ガレージドア開閉装置を制御する権利を求めて闘う男とは

44歳のIT専門家であるポール・ウィーランド氏が、「ネットワークに接続されたスマートガレージドア」を改造しているとしてニューヨーク・タイムズに取り上げられました。アメリカでは、市販品を自分たちで修理できるようにする「修理する権利」を求めて活動する人が増えています。
Why One Man Is Fighting for Our Right to Control Our Garage Door Openers - The New York Times
https://www.nytimes.com/2025/12/04/technology/personaltech/why-one-man-is-fighting-for-our-right-to-control-our-garage-door-openers.html
修理する権利とは、メーカーに頼らずとも消費者自身や第三者の手により機器を修理できるようにすることを求める権利のことで、修理手段をメーカーが独占することで修理費用が高額になりがちになる問題を回避するものとして、主にアメリカで権利の拡充が求められています。
ニューヨーク州アディロンダックに住むウィーランド氏は、自宅をリノベーションしたときに購入したチェンバレン社製のガレージドアがメーカーのインターネットサーバーへの接続を必要としていたことに気づきました。ウィーランド氏は「プライバシー保護のため、ローカルWi-Fiネットワークのみで動作すべき」と考え、ガレージドアに接続する独自のシステム開発に着手したそうです。

ウィーランド氏は開発した機器に「RATGDO(Rage Against the Garage Door Opener:ガレージドアオープナーに対する怒り)」と命名。当初は経費回収のため100台程度販売する予定でしたが、予想を上回り3年間で1万台以上売れたといいます。
もともと、チェンバレンはGoogleなどのホームオートメーションソフトウェアであらゆるガレージドアオープナーを制御できる「MyQ」ハブを開発していました。無料のMyQアプリも提供し、記事作成時点でも広く使われていますが、2023年頃からMyQサーバーへのサードパーティーによるアクセスをほとんどサポートしなくなってしまったそうです。
チェンバレンは「製品の信頼性を向上させるため」と説明しましたが、この変更によりAppleやGoogleのHomeアプリからの接続が事実上切断されてしまい、利用者の不満が続出しました。ウィーランド氏いわく、この変更以後にRATGDOの売り上げが急増したとのことです。

チェンバレンはアプリの利用を基本無料としていますが、チェンバレンと提携するパートナー企業が有料で顧客にサービスを展開することを許可しています。ウィーランド氏は「インターネットに接続するハードウェアを販売しながら、最終的にはその仕様を変更したり、顧客に月額利用料を課して小銭を稼ごうとしたりする企業に対する不満は、市民の間で十分浸透しています。消費者がこれを容認し、それが当たり前になってしまう将来が本当に怖いと思います」と述べました。
これまで無料あるいは買い切りだったサービスを月額課金制で提供しようとする企業はチェンバレンだけではありません。2022年にはBMWがシートの暖房機能を月額課金制で提供して批判され、議会で是非が問われるまでに発展し、最終的に買い切りへ変わりました。
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また、一部のプリンターメーカーが非純正インクを排除し、非純正インクを使った場合にプリンターの動作を停止させるという保護措置を取ることも、しばしば批判対象となります。
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こうした背景から、非営利団体FULU財団はメーカーによって使用不能にされたデバイスの機能を復元できる人物に報奨金を支給するプログラムを運営しています。例えば2025年、Googleは発売から10年以上が経過している製品のサポートを終了し、一部の機能が使用不能になりました。この製品を再び稼働させるオープンソースソフトウェアを公開したプログラマーは、FULUから約1万5000ドル(約230万円)の報奨金を受け取ったそうです。
ただ、消費者擁護団体US PIRGは「1990年代にコンテンツ海賊版対策として制定されたデジタルミレニアム著作権法(DMCA)が、企業が組み込んだデジタルロックを回避する行為を制限しました。このため、車載ヒーターやプリンターのサブスクリプション要件を解除するツールが公開することはほとんどありません」と説明し、こうした回避策が出てくるのはめったにないと指摘しています。
ニューヨーク・タイムズは「ハードウェアを購入した後にメーカーが仕様を変更するという問題は、依然としてほとんど解決されていません。消費者が購入したインターネット接続製品を企業が自由に改変できるなら、もはや所有権とは何なのでしょうか」と疑問を呈しました。
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in メモ, ハードウェア, Posted by log1p_kr
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