Microsoftがセガの買収を狙っていたことがActivision Blizzard買収を巡る公聴会の資料から明らかに

Microsoftは2022年1月、「コール オブ デューティ」「ディアブロ」「オーバーウォッチ」などで知られる大手ゲームメーカーのActivision Blizzardを買収すると発表しました。この買収を阻止するべく動いているアメリカ連邦取引委員会(FTC)とMicrosoftの公聴会で公開された資料から、「Microsoftがセガの買収を検討していた」ことが明らかになりました。

Microsoft considered acquiring Bungie and Sega, internal emails show - The Verge
https://www.theverge.com/2023/6/26/23774482/microsoft-sega-bungie-acquisition-targets-internal-email-xbox

Xbox Emails Show It Had Plans To Buy Sega And Bungie
https://kotaku.com/xbox-microsoft-deal-merger-sega-bungie-emails-niantic-1850579087

反トラスト法(独占禁止法)について監督・監視しているFTCは、人気ゲーム機ブランドのXboxを抱えるMicrosoftによるActivision Blizzard買収について審査を行っており、2022年11月にはActivision Blizzard買収を阻止するべくMicrosoftを提訴しました。FTCは「MicrosoftがActivision Blizzardを買収してしまえば、同社はXboxと急速に成長しているサブスクリプションコンテンツ(Xbox Game Pass)およびクラウドゲームサービスにおいて、競合他社を抑圧できるようになってしまう」と主張しています。

MicrosoftによるActivision Blizzard買収を阻止するため連邦取引委員会が提訴 - GIGAZINE

MicrosoftはActivision Blizzard買収を成立させるため、競合する任天堂やNVIDIAにXboxのゲームを提供する契約を結ぶなどの譲歩を行ってきました。しかし2023年6月、FTCはついに買収阻止を求める仮制止命令および予備的差止命令を申請しました。

MicrosoftのActivision Blizzard買収を阻止すべく連邦取引委員会が差止命令を申請 - GIGAZINE

そんなActivision Blizzard買収を巡るMicrosoftとFTCの公聴会で公開されたMicrosoftの内部資料から、「Microsoftはかつてセガの買収を検討していた」ことが明らかになりました。

海外メディアのThe Vergaが入手した以下のメールは、2020年11月にXboxの責任者であるフィル・スペンサー氏がMicrosoftのサティア・ナデラCEOやエイミー・フッドCFOに宛てたものです。メールの中でスペンサー氏は、セガのゲームスタジオを買収する可能性があるとして、セガサミーに対するアプローチの戦略的承認を求めています。

スペンサー氏は、「セガはグローバルな地理的魅力を備えたセグメント全体で、バランスの取れたゲームポートフォリオを構築しており、コンソールの内外でXbox Game Passを加速するのに役立つと信じています」「セガの人気IPが持つグローバルな魅力は、ローカライズされたコンテンツが成功に不可欠なアジアを中心に、Xbos Game Passの新たな顧客へのリーチを世界中に拡大するのに役立つでしょう」と述べています。

結局セガの買収についての承認は下りたのか、話がそれ以上進んだのかは不明ですが、2021年4月の社内文書では依然としてセガが「主要な買収候補」としてリストされていたとのこと。なお、セガとMicrosoftは2021年11月に、「次世代戦略タイトルの創出と次世代開発環境の構築」に関して戦略的提携の検討を進めると発表しています。

また、セガ以外の買収候補として名前が挙がっていた企業の中には、「Destiny」などで知られるバンジーもあったそうです。バンジーは2000年にMicrosoftによって買収されましたが、2007年に株式の一部やIPをMicrosoftに譲渡して再独立したため、ゲームメディアのKotakuは「おそらくリストの中で最もおかしな会社でしょう」と指摘しました。

なお、2022年1月にはソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)がバンジー買収を発表し、同年7月に買収が完了しています。