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MicrosoftはActivision Blizzard買収のため自社タイトルのクラウドゲーミング権をライバルのUbisoftに売却する予定であると発表


Microsoftは2022年にActivision Blizzardの買収を発表しました。これに対して、世界中の独占禁止法監督機関が調査を行いましたが、日本EUの規制当局は買収を認めており、アメリカの規制当局による訴えも退けられています。そんな中、イギリスの規制機関である競争・市場庁(CMA)は調査を続けているでのすが、このCMAから買収承認を得るため、Microsoftは自社タイトルのクラウドゲーミング権をライバル企業のひとつであるUbisoftに売却すると発表しました。

Microsoft and Activision Blizzard restructure proposed acquisition and notify restructured transaction to the UK’s Competition and Markets Authority - Microsoft On the Issues
https://blogs.microsoft.com/on-the-issues/2023/08/21/microsoft-activision-restructure-acquisition/

Microsoft submits new deal for review after CMA confirms original deal is blocked - GOV.UK
https://www.gov.uk/government/news/microsoft-submits-new-deal-for-review-after-cma-confirms-original-deal-is-blocked

Microsoft to sell off Activision cloud gaming rights to Ubisoft in bid for UK approval - The Verge
https://www.theverge.com/2023/8/22/23828302/microsoft-activision-blizzard-acquisition-ubisoft-cloud-gaming-rights-uk-cma


MicrosoftによるActivision Blizzard買収について調査を続けているCMAは、買収が成立することでクラウドゲーミング市場の競争に大きな影響が生じる可能性を懸念しています。Microsoftはこの懸念に対処するため、Activision Blizzardの買収契約を再構築したと発表しました。

再構築された買収契約には、「Microsoftは今後15年間にわたり、同社がリリース予定のActivision Blizzardタイトルのクラウドゲーミング権を世界有数のゲームパブリッシャーであるUbisoftに譲渡する」という内容が含まれています。


これにより、MicrosoftによるActivision Blizzard買収が成立しても、Activision BlizzardのタイトルをMicrosoftのクラウドゲーミングサービスであるXbox Cloud Gamingのみでリリースすることは不可能となります。さらに、Microsoftは競合サービス上のActivision Blizzardタイトルのライセンス条件を独占的に管理することもできなくなり、代わりにUbisoftがEU圏外でのActivision Blizzardタイトルのクラウドゲーミング権を管理することとなります。そのため、Xbox Cloud Gamingに含まれるActivision Blizzardタイトルは、UbisoftがMicrosoftにライセンス供与する形となるようです。

Microsoftは買収契約の再構築により、CMAの懸念をクリアし、買収承認が得られるだろうと予想しています。

これを受け、Ubisoftは「MicrosoftによるActivision Blizzardの買収が成立すると、Activision Blizzardのタイトルをストリーミング経由でUbisoft+に提供してもらうことができるという新しい契約を発表できることを嬉しく思います。さまざまなクラウドゲーミングサービスやサブスクリプションサービスにもゲームをライセンス供与する予定です」と述べ、MicrosoftとUbisoftの新契約によりさまざまなクラウドゲーミングサービスやサブスクリプションサービスが、ライセンス契約をUbisoftと結ぶことでActivision Blizzardのタイトルを提供できるようになると明かしました。


Microsoftによると、この契約によりUbisoftはクラウドストリーミングを介したゲームの配信を商業化するユニークな機会を得ることとなります。Ubisoftは世界中のクラウドストリーミングサービスにおけるActivision Blizzardタイトルのライセンスと価格設定において、さまざまなビジネスモデルを革新・奨励することが可能です。UbisoftはMicrosoftに対して、Activision Blizzardタイトルのクラウドストリーミング配信権について「1回限りの支払い」や「使用量に応じた価格設定」を含む、市場ベースの価格設定メカニズムを通じて対価を支払うこととなる模様。さらに、UbisoftはActivision BlizzardタイトルをWindows以外のOSを搭載したデバイス向けのクラウドゲーミングサービスに提供する機会を得ることにもなります。

CMAは再構築されたMicrosoftによるActivision Blizzard買収契約についての調査を開始すると発表しており、この調査が完了するまでMicrosoftによる買収取引を全世界で禁止するための命令を発行しています。

CMAは新しいActivision Blizzard買収契約について、「Microsoftは新たな再構築された契約を通知しましたが、これは以前に提案された内容とは大きく異なります。この新たな契約の一環として、EEA外でのActivision Blizzardタイトルのクラウドストリーミング権はライバルのUbisoftに売却され、同社はActivision Blizzardのコンテンツをあらゆるクラウドゲームプロバイダーにライセンス供与できるようになります。これにより、ゲーマーはクラウドベースのゲームサブスクリプションサービスなど、さまざまな方法でActivision Blizzardのゲームにアクセス可能となります」と言及。

ただし、これにより買収が承認されたわけではないとしており、CMAは「第三者の意見も踏まえ、再構築された買収契約の内容と、市場への影響を慎重かつ客観的に評価していく予定です」と述べています。

CMAはMicrosoftの買収契約の調査期限を2023年10月18日に設定しており、これはMicrosoftのActivision Blizzard買収契約の成立期限でもあります。Microsoftのゲーミング部門であるXboxの最高責任者であるフィル・スペンサー氏は、CMAの審査プロセスが10月18日までに完了すると予想しており、規制取引におけるサラ・ボンド氏の「並外れたリーダーシップ」を称賛しました。

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in ネットサービス,   ゲーム, Posted by logu_ii

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