Amazonは労働組合をつぶすために「労働組合は従業員に危険を及ぼす」などと主張する教育ビデオを作っていた
Amazonは労働組合の結成を妨害するために労働組合結成投票の反対方法を指南したり、組合つぶしのスパイを現場に送り込んだりしていることが報じられています。2018年には「Amazonが労働組合をつぶすために作成した教育ビデオ」が流出しており、Amazonが労働組合の結成を阻止しようとする姿勢が明確になっています。
Amazon's Union-Busting Training Video (LONG VERSION) - YouTube
Amazonでは従業員が劣悪な環境で働いていることが度々報じられています。例えば、Amazonの倉庫で働く労働者は同業他社と比べて2倍の負傷率を記録していることが報じられているほか、Amazonの配達ドライバーも厳しいノルマをこなすためにトイレ休憩の時間を削減するしかなく、ペットボトルへの排尿を余儀なくされている実態が労働者の証言によって明らかになっています。
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また、Amazonの労働問題はブルーワーカーだけでなくホワイトワーカーにも波及しており、Amazonで働いていたソフトウェアエンジニアからは「深夜に設計書を送りつけられて朝までに成果物を提出するように求められた」「土曜日の深夜2時に呼び出された」「1カ月半でチームの半分が辞め、その尻拭いをさせられた」といった証言も飛び出しています。
Amazonの過酷な労働環境についてソフトウェアエンジニアが証言 - GIGAZINE
Amazonで働く労働者の中には、労働環境の改善を求めるために労働組合を設立しようと試みる人たちもいます。しかし、Amazonは労働組合の設立をあの手この手で妨害しようとしており、2018年にはAmazon参加のスーパーマーケット「Whole Foods Market」の従業員に向けて制作された「労働組合の結成を防止するための教育ビデオ」が流出しました。以下のムービーは、流出した教育ビデオのハイライト版です。
Amazon's Union-Busting Training Video - YouTube
教育ビデオの中でAmazonは「私たちは、労働組合は顧客、株主、そして最も重要なことに従業員にとって利益にならないと考えています」と述べ、労働組合への反対姿勢を明確にしつつ「従業員にとっても不利益になる」とも主張しています。
さらに、Amazonは「我が社のビジネスモデルは『スピード』『革新性』『お客様中心主義』といった労働環境とは関係ない概念の上に成り立っています。これらの重要なポイントが見失われると、あなたの仕事や同僚の仕事が危険にさらされます」とも述べ、「労働組合の結成」が「労働者の危険」に直結すると主張しています。
なお、2021年にはAmazonの倉庫「BHM1」でAmazon初の労働組合結成を目指す投票が行われましたが、従業員約5800人に対して投票者は3215人、そのうち賛成は738票、反対は1798票で反対多数により労働組合は結成されませんでした。Amazonによる労働組合反対運動は一定の効果を示しているようです。
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by Ben Mortimer
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