新型コロナ対策に不満の声を挙げるAmazonの倉庫作業員から初のCOVID-19による死亡者が出る

新型コロナウイルスの感染が拡大し、多くの職種が休業やリモートワークに追い込まれていますが、医者やスーパーマーケットの店員などは従来通りの業務が求められています。あらゆるモノが揃えられるECサイトのAmazonは、新型コロナウイルス需要で家庭用品が在庫切れになるほど売上を伸ばしており、そのためAmazonの倉庫作業員も従来通り、もしくはそれ以上の労働が求められています。しかし、Amazonの倉庫で働く作業員からは「Amazonが自分たちの安全を確保するために取っている新型コロナウイルス対策は十分なものではない」という不満の声も挙がっており、一部の従業員がストライキを行う事態にまで発展していました。そんなAmazonの倉庫作業員の中から、ついに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者が出たと報じられています。

First Amazon warehouse worker dies of COVID-19 as fulfillment center outbreaks mount – GeekWire
https://www.geekwire.com/2020/first-amazon-warehouse-worker-dies-covid-19-fulfillment-center-outbreaks-mount/

Amazonのフルフィルメントセンターでは商品を梱包する作業員や、顧客の元に届ける配達員、倉庫のマネージャー、請負業者の従業員など多くの人々が働いています。そんなAmazonの倉庫はアメリカには500以上存在しており、そのうちの50倉庫で新型コロナウイルス感染症の感染者が出ているため、Amazon内外から度々「Amazonの新型コロナウイルス対策は万全のものなのか？」と疑問が投げかけられてきました。これまでにAmazonの新型コロナウイルス対策に対して寄せられた苦情や、それに対してAmazonが取ってきた対応などは以下の記事にまとめられています。

Amazonの倉庫作業員が新型コロナウイルスのパンデミックで直面する恐怖を告白 - GIGAZINE

しかし、ついにAmazonの倉庫作業員から初の新型コロナウイルス感染症による死亡者が出たことが報道により明らかになっています。新型コロナウイルス感染症による初の死亡者が出たのは2020年3月31日のことで、死亡したのは南カリフォルニアにあるフルフィルメントセンターで運用マネージャーとして働いていた人物。Business Insiderが最初に報じ、その後、GeekWireがAmazonに連絡し事実確認を行っています。

Amazonの広報担当であるクリステン・キッシュ氏はGeekWireに対して、「カリフォルニア州ホーソーンの経営チームのメンバーが亡くなったことに深い悲しみを抱いています。彼の家族と愛する人々に心からお悔やみを申し上げます。そして、我々は彼の仲間と同僚をサポートしていきます」と声明を出しました。

報道によると、Amazonのフルフィルメントセンターで運用マネージャーとして働いていた男性は、2020年3月7日から20日にかけてメキシコを旅行し、その後帰国。そして3月26日頃から新型コロナウイルス感染症の症状を訴えるようになり入院し、31日に亡くなったとのこと。なお、Amazonは「同人物はアメリカに帰国してからフルフィルメントセンターへ通勤していなかった」と主張しています。

新型コロナウイルス感染症により亡くなった従業員がいつどこでウイルスに感染したかは不明ですが、同氏の働いていたフルフィルメントセンターは新型コロナウイルス感染症の症例が報告されていた倉庫のひとつです。

なお、Amazonは新型コロナウイルス需要に対応するために2020年3月に10万人の新規雇用を発表していましたが、2020年4月14日にはさらに追加で7万5000人を雇用していたことを明かしています。