MicrosoftがActivision Blizzardの買収をついに完了

2022年1月に大手ゲームメーカーであるActivision Blizzardの買収を発表したMicrosoftですが、同社はゲームブランドのXboxを運営しているため、世界中の規制当局が買収に待ったをかけていました。そしてついに、MicrosoftがActivision Blizzardの買収を完了させたことを発表しています。

Welcoming the Legendary Teams at Activision Blizzard King to Team Xbox - Xbox Wire
https://news.xbox.com/en-us/2023/10/13/xbox-activision-blizzard/

Activision Blizzard King Joins Xbox - Official Trailer - YouTube


Microsoft completes Activision Blizzard acquisition, Call of Duty now part of Xbox - The Verge
https://www.theverge.com/2023/10/13/23791235/microsoft-activision-blizzard-acquisition-complete-finalized

Read Xbox chief Phil Spencer’s memo welcoming Activision Blizzard to Microsoft - The Verge
https://www.theverge.com/2023/10/13/23915634/microsoft-xbox-internal-memo-chief-spencer-activision-blizzard-completion

Bobby Kotick will stay at Activision Blizzard until the end of 2023 - The Verge
https://www.theverge.com/2023/10/13/23915559/activision-blizzard-ceo-steps-down-kotick-microsoft

Microsoftは独自のゲームブランドであるXboxを展開しているため、同社によるActivision Blizzardの買収は独占につながる可能性があるとして、世界中の規制当局がこの買収に関する調査を行いました。日本の公正取引委員会や欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会(EC)は、どちらも最終的にMicrosoftの買収を承認。

最後の関門となっていたのがアメリカの連邦取引委員会(FTC)と、イギリスの競争・市場庁(CMA)でした。このうちFTCによる訴訟は、カリフォルニア州判事のジャクリーン・スコット・コーリー氏がFTCによる買収阻止のため仮差止命令の請求を却下し、この判決に対する控訴も却下されることとなっていました。

MicrosoftによるActivision Blizzard買収を阻止するための連邦取引委員会の最後の試みが却下される、ついに買収成立が間近に - GIGAZINE

そして、MicrosoftはCMAから買収承認を得るために、自社タイトルのクラウドゲーミング権をライバル企業のひとつであるUbisoftに売却することを発表していました。

MicrosoftはActivision Blizzard買収のため自社タイトルのクラウドゲーミング権をライバルのUbisoftに売却する予定であると発表 - GIGAZINE

2023年10月13日、同社のゲームブランドであるXboxのチーフを務めるフィル・スペンサー氏が、「私たちはゲームが大好きです。私たちはゲームをプレイし、ゲームを作成し、ゲームが私たち全員にとって、個人やコミュニティに対してどれほど大きな意味を持つかを理解しています。そして今日、私たちはActivision BlizzardとそのチームをXboxに正式に歓迎します」と述べ、MicrosoftがActivision Blizzardの買収を完了したことを発表しています。

また、スペンサー氏はX上でも「今日は遊ぶのに良い日です。Activision BlizzardとKingをチームXboxに正式に迎え入れます。私たちは力を合わせて、誰もが最高の仕事をし、多様な視点を称える文化の中で、プレイヤーを結び付けるストーリーとエクスペリエンスを創造していきます」と投稿しました。

MicrosoftによるActivision Blizzard買収は同社にとって過去最大の買収となります。Microsoftは2016年に262億ドル(約3兆9000億円)でLinkedInを買収し、2021年には75億ドル(約1兆1000億円)でベセスダ・ソフトワークスを買収していますが、Activision Blizzardの買収額はこれらをはるかに上回る687億ドル(約10兆3000億円)にものぼります。

MicrosoftはActivision Blizzardのタイトルを同社のゲームサブスクリプションサービスであるXbox Game Passに追加することを計画しており、スペンサー氏は「我々は人気のActivision BlizzardタイトルやKingタイトルをXbox Game Passやその他のプラットフォームに導入する作業を開始します」「今後数カ月のうちに、これらのタイトルがいつプレイできるようになるかに関する詳細をお知らせする予定です。皆さんが興奮していることは理解していますが、我々も非常に興奮しています！」と言及しています。

ただし、Activision Blizzardは2023年10月第2週の初めにCall of Duty Modern Warfare 3とディアブロIVについて、「2023年内はXbox Game Passに含まれない」と発表しました。ただし、買収が完了すればXboxと協力してこれらのタイトルを世界中のゲーマーに届けるために、Xbox Game Passに含める予定であると説明しています。

なお、MicrosoftはActivision Blizzard買収を発表した際に、Xbox Game Passの加入者数が2500万人に到達したと発表していますが、これ以降は加入者数に関する発表はありません。

Activision Blizzard買収により、Microsoftは9社以上のゲームスタジオと、11社以上のモバイルゲームスタジオを傘下に加えることとなります。今回の買収により、8500人を超えるActivision Blizzard傘下の従業員がMicrosoftに加わることとなる模様です。

また、セクハラ問題で去就が注目されたActivision Blizzardのロバート・コーティックCEOは2023年末まで留任することとなる予定です。同氏はActivision Blizzardの従業員に向けて、「私は移行を支援することに全力で取り組むと長い間言ってきました」「(Microsoftの)フィルは私にActivision Blizzard KingのCEOとして留まり、(フィル)直属の部下となるよう要請しており、我々は2023年末までそれを続けることに同意しました。我々はチームと従業員のスムーズな統合に向けて協力することを楽しみにしています」というメールを送信しています。

なお、Activision Blizzardのニューヨーク州アルバニーオフィスとActivision Blizzardの子会社であるRaven Softwareの従業員が労働組合を結成しましたが、Microsoftは2022年6月にアメリカ通信労働者(CWA)と締結した労働中立協定を遵守すると繰り替えし述べました。Microsoftの副会長兼プレジデントであるブラッド・スミス氏は、「16カ月以上たった今、MicrosoftはActivision Blizzardとの買収取引を完了しましたが、我々は労働原則と労働組合パートナーシップに対する革新的なアプローチへのコミットメントを確認します」「Microsoftは現在および将来の従業員が職場や代表者に関してどのような選択をする場合でも、彼らを断固としてサポートします」と述べています。

ただし、FTCはMicrosoftによるActivision Blizzard買収は問題ないとする判決を不服としており、控訴を続ける構えです。ロイターの報道によると、FTCの広報担当者であるビクトリア・グラハム氏が「MicrosoftとActivision Blizzard、Ubisoftの新しい契約は、アメリカの消費者に影響を与える買収に全く新たな側面を提示しており、FTCは進行中の行政手続きの一環としてこれを評価することになります」「FTCはこの取引が競争に対する脅威であると信じ続けています」と述べました。