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MicrosoftによるActivision Blizzard買収をイギリス当局が阻止、Microsoftは即座に異議申し立てを発表


イギリスの競争・市場庁(CMA)が2023年4月26日に、MicrosoftによるActivision Blizzardの買収を阻止することを発表しました。CMAはこの措置の理由について「クラウドゲーミングの選択肢とイノベーションを守るため」としています。CMAの決定を受けて、Microsoftは不服を申立てる考えを示しました。

Microsoft / Activision deal prevented to protect innovation and choice in cloud gaming - GOV.UK
https://www.gov.uk/government/news/microsoft-activision-deal-prevented-to-protect-innovation-and-choice-in-cloud-gaming


Microsoft’s Activision Blizzard acquisition blocked by UK regulators - The Verge
https://www.theverge.com/2023/4/26/23689252/microsoft-activision-blizzard-acquisition-blocked-uk-cma


Microsoftは2022年に、687億ドル(約9兆円)規模のActivision Blizzard買収案を発表しました。これについては、「MicrosoftがCall of Dutyシリーズなどの人気タイトルを独占するのではないか」との懸念からアメリカの連邦取引委員会(FTC)がMicrosoftを提訴しているほか、EUの公正取引委員会が警告発令の手続きを進めたり、ゲーマーらが集団訴訟を起こしたり、ソニーが反対派の先頭に立って買収を批判したりするなど、吸収合併に反発する動きが強まっています。

一方、任天堂やNVIDIAはゲーム提供に関する契約をMicrosoftと締結しているほか、日本の公正取引委員会が買収を承認するなど、Activision Blizzard買収をめぐる各国の規制当局やゲーム業界の対応は二分されつつあります。

日本の公正取引委員会がMicrosoftのActivision Blizzard買収は「競争を阻害しない」として審査を終了、その理由とは? - GIGAZINE

by Prachatai

イギリスの規制当局として買収の影響を調査していたCMAは、2023年2月に「MicrosoftとActivision Blizzardの契約は、イギリスのゲーマーに害を及ぼす可能性がある」とする暫定的な調査結果を報告しました。

その後も、買収に関する一般市民からの意見や300万件もの文書の精査を進めていたCMAは、Activision Blizzardの買収によりMicrosoftがCall of Dutyやオーバーウォッチなど主要なゲームコンテンツをコントロールできるようになり、クラウドゲーム市場における同社の優位性が強化されることを改めて指摘しました。


こうした懸念を解消するため、Microsoftは他社プラットフォームに10年間ゲームを供給するといった緩和策を提案していましたが、これについてもCMAは「当局による監督がなければ有効性が確保できないという重大な欠陥がある」として却下しています。

その上でCMAは「クラウドにより、イギリスのゲーマーは高価なゲーム機やPCを購入する必要がなくなり、プレイ方法の柔軟性と選択肢が大幅に広がります。急速に成長し始めたクラウドゲーム市場で、Microsoftが強力な地位を固めるのを許すことは、これらの機会の発展に不可欠なイノベーションを弱体化させるリスクがあります」と結論づけて、買収を阻止するとの最終決定を発表しました。

これを受けて、Microsoftは「私たちは引き続き、今回の買収に全面的にコミットしており、不服申し立てを行う予定です。CMAの決定は、競争上の懸念に対処するための現実的な道を拒絶し、イギリスにおけるイノベーションと投資意欲を削ぐものです。長期に渡る審議の結果、ゲーム市場とクラウド技術が実際に機能する方法についての理解不足を反映したかのような決定がなされたことに、私たちは大変失望しています」との声明を発表し、上訴する意向を示しました。

We remain fully committed to our acquisition with @ATVI_AB and will appeal today's determination by the CMA. Here's our statement. pic.twitter.com/ylvDP5RUqQ

— Brad Smith (@BradSmi)


また、メディアを通じた声明の中で、Activision Blizzardは「CMAの最終報告書は、テクノロジービジネスを構築する上で魅力的な国になるというイギリスの野望と矛盾しています。報告書の結論は、ますます悲惨な経済の先行きに直面しているイギリスの市民を侮辱するものであり、これにより私たちはイギリスの成長計画を再考しなければならなくなりました。今回のことで、あらゆる美辞麗句に反してイギリスが明らかに閉鎖的な国であることに、世界中の大小さまざまなイノベーターたちが気づいたことでしょう」と、CMAの決定を厳しい語調で批判しました。

前述の通り、MicrosoftはアメリカのFTCによる訴訟にも直面しており、2023年8月には聴聞会が予定されています。この調査でさまざまな文書が公開されれば、「ソニーもPlayStationで独占契約をしている」とするMicrosoftの反論の詳細など、ゲーム業界を二分する今回の買収劇の全容がさらに明らかになることが期待されています。

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in ゲーム, Posted by log1l_ks

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