MicrosoftのActivision Blizzard買収を阻止すべく連邦取引委員会が差止命令を申請
2022年1月、Microsoftが大手ゲームメーカーのActivision Blizzardを買収すると発表しました。Microsoftは独自のゲームブランドである「Xbox」を持つため、Activision Blizzardを買収することでゲーム業界のパワーバランスが崩れることを危惧し、世界中の規制当局がこの買収について調査を行っています。アメリカの連邦取引委員会(FTC)もMicrosoftの買収計画を阻止すべく調査を進めており、2023年6月12日(月)になってついに買収阻止を求める仮制止命令および予備的差止命令を申請したことが明らかになりました。
FTC files to block Microsoft-Activision
https://www.cnbc.com/2023/06/12/ftc-files-to-block-microsoft-activision-blizzard-deal.html
FTC Files to Block Microsoft From Closing Activision Blizzard Deal - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-06-12/ftc-will-seek-to-keep-microsoft-s-activision-deal-from-closing
FTC Seeks Injunction to Stop Microsoft From Closing Activision Deal - WSJ
https://www.wsj.com/articles/ftc-plans-to-seek-a-restraining-order-to-stop-microsoft-from-closing-activision-deal-305e130b
FTC files to block Microsoft from buying Activision Blizzard - The Verge
https://www.theverge.com/2023/6/12/23758194/ftc-microsoft-activision-blizzard-complaint-block-acquisition-call-of-duty
FTC seeks to block Microsoft's $69 billion purchase of Activision Blizzard - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2023/06/12/ftc-microsoft-activision-injunction/
2023年6月12日、FTCがMicrosoftによるActivision Blizzardの買収を「2023年7月18日」まで阻止するために、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に予備的差止命令と仮制止命令を申請しました。仮制止命令は、予備的差止命令の申し立てを審理するまでの限定された期間のみ適用される差止制度です。以下のPDFファイルは、FTCがカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提出した予備的差止命令および仮制止命令を求める書類。
COMPLAINT FOR A TEMPORARY RESTRAINING ORDER AND PRELIMINARY INJUNCTION PURSUANT TO SECTION 13(b) OF THE FEDERAL TRADE COMMISSION ACT
(PDFファイル)https://fm.cnbc.com/applications/cnbc.com/resources/editorialfiles/2023/06/12/show_temp_2.pdf
FTCはMicrosoftによるActivision Blizzardの買収が成立した場合、Microsoftが競合他社に対してActivision Blizzardのゲームの価格や品質を意図的に下げる可能性を懸念していると主張しています。
これについて、CNBCは「これは言い替えると、FTCはMicrosoftがActivision Blizzardのタイトルをソニーなどの競合他社のプラットフォームで販売することを取りやめる可能性があることを懸念しているということです。あるいは、競合他社のプラットフォームではActivision Blizzardのタイトルが割増しで提供される可能性があると危惧しています」と指摘。
MicrosoftはActivision Blizzardの買収を成立させるために、任天堂およびNVIDIAにXboxのゲームを10年間にわたり提供するという契約を結んでおり、ソニーのゲームブランドであるPlayStationに対しても同様の契約を提供する準備があると述べています。一方で、FTCは「Microsoftが将来的に登場する注目タイトルをXboxで独占する可能性」を懸念しています。
MicrosoftがActivision Blizzard買収を成立させるため任天堂&NVIDIAにXboxのゲームを10年間にわたり提供する契約を結ぶ - GIGAZINE
MicrosoftによるActivision Blizzard買収が成立してしまった場合、「不可能ではないにしても、現状を回復することは困難になるだろう」とFTCは指摘。また、FTCは「MicrosoftとActivision Blizzardはいつでも買収を完了させることができると表明しているため、予備的差止命令が必要である」とも述べています。
当初、MicrosoftはActivision Blizzardの買収を「2023年6月末までに完了させる」と語っていました。なお、MicrosoftとActivision Blizzardの買収契約が決裂した場合、MicrosoftはActivision Blizzardに対して最大30億ドル(約4200億円)相当の契約解除料を支払わなければならなくなる可能性があります。
なお、日本の公正取引委員会もMicrosoftによるActivision Blizzard買収について調査を進めていたものの、「競争を阻害しない」として買収を承認しました。
日本の公正取引委員会がMicrosoftのActivision Blizzard買収は「競争を阻害しない」として審査を終了、その理由とは? - GIGAZINE
by Prachatai
また、欧州連合の政策執行機関である欧州委員会もMicrosoftによるActivision Blizzardの買収について独自調査を進めていましたが、「MicrosoftによるActivision Blizzardの買収は、ゲーマーが自身のコンピューターやコンソールで、ゲームをストリーミングできるクラウドゲーム市場において、競争を阻害しない」として買収計画を承認しています。
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