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MicrosoftがActivision Blizzard買収をめぐる裁判でアメリカの規制当局に勝利


アメリカの連邦取引委員会(FTC)が、MicrosoftによるActivision Blizzard買収の阻止に向けて提起していた裁判で、裁判所がFTCの申し立てを却下する判決を下しました。FTCは今後、この判決を控訴審へと持ち込む可能性があります。

Microsoft wins FTC fight to buy Activision Blizzard - The Verge
https://www.theverge.com/2023/7/11/23779039/microsoft-activision-blizzard-ftc-trial-win

FTC Leaning Toward Appealing Microsoft-Activision (MSFT, ATVI) Court Loss - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-07-11/ftc-leaning-toward-appealing-microsoft-activision-loss

MicrosoftによるActivision Blizzard買収の是非が争われた裁判で、カリフォルニア州判事のジャクリーン・スコット・コーリー判事は2023年7月11日に、FTCによる仮差止命令の請求を却下し買収を容認する判決を下しました。


今回の裁判の主な焦点は、非常に人気の高いゲームタイトルである「Call of Duty(CoD)」シリーズをMicrosoftが独占し、消費者が不利益を被ったり健全な競争が妨げられたりするのではないかとの懸念です。

これに対し、コーリー判事は判決文の中で、「10年間はPlayStationでXboxと同様にCoDシリーズを展開する」とMicrosoftが約束している点や、Switchにも同じく10年間CoDシリーズを提供し続けるとの合意を任天堂との間で締結したことを指摘しました。

任天堂とMicrosoftが「Call of Duty」を10年間供給する契約を締結、ソニーの態度次第でPlayStation向け10年契約の可能性も - GIGAZINE


その上で判事は「当裁判所は、ゲーム業界における今回の垂直合併が競争を実質的に低下させるおそれがあるとの主張について、FTCが説得力のある可能性を示していないと判断します。それどころか、提出された証拠はCoDを始めとするActivisionのコンテンツに対する消費者のアクセスが増加することを示しています。よって、仮差止命令を却下します」と述べて、ほぼ全面的にMicrosoftの主張を認めました。

この判決を受けて、Microsoftのブラッド・スミス社長は「この迅速かつ完璧な判決を下したサンフランシスコの裁判所に感謝するとともに、他の司法管轄区がタイムリーな解決に向けて取り組みを続けることを願っています」との声明を発表しました。

また、MicrosoftのXbox事業の責任者であるフィル・スペンサー氏は「私たちは、私たちに有利な判決を迅速に下してくれた裁判所に感謝しています。裁判で取り上げられた証拠は、Activision Blizzardを買収する契約が業界にとって有益であることや、FTCによる主張がゲーム市場の現実を反映していないことを示しています」とツイートしました。


一方のFTCは控訴に関する正式なコメントを出していませんが、海外メディアのBloombergは今回の訴訟に詳しい関係者の話から、「FTCは今回の判決に対して控訴する方向に動いています」と述べて、早ければ12日中にも控訴を発表する可能性があると報じました。FTCの控訴のタイムリミットは現地時間の7月14日午後11時59分です。

FTCが今回の法廷闘争で巻き返しを見せられるかどうかについて、専門家の見解はふたつに分かれています。ボルチモア大学のロースクールで教授を務めるロバート・ランド氏はBloombergに対し、「判事は間違った基準で事件を評価したと思いますし、FTCは控訴すべきだと思います」と話しました。一方、スタンフォード大学法学部の教授で、司法省の反トラスト当局に勤務した経歴を持つダグ・メラメッド氏は「FTCが、買収の期限である7月18日までに控訴裁判所を説得できる可能性は非常に低いでしょう」と述べています。

MicrosoftによるActivisionの吸収合併に対しては、イギリスの競争・市場庁(CMA)も待ったをかけており、Microsoftのスミス社長は、今後はイギリス当局の説得に注力する方針を示しています

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in ゲーム, Posted by log1l_ks

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