能にするデバイス「Anova Precision Cooker」。1月にレビューした時は手動で操作する必要があったのですが、ついにアプリに対応し、アプリのボタンを押して放置するだけで料理が完成するようになったので、実際にアプリに登録されているレシピを使って牛フィレ肉のカルパッチョなどを作ってみました。

Anova Culinary | Sous Vide Immersion Circulators and Precision Cookers by Anova
http://anovaculinary.com/

これが「Anova Precision Cooker」。本体は細長く、本体を鍋に固定するためのクリップが付属しています。


Anova Precision Cookerの外観の詳細や基本的な使い方は以下の記事から確認可能です。

ボタンを押して放置するだけで極上料理が完成するという真空調理器「Anova Precision Cooker」を使ってみた - GIGAZINE



使用時は、まずクリップを本体に取り付けます。


お鍋の中に水を入れて……


プラグとコンセントを接続して、Anova Precision Cookerを設置します。


クリップはこんな感じで取り付ければOKです。


前回はまだアプリに対応しておらず、手動で操作する必要がありましたが、ついにアプリからの操作が可能になったので、まずはGoogle PlayもしくはApp Storeからアプリをインストール。

Anova Culinary - Google Play の Android アプリ



Anova Culinary on the App Store on iTunes



今回はiOSアプリを利用しました。「インストール」をタップ。


「開く」をタップすると……


こんな感じの画面が現れます。インストールしただけの状態だと、本体とアプリは接続されていません。アプリの画面下部を見ると「Connect Anova」というボタンがありました。


接続するにはまず本体にあるBluetoothボタンを押します。


Anova Precision Cookerにはレシピが多数登録されているので、料理を作る時は本体とアプリを接続させて、選んだレシピのページで調理ボタンを押すだけでOK。あとは予熱から調理まで、Anova Precision Cookerが勝手に行ってくれるわけです。ということで、実際にアプリから操作して予熱を行う様子は以下のムービーから確認可能。

アプリからボタン1つで調理できる「Anova Precision Cooker」 - YouTube


レシピを開き、画面下部にある「Connect Anova」をタップします。


画面上部に「Anova」という項目が出てくるのでこれもタップ。


すると、画面上部の左側に「調理するのに必要な温度」、真ん中に「現在の温度」、右側に「調理の残り時間」が表示されます。なお、調理するのに必要な温度は「128度」となっていますが、これはカ氏表示なので、セ氏に直すと53.3度。画面下部にはスタートボタンが出現するので、タップすると……


予熱が開始されます。水を調理に必要な温度にまで温めてくれるので、後は本を読んだり他の作業をしながら待っていればいいわけです。


見てみると、アプリと本体はちゃんと連動しており、いずれも水温は同じカ氏76.4度(セ氏24.7度)と表示されていました。


しばらくすると、水温がじわじわ上がっていきます。予熱が始まると画面右上に「01:00」という数字が現れましたが、これは実際に加熱を行っていくのが1時間という意味。


ボタン1つで料理ができると言っても、もちろん下準備はある程度必要なので、予熱の間にサクサク準備していきます。まず作るのは牛フィレ肉のカルパッチョ。牛フィレ肉230g、レモン、ケッパー、ルッコラ、パルメザンチーズ、オリーブオイルなどを用意します。


牛フィレ肉は塩コショウで下味をつけて……


ジップロックの中へ。下準備はたったこれだけです。


温度が調理に必要なカ氏128度(セ氏53.3度)にまで達すると、「Temp reached」ということで、アプリと本体が音でお知らせしてくれます。「OK」を押すと調理がスタートします。


ということで、お鍋の中にジップロックをイン。中の空気は水圧を使って抜いていくので、まだジッパーは開けたままでOKです。


袋をお湯に入れたら空気が外に押し出されていくので、空気の抜けた状態でしっかり密閉します。


作業している間に残りの加熱時間は59分となっていました。


ということで、あとは放置しておけばOK。煮たり焼いたりしている時のように、食材が焦げてしまったり、鍋から液体があふれてしまったり、ということは一切なく、失敗しようがないほど簡単に調理プロセスが終了するわけです。


1時間後、アプリと本体が音で調理終了をお知らせしてくれるので、ジップロックをお湯から上げます。


お肉の表面は茶色くなっており、外から見るとかなり火が通っているように見えます。表面の水分をキッチンペーパーなどでぬぐって……


ラップで包んだらすぐに冷凍庫に入れます。お肉は薄切りにする必要があるのですが、肉身が柔らかいとスライスしづらいため、最低1時間は冷凍庫に入れる必要があるとのこと。


2時間ほど冷凍したら、お肉を取り出して薄くスライスしていきます。


お皿に盛るとこんな感じ。お肉は冷凍庫から出したばかりだとやや黒みを帯びていて、「加熱しすぎたか?」と不安になりましたが、時間がたって柔らかくなると鮮やかな赤色に変化していきました。


ここに、ルッコラとパルメザンチーズを盛りつけて……


レモンとオリーブオイルをかけたら完成。


表面は火が通っているので、少し茶色になっている部分もあったのですが、真ん中の方のお肉はきれいなピンク色。


さっそくパクリと一口食べてみると、叫び出したくなるくらいのおいしさ。柔らかな肉は旨みがぎゅぎゅっと濃縮されており、脂が口の中でとろりと溶け出します。レシピには「レモン・オリーブオイルと一緒にお好みで塩・コショウを」とあったのですが、下味がしっかりついているので、お肉自体にほどよい塩気があり、それがさっぱりしたレモンやオリーブの風味と混ざりあい、シンプルなはずなのにレストランで出されてもおかしくないくらいの完成度になっていました。


サラダやパルメザンチーズとの相性もむちゃくちゃよく、このまま食べてもいいのですが、パンなどに載せてもよさげ。


レシピにはケッパーを載せる、とありましたが、ケッパーは小ささの割に存在感が強いので、お肉と一緒に食べると肉の濃縮された旨みが少し感じづらい印象でした。


Anova Precision Cookerの実力が分かったところで、もう一品、今度はアメリカの有名シェフMing Tsaiさんによる「バジル・オリーブオイル・ショウガでポーチしたサーモン」というレシピに挑戦。プロのレシピですが、Anova Precision Cookerを使えば技術いらずで、失敗することなく料理が完成します。まずは先ほどと同様に、レシピを開いて予熱をスタート。


ということで、予熱している間に下準備をしておきます。バジル・サラダ用の葉物野菜・オリーブオイル・コショウ・ショウガ・レモン・皮なしサーモンなどを用意。


サーモンには塩・コショウで下味をつけます。


ジップロックの中にサーモン・バジル・刻んだショウガなどを入れたらオリーブオイル3分の2カップを注ぎ……


袋の上から軽くもんで材料をミックス。


そうこうしているうちに、本体とアプリが音で予熱の完了をお知らせしてくれるので……


鍋の中にジップロックを投入します。これも牛フィレ肉の時と同様に、フタを開けたまま投入し、水圧で空気が抜けてから密封。食材を25分間そのまま放置しておき、料理人はゆっくりお休みしていてOKです。


25分後、アラームが鳴ったらジップロックを鍋からだします。サーモンの下には野菜を敷いていくので、この辺りでサラダをお皿に盛りつけておきましょう。


サーモンをそーっと取り出して、野菜の上に載せていきます。


こし器などを使い、オリーブオイルの中からバジルの葉っぱなどを取り除きます。


レモン果汁を1個分しぼって入れたら……


サラダ&サーモンの上にかけて、料理が完成。


サーモンを割ってみると、一瞬「火が通っていないのでは?」と思ってしまうらい、レアっぽい見た目。


しかし、食べてみると生ではないことが分かります。生のサーモンにあるようなべたっとした歯ごたえはなく、かといって焼いた時のように繊維質が前面に出ているわけでもなく、ふわっとやわらかで、ものすごくジューシー。これは真空調理法独特の仕上がりとしか言いようがありません。前回レビューした時にも思ったのですが、Anova Precision Cookerで調理すると、焼いたり煮たりする時のように旨みが外に出ていかずぎゅっと閉じ込められるので、素材の持つ味がむちゃくちゃ濃厚に感じられます。今回で言えば、バジル・ショウガの香りがサーモンの旨みとぎゅぎゅっと融合されており、これもボタン1つの簡単調理とは思えないほど、高級なレストランで出されたようなおいしさでした。


野菜と一緒に食べてもウマウマ。何人かの編集部員で試食したのですが「おいしい」「あーおいしい」と「おいしい」以外のコメントが出てこず、牛フィレ肉のカルパッチョとポーチドサーモンを試食した編集部員のうち2人は真剣にAnova Precision Cookerの購入を考え出すほど。下準備を行う必要があるので、「限りなく料理の手間を省きたい」という人向きではありませんが、料理好きな人・おいしい物好きな人であれば簡単操作で失敗することなくレストラン級の食べ物が作れるので、かなりオススメです。


・2017年2月7日 10:45 追記
Anovaがスウェーデンに本拠を置く世界最大級の家電メーカー・Electrolux(エレクトロラックス)に2億5000万ドル(約280億円)で買収されることがわかりました。Anovaは「全員が食卓に座るべき」というアイデアから生まれ、シンプルで正確で価値があり、誰もが毎日の食卓でプロのような料理を作れるようにする、というデバイスを開発してきました。8カ月前から始まったElectroluxとの話し合いにおいても、Anovaのユニーク文化はElectroluxという巨大な組織の中で守られていくことで合意されたとのことです。

Everybody has a seat at the table - Anova Culinary
https://anovaculinary.com/everybody-seat-table/

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in レビュー,   試食,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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