Apple従業員らが初の組合結成投票を断念、「会社が公正な投票を妨げた」と非難
アメリカ・ジョージア州アトランタのApple Storeで、2022年6月2日に実施予定だった組合結成を問う投票が、中止されたことが分かりました。投票を主導していたアメリカ通信労働組合(CWA)は、「Appleが強制参加の反組合会議を開くなどの違法な組合つぶしをした」と非難しています。
Apple Atlanta Workers Drop Bid for Union Vote Next Week, Claiming Intimidation - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-05-27/apple-atlanta-workers-drop-bid-for-unionization-vote-next-week
Atlanta Apple store workers say ‘intimidation’ has made a fair union vote impossible - The Verge
https://www.theverge.com/2022/5/27/23145034/apple-atlanta-retail-store-union-election-canceled-intimidation
海外メディアのBloombergは2022年5月28日に、アトランタのショッピングモールであるCumberland MallにあるApple Storeが、組合投票を取りやめたと報じました。CWAは声明の中で、「Appleの度重なる全国労働関係法違反により、自由で公正な選挙が不可能になりました」と述べて、投票中止はAppleの組合つぶしが原因だとしました。
CWAによると、Appleは反組合的な弁護士を登用したり、店長を通じて反組合的なメッセージを流したりしているとのこと。Appleはさらに、出席が義務づけられている集会、いわゆる「とらわれの聴衆(Captive audience)ミーティング」を開催して、従業員らに反組合的な演説を聞くことを強要したとCWAは訴えています。アメリカでは、企業が組合の結成に積極的に反対することが法的に認められていますが、CWAからこの件についての苦情申し立てを受けたアメリカ労働関係委員会(NLRB)は、「反組合的な集会への出席の強制は法律違反」との見解を示しました。
NLRBの規則により、組合選挙が一度取り下げられると、次の投票を行うまでには少なくとも6カ月間待たなくてはならないことになっています。ジョージア州以外では、ニューヨーク州やメリーランド州、ケンタッキー州などで、店舗単位の組合結成に向けた取り組みが進められていますが、Bloombergは「このニュースは、Apple Storeで組合を結成しようとする初期の取り組みが後退したことを意味しています」と指摘しました。
ニューヨークのApple Storeでの組合結成については、以下の記事で報じられています。
Apple Storeの従業員が労働組合結成に向け始動、さっそく「時給を最低3800円にするように」と要求 - GIGAZINE
6月2日に予定されていた投票は、実施されていればアメリカのApple Store初の組合結成投票となるはずでした。CWAの発表によると、4月に投票の申請が行われた時点では、70%の従業員が組合を支持する署名をしていたとのこと。アメリカでは、近年の人手不足を背景にAmazonやスターバックスの組合が相次いで勝利を収めており、他の地域や他業種でも組合結成の機運が高まっています。
組合結成の動きに対抗するため、Appleは最低時給を20ドル(約2500円)から22ドル(約2800円)に引き上げることを発表していました。また、新型コロナウイルス感染症の流行も、投票が難しくなった要因の1つだと見られています。
Appleの組合組織委員会は、従業員らに送ったメールの中で「私たちは組合をリセットして強化するつもりです。他の店舗とも経験を共有して、彼らの道に立ちはだかるものに備えるのを助けます」と述べて、引き続き組合の結成に尽力していく姿勢を示しました。
労働組合側は、6月15日にもメリーランド州のショッピングモールであるTowson Town Centerの店舗で組合結成の投票を予定しています。
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