MicrosoftによるActivision Blizzardの買収が連邦取引委員会の審査対象に
Microsoftが発表したActivision Blizzardの買収計画について、アメリカにおける独占禁止当局である連邦取引委員会(FTC)が反トラスト法(独占禁止法)に基づく審査を行うとBloombergが報じています。
Microsoft Deal for Activision to Be Reviewed by FTC in U.S. - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-02-01/microsoft-deal-for-activision-to-be-reviewed-by-ftc-in-u-s
Microsoft’s Activision Blizzard acquisition to be reviewed by FTC - Polygon
https://www.polygon.com/22912444/microsoft-acquisition-activision-blizzard-ftc-review
現地時間の2022年1月18日、Microsoftが大手ゲームメーカーのActivision Blizzardを買収すると発表しました。Activision Blizzardはコール オブ デューティシリーズやウォークラフトシリーズ、ディアブロシリーズ、オーバーウォッチなど数々の人気タイトルを開発するスタジオを傘下に持つ大手ゲームメーカーであり、買収前の2021年第4四半期の時点でゲーム分野の売上で世界7位と任天堂やElectronic Artsといった名だたる企業を上回っています。ただし、Activision Blizzardはセクハラ問題でカリフォルニア州公正雇用住宅局(DFEH)から提訴されるなど危機的状況に陥っていました。なお、Microsoftによる買収額は687億ドル(約7兆9000億円)にも上ると報じられています。
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Bloombergに情報提供した人物によると、Microsoftによる買収計画は司法省の代わりにFTCが調査を監督することになるとのこと。司法省とFTCはMicrosoftの買収に関する審査において責任を共有しており、どちらが審査を担当するかについてもすでに合意に至っている模様。
FTCのリナ・カーン委員長は大手テクノロジー企業による買収を審査する際には、より強力なアプローチを取るべきだと提唱してきました。カーン委員長は「ある事業分野における優位性を活用することで、企業は他の市場で地位を確立することができる」と指摘しています。実際、カーン委員長はこれまでに大手テクノロジー企業による買収計画を2件阻止しており、1件はNVIDIAによるArmの買収計画で、もう1件はLockheed MartinによるAerojet Rocketdyneの買収計画です。
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2022年1月18日、カーン委員長と司法省のジョナサン・カンター司法次官補は企業の合併・買収が市場の独占・寡占を悪化させる恐れがあるとして、買収計画の審査をより厳格にしていくと表明していました。両当局は特にハイテク企業による買収に着目していると述べています。
今回の審査は、Activision BlizzardのゲームポートフォリオとMicrosoftのゲーム機およびハードウェアシステムの組み合わせが与える影響に焦点が当てられることとなる模様。FTCは「MicrosoftはActivision Blizzardを買収することで、Activision Blizzardタイトルへのアクセスを制限し、ライバル企業にどのような影響をおよぼすか」について詳細な審査がおこなれることとなるとのこと。
Microsoftの直近の重要な買収案件は、ソフトウェアメーカー・Nuance Communicationsを170億ドル(約1兆9500億円)で買収したというもの。この買収は2021年夏にアメリカとヨーロッパの規制当局が審査を行い承認しています。
なお、MicrosoftとFTCは買収審査に関するコメントを控えています。
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