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見ている人の予想を裏切って驚かせる「どんでん返し」を上手に活用する方法とは?


物語における「どんでん返し」は、それまでの展開から大きく変化して衝撃的な秘密や結末を明らかにすることで、見る人の驚きや感動を誘うことができます。しかし一方で、ただ衝撃を誘うだけの展開はチープさを感じさせてしまうこともあります。そのようなどんでん返しの手法を上手に使う方法や、具体的な良い例と悪い例について、メディア分析を行うYouTubeチャンネルのNow You See Itがムービーにまとめています。

How To Do A Plot Twist - YouTube


Now You See Itは、「プロット・ツイスト(どんでん返し)」に関する解説は需要があると感じつつも、実際にどんでん返しを行う作品を例示することでその作品の魅力を損なう可能性を懸念していたそうです。しかし、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究では、結末をネタバレした後に有名な本を読んだ結果、普通に読むよりも作品を気に入ったと答えた参加者が多くなったと示されています。この研究は、物語構成の解説に具体例を示しても例に挙げられた作品の魅力を損なわないという保証であると同時に、どんでん返しがなぜ素晴らしいのかを説明しているものでもあるとNow You See Itは語っています。


ムービーでは、どんでん返しを用いている良い例と悪い例の解説のために、2013年に公開した「グランド・イリュージョン(Now You See Me)」、1996年公開の「真実の行方(Primal Fear)」のネタバレと、2006年公開の「プレステージ(The Prestige)」の軽いネタバレを含んでいます。そのため、まだ見たことがない人はネタバレを気にして回避することもできますが、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究を考慮して、ネタバレを見てから作品を視聴してみることもできます。


Now You See Itはどんでん返しの定義を「それまでのストーリーに対してまったく予想外の結果を発生させること」としています。例えば「グランド・イリュージョン」は、4人のイリュージョニストで組織された「フォー・ホースメン」を、マーク・ラファロ氏が演じるFBIの特別捜査官であるディラン・ローズが追跡するというものです。しかし、作中で明かされる衝撃的な展開として、ローズ捜査官は「5人目のホースメン」だということが判明します。


Now You See Itは「グランド・イリュージョン」における衝撃的な展開を、「映画の他の部分はかなり面白いが、このどんでん返しは、あまり機能していません」と指摘しています。Now You See Itはどんでん返しに重要な原則を正しく用いている例として、言葉を話す臆病な大型犬がモンスター関連の怪奇事件を解決していくアニメの「スクービー・ドゥー」を挙げ、「グランド・イリュージョン」のどんでん返しが良くない理由を説明しています。「スクービー・ドゥー」では、最終的なオチが各エピソードで確立されたロジックを展開してつながっており、視聴者は十分な情報を得ることができます。そのため、視聴者も論理的に結末を想像することができるため、どんでん返しが起こった時にも「やられた!」と満足することができます。


一方でNow You See Itによると、「グランド・イリュージョン」には確立されたロジックがほとんどなく、「不器用なFBI捜査官がずる賢い天才だった」という真相が、あまりにも想像できないものであるとのこと。これは、予想を裏切られたという満足のいくものではなく、ただ視聴者に衝撃を与えることに重点を置いていたため、結果としてどんでん返しのストーリーとして良い評価の作品ではないそうです。


一方で「プレステージ」は「グランド・イリュージョン」のような強い衝撃と、「スクービー・ドゥー」のような予測可能だが論理的な展開のバランスが完璧に取れた作品だとNow You See Itは評価しています。「プレステージ」は過去の因縁が原因で憎み合い競い合う2人のマジシャンを描くサスペンス映画で、勘の良い人だと映画開始20分でプロットの展開を予測できるようになっています。Now You See Itは「最高のどんでん返しとは、確立された論理を台無しにすることなく、最大の驚きを生み出すことができるものです」と述べており、「プレステージ」はそれを実現できていると指摘しています。


では、見るものを驚かせる内容で、かつ面白い方法の、優れたどんでん返しを行うにはどうすればよいでしょうか。そこでNow You See Itは、「プレステージ」とは近い展開でありつつも重要な点で異なっているとして、「真実の行方」を例に挙げています。「真実の行方」では、大司教を殺害した容疑で告発された少年を弁護士が調べる中で、少年に解離性同一性障害が認められ、心神喪失による無罪が判決されます。しかし、映画のラストで精神科に送られる少年は、「暴力的な人格の『アーロン』なんていなかった」と、すべては刑を軽くするための演技だったと明らかにします。


「真実の行方」における結末も、強い衝撃を生み出しつつも、物語のロジックに注意深く織り込まれています。「真実の行方」におけるロジックは、精神の分裂という明確ではない証拠や、「彼が今どの人格なのか」という事実が常に曖昧になっている点が特徴的ですが、それでも視聴者はそのロジックにとらわれて、作中のほとんどの登場人物と一緒に大きくダマされる結果となっています。


「サスペンスの巨匠」や「スリラーの神様」と呼ばれた映画監督のアルフレッド・ヒッチコック氏は、「サスペンスを引き出すには、ある程度の量の情報を観客に提供する必要があります。そして、残りは見る人の想像のままにしておきます」と述べています。Now You See Itは、優れたどんでん返しの条件として、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究であらかじめネタバレされたことで本を楽しめることが示されたように、「どんでん返しが起きた後に、作品をさかのぼって見ることで、どんでん返しの結末をほのめかしている箇所を楽しむことができると、どんでん返しそのものと同じくらい楽しいです」と結論付けています。

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in 動画,   映画, Posted by log1e_dh

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