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Amazonの労働環境の劣悪さを示すレポートが公開される


Amazonは、「ドライバーがトイレに行けない問題」や、「新型コロナウイルス対策が不十分」といった、労働環境にまつわる問題点を度々指摘されています。そんな中、ニューヨーク・タイムズが多くのAmazon従業員に聞き取り調査を行い、Amazonの労働環境の現状をまとめています。

Inside Amazon's Employment Machine - The New York Times
https://www.nytimes.com/interactive/2021/06/15/us/amazon-workers.html

9 devastating takeaways from NYT’s report on Amazon workers
https://www.fastcompany.com/90647379/9-devastating-takeaways-from-nyts-massive-report-on-amazon-workers-during-the-pandemic

◆新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
CVID-19の世界的な流行にもかかわらず、Amazonは驚異的な売上を記録し続け、2020年だけで過去3年間分の売上と同等の売上を記録しました。しかし、ニューヨーク・タイムズは、「100万人にのぼるAmazon従業員の多くは、その恩恵にあずかれませんでした」と指摘しています。

AmazonはCOVID-19の流行当初に、労働者に対して「1時間あたり2ドル(約220円)の昇給」「残業代を2倍支払う」「無制限の無給休暇を提供」といった待遇改善策を発表しました。しかし、2021年の4月下旬には、Amazonは「無制限の無給休暇の提供」の終了を発表し、直後に「1時間あたり2ドルの昇給」と「2倍の残業代」の終了も発表しました。この待遇の変化について、ニューヨーク・タイムズは「2020年の4月中旬までに競合他社が広げた市場シェアに追いつくため、Amazonは従業員を倉庫に戻すことを切望しているように見えました」と指摘しています。


また、ニューヨーク・タイムズによると、ニューヨークのAmazon倉庫「JFK8」では、2020年3月~2021年3月の間に少なくとも700件のCOVID-19の確定症例が報告されたとのこと。しかし、AmazonはCOVID-19に関する情報共有の不足を指摘した従業員を解雇。このことから、2020年5月にはアメリカの13の州・特別区の司法長官から是正措置を求められています。

Amazonの新型コロナ対策について州司法長官が公開書簡を送付 - GIGAZINE


◆従業員の監視
ニューヨーク・タイムズによると、Amazonは従業員をアプリやチャットボットを用いて機械的に管理しているとのこと。しかし、この管理方法はパンデミック以前から従業員に「むらがあって張り詰めた雰囲気がある」として不満を持たれていました。また、Amazonは、2020年7月~10月の間に約35万人の新規労働者を雇用したことをアピールしていますが、自動化された雇用プロセスの影響で多くの従業員が解雇されているとニューヨーク・タイムズは指摘。「パンデミック以前には、Amazonは1週間ごとに従業員の約3%を失いました。つまり、Amazon従業員の離職率は年間約150%です。この割合は、小売およびロジスティクス業界で一般的な数値の約2倍に相当します」と、Amazonの離職率の高さを強調しています。

また、ニューヨーク・タイムズは「悪名高い『おしっこボトル』は、Amazonが強烈で厳格な生産性指標に依存している結果です」と主張し、Amazonが従業員の仕事量や休憩時間を機械的に管理していることを問題視しています。

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◆人種問題
ニューヨーク・タイムズが発見した2019年のAmazonの内部文書から、JFK8の従業員は60%以上が黒人であることが判明しました。それに対して、Amazonの経営陣は70%以上が白人またはアジア人だったとのこと。また、JFK8の黒人従業員は、生産性の高さや不正行為の有無にかかわらず、白人の従業員よりも解雇される可能性が約50%高かったことも明らかになっています。

なお、2021年3月には、アメリカのアラバマ州ベッセマーにあるAmazonの倉庫「BHM1」の労働者がAmazon初の労働組合を結成するための投票を開始していましたが、Amazonが労働者に対して組合の結成への反対を促していたことが話題になりました。その後、2021年4月には反対多数で組合の結成は失敗に終わっています。

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in メモ, Posted by log1o_hf

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