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MicrosoftによるActivision Blizzard買収をEUが条件付きで承認


欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会(EC)が2023年5月15日に、MicrosoftによるActivision Blizzardの買収を承認することを発表しました。買収の承認についてECは、「提示した条件を順守することで競争上の懸念に完全に対処することが可能です」と述べています。

Commission clears acquisition of Activision Blizzard
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_23_2705


Microsoft’s purchase of Activision gets the OK from the EU | Ars Technica
https://arstechnica.com/gaming/2023/05/microsofts-purchase-of-activision-gets-the-ok-from-the-eu/


Microsoft’s Activision Blizzard acquisition approved by EU regulators - The Verge
https://www.theverge.com/2023/5/15/23723703/microsoft-activision-blizzard-acquisition-approved-eu-european-commission

E.U. approves Microsoft’s $69B Activision Blizzard deal, a rare victory - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2023/05/15/microsoft-activision-blizzard-eu-approves-deal/

Microsoftは2022年に、Activision Blizzardを687億ドル(約9兆円)規模で買収すると発表しました。MicrosoftがActivision Blizzardを買収することになれば「MicrosoftがCall of Dutyシリーズなどの人気タイトルを独占する可能性がある」として、アメリカの連邦取引委員会(FTC)は買収阻止のためにMicrosoftを提訴しているほか、ゲーマーらが集団訴訟を起こしたり、ソニーが買収反対派の先頭に立って買収を批判したりするなど、吸収合併に反発する動きが強まっていました。

一方で、任天堂やNVIDIAなどの企業はMicrosoftとActivision Blizzardのタイトルを提供してもらう契約を締結し、MicrosoftによるActivision Blizzardの買収を承認しています。日本の公正取引委員会もMicrosoftのActivision Blizzard買収について調査を進めていたものの、「競争を阻害しない」として買収を承認しています。

日本の公正取引委員会がMicrosoftのActivision Blizzard買収は「競争を阻害しない」として審査を終了、その理由とは? - GIGAZINE


EUでは2023年1月に、Microsoftによる買収計画が独占禁止法に抵触する可能性があるとして、公正取引委員会がMicrosoftに対して警告を発する予定であることが報じられていましたが、ECによる詳細な調査の結果、「MicrosoftによるActivision Blizzardの買収は、ゲーマーが自身のコンピューターやコンソールで、ゲームをストリーミングできるクラウドゲーム市場において、競争を阻害しない」として買収計画を承認しています。

ECが行った市場調査では、Microsoftが競合他社のゲームサブスクリプションサービスに競争上の害を及ぼさないことが示されました。また、ECは、「MicrosoftがActivision Blizzardの人気タイトルであるCall of DutyシリーズをXbox独占タイトルにしたとしても、このシリーズは世界中の地域と比較してヨーロッパでは人気が低く、コンソール市場での競争に大きな害を及ぼすことはありません」と判断しています。しかし、Microsoftによる買収がクラウドゲームストリーミングサービスを介したPCおよびコンソールのゲームの流通における競争に害をおよぼす可能性があると指摘しています。

クラウドゲームストリーミングサービスを介したPCおよびコンソールのゲームの流通における競争に関する懸念に対処するため、ECはMicrosoftがActivision Blizzardの買収を行う条件として「Activision BlizzardのPCおよびコンソール向けゲームにアクセスできるようにするための無料ライセンスを、少なくとも10年間クラウドゲームストリーミングサービスに提供すること」を提示しています。この条件は、Activision Blizzardのゲームライセンスを競合するクラウドゲームストリーミングサービスに自動的に与えることで、ユーザーは任意のクラウドゲームサービスからゲームをプレイできるようになります。


Microsoftに与えた条件について、ECは「この条件は最終的に、Activision Blizzardのゲームをこれまでよりも多種多様なデバイスやプラットフォームに提供することにより、競争と消費者に大きな利益をもたらすでしょう」と述べています。

一方で、イギリスの競争・市場庁(CMA)は2023年4月26日に、「クラウドゲーミングの選択肢とイノベーションを守るため」との理由から、MicrosoftによるActivision Blizzardの買収を阻止することを発表しています。今回のECによる買収案の承認に対してCMAは「ECがCMAと異なる見解を取ることを認識、尊重し、ECによる決定を受け入れます」と述べています。


しかしCMAは「MicrosoftによるActivision Blizzardの買収が、自由でオープンな競争市場を『Microsoftの販売するゲームやゲームストア、販売条件に縛られる市場』へ変えてしまうことになります」と述べ、「CMAとしてはMicrosoftによる買収案を拒否し、取引を阻止していく予定です」との見解を示しています。

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in ゲーム, Posted by log1r_ut

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